池田晶子

氏との出会いは、氏が亡くなった直後だった。2007年。引きこもり不登校で悩むとかいうレベルではなく人生ぼろぼろだった私は、ある日親に書店に連れてってもらい、ふらふらと哲学思想コーナーに入った。いまは大学で哲学専攻にいる私だけど、当時はぜんぜん哲学とか思想とか知らなかったマジで。ただ、村上春樹をきっかけにそっちの文学系?に傾倒しはじめていたときでもあったんで、なんとなくこう哲学者の名前や言葉は聞きかじっていた、みたいな。そんな感じだった。

『14歳からの哲学 考えるための教科書』という本があった。私は、ちょうど十四歳になった直後だった。てつがく。とてもむつかしそうだけど、自分自身がどうしようもない愚かなからっぽ馬鹿だと思っていた私は、「考えたい」と思って、四桁の値段の本を親にせがんで買ってもらった。そこらへんは、しょせんは、中学生なのである。

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