第11話 シーツの海の美智子さん
11 シーツの海の美智子さん
今日は金曜日 塾はお休み
ゴミ出しの日 遅い朝におどろいて
妻の部屋にかけこむ
おい ゴミヤさんがきてしまうぞ
詰めて置いてくれればおれが
すてにいくのに
すてにいくのに
純白のシーツの海の
波間に
あなたは たゆたゆたゆ
四角の海に対角線をひいて
いますこし ねていたいわ
わたしは
すごすごと 退去する
キッチンの廃棄物 ポリ袋に詰め込む
臭い 生ごみ 廃棄物 キライ
わたしとあなたが
生きるためにスピンオフした
残りかす
詩を書くためには おおくのものを すててきた
いまさら ゴミ捨てなんか 厭うきもちは ない
手触りの いやな廃棄物 なんでも すてます
捨てます すてます ステマス
おい ゴミはだしておいたからな
ゆっくりと朝寝をたのしむといい
寝室からは応えはもどってこない
シーツの海で 溺れてやしないか
枕の暗礁にのりあげてはいないか
シーツに顔をおしつけ
窒息してはいないか
こんどは しのび足
そっとあけるふすま
いない
いるべき シーツの海に
あなたがいない
どこか 遠くで
化粧室の鏡台のあたりで
カタコトカタコト
ビンの揺れる音がする
化粧水のいい匂い
美智子さんは
お目覚めです
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