こりずにまた書いたの、あきないね

朝、起きて手紙を書く。

しずしず。

いままでで、一番シンプルにまとまって書けた。

なんせ、便箋一枚。

前なんて、数ページに渡る手紙を書いては出してしまったし。

それでも半分削ったのだから、最初はどれだけ書いたんだってツッコみたくなる。

書くのも大変だったけど、読むほうにも負担をかけたにちがいない。

数々の反省を活かし、ついにできた手紙。

でも、朝だからね。

夜書いた手紙が、翌日見返して赤面してしまう、という喩えもある。

しばらく置いてから、判断しよう。

そう思って半日。

再度、手紙を読む。


ぐはっー。


作家を殺すには刃物はいらぬ、過去の作品見せればいい、とはよく言ったもの。

まさか、たかが半日たらずに書いたもので、血反吐をはいてしまうとは。

なんで、こんなに説明口調なんだ。

こんなものバッサリ切ってやる。

手紙の中核をなしていた文章を削除し、最初と最後をつなげて書き直す。


すげーっ。


四行ほどでまとまった。

一行あけて、読みやすくした。

でもこれだと、なんだか間抜けな感じがする。

間を抜いただけに。


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