第176話
リリーカさんとおばさまに打ち明けた、私の秘密の一つである『不老不死』の話は、とてつもなく
「さて、そろそろ晩御飯の用意をしないとね」
そう言っておばさまは、よっこいしょ。と声を上げ、重い身体で立ち上がる。外を見れば、黒が支配する空に僅かながらオレンジ色の光が見えていた。
「大丈夫ですか?」
「ええ、ほぼ回復したから問題無いわよ。カナちゃんも今日は泊まって行きなさい」
「え……? でも、ご迷惑じゃないですか? それに、『にぃちゃん』にご飯をあげないと……」
にぃちゃん。といっても兄の事じゃ無い。にぃ。と鳴くから『にぃちゃん』なのだ。
「……お姉様。安直ですわ」
言われずとも分かっとるわっ。
「遠慮しなくても良いわよ。その『にぃちゃん』も連れて来たら? 戻って来る頃にはご飯も出来てるから。『にぃちゃん』の分も用意しておくわね」
私はおばさまの申し出を有り難く受け取り、『にぃちゃん』を迎えにアパートへと戻った――
おばさまの家に戻ると、テーブルの上には所狭しと料理が並ぶ。山菜のサラダに
「おばさま、これ食べきれないですよ?」
「大丈夫。余ったらあの人に食べて貰うわ。これくらいペロッと食べちゃうわよ」
オジサマって、見かけによらず大食漢なんだ。
「そういえば、今日はオジサマを見掛けませんでしたが、お出掛けですか?」
「あの人なら陛下に呼ばれて行ったわ」
「国王陛下に……?」
「恐らくは、フォワール卿の一件でしょうね」
「ええ、リリーの話を聞いた途端、物凄い形相になっていたものね。あんな顔、久し振りに見たわ」
「前にもあったんですか?」
「お父さんと付き合い始めた頃だったかしら。他の男の人から言い寄られていた時に、同じ顔をしていたわ」
はいはい。ご馳走様です。
「フォワール卿の嫡男にも困ったもんね。私達が毒を盛った。なんて、調べも無しに決め付けるんだから」
「仕方ありませんわ。卿は貴族が民を支配、管理するものだと思っている。超過激派ですので」
それを実現する為に地位を欲したのか……。でも、リリーカさんから先はどうするつもりだったのだろう? 上にはまだ六人もの貴族さんが居るというのに……
「ともかく、お父様がお戻りになれば、お話を聞く事が出来ますわ。なのでお姉様、ダメですわよ」
「え、あの……まだ何も――」
「これ以上首を突っ込むのはお止め下さいまし」
「そうね。もし秘密がバレたらカナちゃんの身体の隅々、あらぬ所まで調べられちゃうかもね」
う……そ、それは嫌だな……
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