もしかしたらもしかするかもしれない

@tubuanv

第一章 転移編

第1話 最悪だ。

 リリリリリンと目覚ましの音が部屋中に鳴り響いた

 手探りでベッドの上にある目覚ましを止めるべく動かす

 二、三度空回りした後ようやく目覚ましの上のボタンを押すことに成功し音は鳴りやんだ


「もう朝か」


 気だるげな体を起こし背伸びする

 関節のあちこちから小気味よい音が鳴る

 深夜にゲームをしていたせいであまり寝れてないので少々いや結構眠気が残る

 本当なら二度寝といきたいところだが

 時計を見ると7時半を過ぎていた、そろそろ家を出ないとまずいかなって感じだ

 今日は平日、普通に学校だ

 眠い体を無理やり起こし学校へ行く準備を始める

 制服を着終えた俺は鞄を持ち一階に降りそのまま玄関へと向かう

 朝飯は食べない、時間がないからだ、あれば食べるそんな感じ

 ちらりとリビングを方を見る母はいつも通りテレビを見ていた、軽く挨拶だけ済ませ玄関に向かう


「ふぁあああああ、まだ眠いな」


 そんな小言を言いつつ靴を履き外に出た

 いつも通り学校に登校するためバスへと乗り込んだ

 周りを見渡し開いている席がないか探す

 運よくバスの前方の椅子が空いていた

 なのですぐに座った


「少し寝るか」


 学校の近くのバス停までは30分はかかる

 少しくらいは眠れるかと目を閉じた



 うとうとしかけていたころなにやらバス内が騒がしい

 甲高い金属音が聞こえ目を開ける

 バスの運転席の隣に頭を黒いニット帽、顔をサングラスとマスクで隠した。明らかに不審者がそこにいた、その手には拳銃、何者だ?


「このバスは俺がジャックした! 言うことを聞かないやつはどうなるか分かってるよな?」


(うわぁ最悪だ)


 運悪くバスジャックに会ってしまった

 しかも前の方に座っていたせいでバスジャック犯との距離は数メートルもない


(近い、顔あわせんとこ)


 窓の外を見て気をそらす

 外のやつらはバスで何が起きているのかも知らずいつも通りだ

 信号を待っているそこの人気づいてくれと思うがバスの中など気に掛ける人間などそうはいない

 

「おい、お前ちょっとこい」


 声が聞こえたがおそらく俺ではない

 違う絶対にだ

 そう高をくくり寝たフリを決め込んだ

(ボクイマネテマス)


「おい! お前だよそこの寝ているガキ」

 俺はバスジャック犯に無理やり体をひっぱられ銃を体に当てられる


(終わった......)


 そう思うしかない

 堪忍してやつの言う通りにすることにした


(最悪命まではとらないだろう)


 そんな懸念があったためだろう心はそれほど驚いてはなかった

 日本で拳銃をもってるなんてありえないどうせレプリカだろう

 うんうんいけないよおじさん構ってほしいだけなんだよな

 俺でよかったらいくらでも付き合ってあげるから(次のバス停までだけど)


「おいお前なんでニヤニヤしてるんだ? イラつくな、まさかこれが偽物っておもってないだろうな、周りの奴らもだ! 俺の事を馬鹿にしやがって、なら思い知らせてやるよ。」


 奴はそういい俺の体に拳銃をあて引き金を引いた


 バンッ!!!


 大きな音がバスの中に流れた

 それは紛れもなく本物の拳銃の銃音だった


「うそだろっ」


 その瞬間周りも理解したようだ、本気でやばいと

 悲鳴をあげるもの、泣くもの、目を瞑るもの様々だ


「これで分かったか! お前ら俺の言う通りにするんだぞ」


 奴は俺をそのまま床に叩きつけた

 身体からは血が流れだし、バスの床に俺の血が大量に流れだした

 鉄臭いにおいが鼻孔を通る

(痛い、痛すぎる!!! なんだよこいつなんで本物の拳銃なんてもってるんだよ!!!) 

 俺は自分の運命を恨む

(ああここで死ぬんだな俺、もっとやりたいことあったのに......)

