第230話
元の世界でなら、プライバシーの侵害として訴える事も出来るがここは異世界、私の常識は全く通用しない。
「プライバシーの侵害。とか言わないで下さいね」
つ、通用しない……よね?
「さて、あなたはルビーを森で拾ったと、仰っていましたがコレを見るに、個室から持ち出してきた様ですが?」
「……前に空き巣に入られた事があって、拾った宝石をトイレに隠してたのよ」
「あなた、随分トイレにモノを隠しているのですね。しかし――」
タドガーが水晶球に向かい何かをすると、今度は個室の内部に映像が切り替わる。相変わらずローアングルであるところを見ると、コレも『にぃちゃん』に記録された映像なのだろう。そんな事よりも……丸見えな十八禁に恥ずかしさのあまり顔から火が飛び出そうだ。
「な、ちょっと! 何ガン見してんのよっ、変態っ!」
「ふーむ……薄めなんですね」
やかまひいっ!
「にしても、イイ顔なさるではないですか……」
ズイッと顔を近付けて、ニタリ。とした笑みを見せるタドガー。後ろでは映像を見たままニヤケているフォワール。ダブルキモい。
「さて、コレを良く見てみると……中々良いプロポーションをしていると分かります」
もう私の身体をイジらないでよっ
「ああ……イイですね。その恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら文句を言いたいけれど、何を言っても無駄だから我慢しているサマは、ゾクゾクします」
くっ、コイツワザとやってるな。私の身体で
「まあ、冗談はコレくらいにして、改めて見てみると、掃除が行き届いた綺麗な個室だと分かります。私の
あんたの実験室がどれだけ汚いかなんてどうでもいいわ。
「では、教えて下さい。何処にそんなモノを隠せる様な場所があるのですか?」
教えるもなにも、綺麗に整頓された室内に、鉱物を隠せる様な場所なんて一つしかない。
「た、タン――」
「まさかタンクの中。とか言わないでしょうね? 銀も金も、そして宝石も。あなたの家のタンクにはどれ程の鉱物が収められているのですか?」
「クッ……」
勿論、そんなモノなど隠してはいない。週一、月一、そして半年に一度。私の中から産まれてくるモノを持ち出しているだけだ。
「おや? 黙秘ですか。それは効果的とはいえませんね。なるべくなら、この様な美しい肢体に傷を付けたくは無いのですが、場合によっては止むなし。になりますが?」
壁に投影された私の下着姿を、親指で指差すタドガー。そしてその横では、フォワールが鞭を持って薄ら笑いを浮かべていた――
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