スカイプでの会話 2

「住んでいた部屋に、違う人が住んでいるのを確かめたんだ」


「 引っ越し?」


「そうかもしれないし、年齢から考えるとどうなのかわからない」


「うちの隣の家もいま壊してるんだ。 住んでた人がなくなってね。近所の人に聞いてみるとか?」


「なくなってるのかを知りたいというより、 もういないんだなというほうが大きいかな」


「なるほどね。私もたまに思うことがある。小学生の時によく遊んだ友達は今ごろどうしてるのかなと」


「なにも思い出せないのに、なんだか悲しみだけが来る」


「それは思い出せないということからの悲しみなのかな」


「昔から似たようなことはあったんだけどね」


 間をおいて、文字を打つ。


「厳密に言うと違う。自分は知らないけど、他人はしってるでしょ。その他人がいなくなると、さびしくなるってかんじかな」


「ああ、そういう悲しみね」


「ただでさえ忘れてるのに、知ってる人がいなくなると、二度目の喪失みたいになる。それは昔からあった。そうならないためにも恩返しをずっとしてた。しておけば、いなくなったりしたとき、辛くならないと思ったから」


 今回の人は、と文字を打っては消した。


「 いや、すぎたことだ。しょうがない」

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