Legend of Star Night
ILLVELG
Legend of Star Night
星空の伝説
むか〜し………。
遠い、遠い昔………。
とても気の遠くなるほど遠い昔のお話です。
あるところに、光の神様に守られた国がありました
王様と王妃様がなかむつまじく暮らし、
そこに住む人々も笑顔で幸せな生活を営んでいました。
そんなある日、突然それはやってきました。
邪悪な魔物達の軍団でした。
みな黒い鎧に身を包み、
空からやって来たのです。
不思議な武器を持ち、
たくさんの人々の命を奪い始めました。
邪悪な魔物たちの軍団の侵略に、
人々は絶望のなかに埋もれてしまいます。
このまま滅びを待つだけ―――そう思ったときです。
光に身を包んだ騎士団がやってきたのです。
神様に祝福された騎士たちは、皆が瞬く間に
黒い鎧を着た魔物たちをたくさん倒しました。
人々は喜びと安心を感じ、
彼らという希望に感謝をしました。
魔物の長はこれに怒り、自ら武器を取り
巨大な獣にまたがって光の王国を襲いました。
光の騎士団はみなこれを迎え討つべく、
神より授かりし武器を手に立ち上がります。
世界の命運を決めた戦いは激しく、
その戦火は留まることを知りませんでした。
数多の魔物たちは山を削り空を引き裂き、
この世界に生きる人々と光の騎士団へ襲いかかります。
ひとり、ひとり。
またひとりと、誇りある強き騎士様が
次々と倒れていきます。
それでも彼らは戦い続けます。
世界に平和が訪れる、その瞬間まで。
やがて彼らは、たくさんの犠牲を生み出しつつも
魔物の長のところへたどり着きます。
黒き鎧に禍々しい力を纏わせ、魔物の長は
全ての力をもって彼らに襲いかかります。
比類なき闇の力を持った魔物の長に敵う者はおらず
騎士様たちが誰もがそう思いました―――もうだめだと。
その時、一条の光が魔物の長を貫いたのです。
魔物の長は突然苦しみもがきはじめました。
騎士様は神が与えたその刻を逃さず、
聖なるつるぎを構え魔物の長に止めを差しました。
魔物の長はまばゆい光と共に苦しみ、
胸を聖なるつるぎで貫かれ断末魔の悲鳴をあげ、
やがて倒れ伏しました。
黒き鎧を着た魔物たちは無慈悲な攻撃をやめ、
どこかへと消え去りました。
こうして世界に平和が戻りました。
人々はあるひとつの大きな大きな約束をつくり、
それから力を合わせて世界を直していきました。
これはとお〜い、遠い………。
とても気の遠くなるほど遠い昔のお話です。
幾千の星々が巡り、幾万回も陽が大地を照らし、
戦いが終わった遥かなる未来で、
再び新しいお話が生まれます。
同じ星空のもとに生まれ、
強き魂と暖かい心を持った
清き魂と優しい心を持った
広〜い広い、とても広い世界を巡るお話です。
彼らの名は―――
―――――――――
おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ………
空気が澄み渡る美しい星空の下で、新しい命がこの世界に迎えられた。
深い森の中で、命の息吹が力強くこだましている。
「あんた、生まれたよ!」
白い作務衣に身を包んだおばあちゃんが赤ちゃんのへその緒を切り結ぶ。
赤ちゃんは元気に声を出している。
お母さんは体力を使い果たし、汗だらけで息が荒い。
「はぁ………はぁ………はぁ………」
「凜! やったぞ! 無事に生まれた、男の子だぞ!」
お母さんの手を握り、ずっとそばで応援してきたお父さんがとても喜んでお母さんをハグする。
お母さんは安心感と達成感で笑顔を浮かべた。
「ありがとう………あなた………。」
「さぁ………この子を………。」
おばあちゃんが赤ちゃんを湯につかせ、きれいに洗い柔らかい布で包んで、お母さんに渡した。
「ありがとう………………ふふっ。しわくちゃ。」
お母さんは赤ちゃんをおばあちゃんから優しく受け取り、お父さんと共にその顔を覗きこむ。
「あぁ、かわいいなぁ。………おれたちが産まれるときもこんなにちっちゃかったんだな。」
お父さんが赤ちゃんの嘘みたいに小さい手に自分の小指を絡ませる。すると赤ちゃんの手はしっかりとお父さんの指を握る。確かな命の力をお父さんは感じた。
「………思ったより、力強いね。ふふっ…。」
「そうね………ねえ、
「あ、あぁ。………今更ながらこの名前で、良いのかな?」
「あなたが一生懸命考えたのなら………この子にとって誇り高い名前になるよ。」
「そうだな………!」
お父さんは、赤ちゃんを優しく抱き上げ………星空を見上げながら伝える。
「やあ。初めまして! おれは君のお父さんだよ。この世界は初めてだろうけど………頑張っておれたちがお前を導くよ。」
赤ちゃんはあーうー、とお返事をした。
「おまえの名前は………
―――――――――
おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ………
空気が澄み渡る美しい星空の下で、もう一つの新しい命がこの世界に迎えられた。
もう一つの命の息吹も、小さな家の中で力強くこだましている。
「よく耐えた。」
たくさんの人々に囲まれた、ある一人のお母さんから生まれたばかりの子どもを抱き上げた。
二人の女性の懸命な手当てを受けながら、お母さんは自分の腹から生まれたその子を愛おしげに見つめた。
「女の子だ。」
女の子を抱き上げたお父さんは、その愛くるしいかたちに険しい表情を柔らかく溶かし、お母さんの元までその顔を見せた。
「見ろ、元気な女の子だ。」
「あぁ……よかった……。」
「よく見てご覧。俺たちの愛の形だ。」
お父さんの言葉にお母さんは幸せそうな笑顔を浮かべた。
「テルシア…。」
お母さんはその名前を愛おしげにつぶやいた。その名前を与えられた赤ちゃんの小さな頬を指先で触れる。
「待ち望んだ未来だ。俺達の…。」
お父さんからお母さんへ赤ちゃんを大事に丁寧に抱き渡し、お母さんはぎこちなく不安定ながらもゆっくりと赤ちゃんを腕に抱える。
「夢を見ている…ようね。」
「あぁ………。………守らなきゃな。」
「えぇ。…テルシア…特別なことなんて何も要らない。」
「普通の人生を送れるように………頑張ろう。それが俺達に与えられた役目だ。」
お父さんはベッドのそばに
「テルシア。ママと―――パパだよ。私たちのもとに来てくれてありがとう。」
お母さんはお父さんに見せるように赤ちゃんの抱く向きを変えた。
「これからはママとパパが君を守る。だから……元気に、幸せに育ってくれ。」
赤ちゃんはうー? と小さく唸った。
「テルシア―――俺達の未来よ。その道に、幸あらんことを。」
硝斗。
テルシア。
それが、子どもたちの名前。
この世界で生きる二人の名前。
彼らこそが後に語り継がれる伝説となるのです。
―――星空の伝説の英雄として。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます