お疲れちゃんですわー!! を相手にしてお疲れちゃん!?
第23話 パン娘が挙動不審で精神力を消費する
「ソージ、朝ですよ! 起きなさい!」
「……まだ寝てる。お昼まで。……うるさい、クリスティーナ」
『なんじゃ? わらわの眠りまで妨げるとは……お主と、まだゴロゴロしたいぞ。朝チュン妨害娘め!』
勢いよくドアが開かれる。
……クリスティーナのモーニングコール?
目覚めとしては最悪である。
まどろみかけている状態なのに。
意識を無理矢理覚醒させようとするのだから。
「わたくしは、朝から絶好調ですわー! 傷も完全に治っていますし。疲れが嘘のようにありません。常人の回復力と違うのですわー!」
……あ、そうでありますか。
……俺のスキルの
「……パンはよく焼いてね……こんがりが……好きなの」
「あら? そうでしたの? こんがり派ですのねー! パン娘にお
自分でボケてツッコミしてるのは、クリスティーナ自身……ねむい。
「い、
「……なんあのお!?……リナさん、クリスティーナに……襲われてるー!」
「クリスティーナ! 朝から旦那様にちょっかいを出すなんて、不敬です!」
新生メイドのリナさん。
「……リナ? あ、あなたこそ、ソージの寝床に侵入してますわよ!?」
「リ、リナさん!? も、もぐりこんでこないでよお!? どさくさに
「旦那様のお姿を確認ですわ。決して、ぬくもりに
早朝から、リナさんの体の
ギンギンに意識が覚醒しちゃった!
……昨日の柚子湯の香りをまぶしてるリナさん!?
「うわあん、リナさんの策略の勝利だよお! 我慢できない、むぎゅー!」
「やあん!? だ、旦那様!?……ふふふふ、逃げたりしませんから。お好きになさって?」
「こ、こいつら、わたくしを無視した
「な、なな、なんだとお!? ぐげああ!?」
「ソージ君? 寝不足気味ですか? 目の下にクマが?」
「朝からクリスティーナに叩き起こされて。それから乱闘だよ!……しかも、今も、監視されてるみたいだし」
謎の奇行。
いや、クリスティーナは元々そんな感じだけど。
何か裏がありそうだな。
「クリスティーナさんが?……何か頼み事がある時ですね、あの様子は。言い出したくても、言い出せない。……こちらから、話を振ってはいかかでしょうか?」
「クリスティーナ? ちょっと、来なさい。……一体なんですか? 用件を伝えてくださいますか?」
「ソ、ソージ? し、仕方ないですわね。
人がわざわざ聞く姿勢になっているのにぃ!
「いいから、話せって言ってんだよ! この、ねじねじ娘!」
「ひゃああん!? ふとももを
クリスティーナだって、人間だもん。
言いづらい事の、一つや二つ、あるよね?
ダカラ、フトモモニ、ハナシヲキクヨ?
イイヨネ? クリスティーナサン!
「あんあん!? 素直に言いますから、もう、やめてええ!?」
「魔法の修行をしたいから付き合って欲しい?」
「そう、で、ですわ! 出来れば、新しい魔法の習得にも」
「最初から言えばいいのに、クリスティーナさんは」
魔法か。どうだろうな。
そもそも、この世界の住人じゃないからな。
どのように習得するのか不明だ。
「サーヤ、一般的な魔法習得を教えてくれるかい? 俺のは精神力を行使して、魔法を使用してるからさ。仕組みを理解したとは言えないんだ」
「そうでしたか。一般的な方法としては、一つは魔導書。魔導書に魔力を込めるとイメージ画像として記憶に入ります。呪文はありますが、イメージを具現化するための作法みたいなもので。上級者では、いちいち唱えなくても魔法を発動できるとされています」
サーヤ先生の魔法講座が開かれる。
物覚えの悪が悪いので、真剣に話を聞く。
「二つ目は、実際に魔法を見て、覚える感じですね。ですが、魔法を使える人は貴重な人材ですし。魔法の師匠みたいな方は滅多にいませんね」
想像力豊かな人が魔法習得しやすいのかな?……発動をイメージか。
「サーヤも魔導書で習得を?」
「はい。魔法騎士団が、基本の魔導書を所蔵していまして。ファイヤーボールを習得しました。ですが、他の魔導書は専門のお店で購入しなければならないんですよー! 駆け出し冒険者には、手が出せません!」
「平均的な価格で言えば、金貨20枚ぐらいですわね。上級魔法だと最低100枚でしょうね。ぐぬぬぬ!」
……RPGゲームでも、魔法書を購入してたっけ。
モンスター狩ってたな。ゴールドよこせー!
いらない武具、アクセサリー売却!……まさか、本当にあったとは。
「
「魔法習得に関しては、個人差がありますけど。
「わたくしの才能はそれなりですわー! すぐに習得できるでしょー! おーほほほ!……お疲れちゃんですわー! ソージ、ねぎらって差し上げてもよろしいですわよ?」
えー、それだけか。
ほぼ、ボランティア活動。
……クリスティーナによる計画進行中かよ! 利用されまくり。
「どうしようかな? 俺一人で教えるのも……いた。適材人物が! はははは!」
「どうしました? ソージ君? 妙案が?」
「他にそんな知り合いが?……謎の組織の人脈ですの!?」
いやいや。
この屋敷にちゃんと存在してるじゃないか。
お忘れなのかな?
「ついに、こいつが登場だあ! 青コーナから、ブルーで登場う! その名は、スライム君、だあ! 魔法も使用できる恐ろしいモンスターだぜ! もちろん吸収もしちゃう、万能すぎるぞ!」
「そうでした! スライムさんも魔法が使用できますね。すっかり忘れていました」
「あ、あの、スライムを!? し、信頼しても大丈夫ですの!? 強力な魔法で、わたくし達に攻撃でもされたら」
スライム君は、そんな事しないもん!
クリスよりも親密だもん!
「わ、わあ!? スラちゃん!? どこに行くの!?……呼ばれた? ご主人さまに?」
「カナさん、おはよう! 察知したか、流石、スライム君だぜ! おはようございます、スライム君!」
カナさんと一緒に起きてきたスライム君。
「スライム君、聞いてよー! このパン娘が魔法の修行したいんだって。実際に魔法を見せて、習得したいらしいんだ。俺一人じゃ、大変だからさ。手伝ってくれる?……お役に立てるのなら、喜んで? うううう。クリスティーナ、貴様、スライム君に言うことは無いのかね! 俺は、別に構わないよ? でも、スライム君だけにはね! 誠意を見せろよ!」
「な、なんですの!? 気色の悪いソージですわね!? ムキになって疲れませんの?……お、お、お願いちゃん!」
ぶっ殺すぞ!
軽いんだよ!
ちゃんをつければ万事解決なのかよおー!
「ソ、ソージ君、冷静にね!? わたしのむぎゅーで、落ち着いてね?」
ああ。精神安定したよ。
サーヤからも、ほのかに柚子の匂い。でゅへへ!
「サーヤちゃん、わたしもご主人さまとむぎゅーの挨拶する!」
「おやおや、カナさん。……魔法の修行は朝食後にしようか? 予定は大丈夫?」
「構いませんわ。魔法騎士の任務は特に入っていませんもの」
「街の見回りの当番も、まだ先ですし。平気ですよ」
では、朝食後に。
魔法の修行開始だな! よく食べておこう!
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