 今までの運命を振り返る

(まあいいか、幼なじみや可愛い彼女、絶対に裏切らない親友なんて俺にはいない、代わり映えのしない毎日だったからな、人生いつ終わるかわからないもんだな、母さんと父さんには悪いが先に逝くことを許してくれ、アーメン)

 なんともあっさり俺は死を受け入れる

 こうして高坂  連は死んだ



「はずなのになぁ」


 俺は生きていた。先程まであった銃痕はなく制服も元通りだ


「どこだよここ」


 中は暗くてあまりよく見えないが多分洞窟の中だ

 声が反響するに結構長そうだ

 体を起こし、歩いてみる

 暗いので壁に手をかけながら探り探りで歩く

(何も無いな)

 なんでこんなところにとは思うがわかるわけがない

 出口を求め奥に進む

(どっちが奥かはしらないけど)


「ん? あれは」


 俺は目の前に灯りが点っているのが見えた

 期待してそこに向かう


「貴様が我への供物か?」


 突然話しかけられた

(供物っていったか? まさかな)


「はい?」


 俺は聞き返す


「貴様が我への供物か聞いているのだ」


 聞き間違いではなかったようだ


「えーと違います」


 ちゃんと否定をしないとな


「なら何故貴様は我の住処にいる、人間」


 どうやら勝手に家にあがられて怒ってらっしゃるようだ


「ごめんなさい、姿は見えませんがここはあなたの家だったのですね。素晴らしい洞窟引きこもりにはぴったりの家ですね」


「我の質問に答えろ、何故ここにいる」


(あーやべ褒めても効果ないや)


「自分にもさっぱりなんです、死んだと思ったらここにいて、ふざけてないですよ! 本当のことなんです。信じてください!」


 俺は必死に説明をした

 もし俺がこのことを聞かされたらとても信じられないだろうが


「貴様、迷い人か」


「はい?」


 とてもトンチンカンな返事が返ってきた


「ほお、珍しい我も初めて見る。」


 奥からドスンドスンを大きな音がいや足音が聞こえてくる


「嘘だろ……」


 姿を現したのは人間ではなく、巨大な黒い龍だった

(いやいやいや、まさかな本物のわけないじゃん、なるほど映画撮影かなんかか偶然巻き込まれたんだろうな、なんだ俺死んでなかったんじゃん、思い込みって怖いもんだな、そう出なきゃ説明出来ないもんな、安心したわ)


「それにしても凄いな」


 俺は黒い龍(レプリカだろう)に近づき体を触る


「おお、すごい質感だ! まるで本物だな」


 はははと楽しくなってしまい、俺はあちこちを見て回る、貴重な体験だ

 勝手に触っていいのかわからないがこちらは巻き込まれた側、ちょっとぐらいいいだろう


「おっ」


 龍種には体のどこかに必ず存在する逆向きの鱗、逆鱗を見つけた

 龍種にとって弱点であり触れられたら怒り狂う

 ゲームで見た設定だが本当にあるんだな


「ホントに逆なんだな」


 俺は何気なくそれに触れた


「貴様ぁぁぁ、さっきから何をしてると思っていたら我の逆鱗に触れるとは何たる不敬、万死に値する」


 怒り狂った黒龍、それをみて関心を示す


「おおすごい、設定ちゃんとしてるんだなぁ」


 呑気にその光景を見ていた

 龍は口を大きく拡げる

(何をするのかな?)

 口の中から真っ赤な炎が出てくる

 炎は逸れ壁に当たる


「え......」


 後ろを見る

 壁の表面は赤くなり溶けていた

(うん明らかに本物だわ、これ)

 急いで踵を返しもと来た道を走り出す


「いやいやいやいや、なんであんなのがいるんだよ! ここ日本だろ! おかしいだろ!」


 後ろから怒り狂った龍が追いかけてくる


「うひぁぁぁぁぁぁ」


 必死で走った、何も考えずただ走った

 目の前には光が指していた

 今度こそと思い走る


 外に出た


 だがそこに広がっていた光景は見慣れたビルが連なってるわけなくただ大きな木がびっしりと一面

 森だ


「どこだよここ......」

 

 それだけならまだここが日本のどこかだと思えた

 何かの撮影の演出だと思えた

 なのになのにだ

 周りはそれを否定した


『ぐぎゃあああああああああ!!!!』


「はは......」


 空を舞うのはカラスなどのかわいらしいものではなく恐竜サイズの大きな鳥だ

 距離的に考えて30メートルぐらいはあるはずだ、そんな大きな生き物日本にいた記憶がない......

 それを考えていくつく先の答えは一つ


「なんで俺が異世界転移してんだよ......最悪だ」


 この日 高坂  連は異世界に転移した。(原因は分からない)

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