29話「うざったい友人」
朝から2限目まで通常授業をして、それからお昼まではクリパの最終準備をすることになっている。昨日のおかげで、ウチのクラスも後残りの時間で十分に間に合うレベルだった。俺はそんなんだったらサボろうかとも考えたが、昨日のせいで委員長の監視は厳しくなってしまい、できなかった。なので真面目にクリパの準備、及び物の配置を行っていた。
そしてチャイムの音が鳴り響き、いよいよ昼休みとなった。皆、お昼を食べるもの、クリパに備えてかあえて食べないもの様々だった。俺には残念ながら、生徒会の手伝いがある。今日のクリパはもしかすると無いに等しいかもしれない。なので腹越しらえのため、食堂へと向かった。
「さて、と何を食うかな」
と小さく独り言を呟きながら、食堂の入り口に置かれているサンプルを見ていた。やはりクリパで、なおかつクリスマスが近いということもあってか、特別メニューもあった。だがもちろんそれ相応の値段がする。俺にはそんなもの買えるほどのお金の余裕はないので、いつものAランチにすることにした。今日はクリパということもあってか、中はガランとしており、すんなりと食券の購入、受け渡し、席取りが行えた。
「――ごちそうさまでした」
1人なので特にこれといったこともなく、とっとと昼食を平らげて、俺は食器を返却し、教室へと戻った。
「どこいってたんだよ」
帰ってきてそうそうに、俺に話しかけてくる
「食堂」
ちょっとまだ修二へのヘイトが溜まっているので、必要最小限の言葉でその質問に答える。
「は、今日クリパなのにか?」
「ああ、今日さ、つくし先輩に生徒会の仕事手伝えって言われてさ。だから、見て回れないかもしれんから、今のうちに腹ごしらえ」
「あーあ、またかよ……いいよなお前は……」
修二は羨ましそうな目をして、呆れた口調で言ってくる。
「お前さ、まだ引きずってんのかよ……」
どうやらまだ俺に嫉妬しているらしい。そんなにフラれたことが悔しいのだろうか、つまりそれほどの美女だったと。でもそれを俺にうだうだと当たってくるのはお門違い。そりゃ、モテるわけないよね。
「だって、めっちゃかわいいんだぞ! ランクもSぐらいだし」
「それはお前が勝手に決めたランクだろ。それにお前
「そっ、それはアレ……だよ………」
修二は痛いところつかれ、気まずそうにしていた。それを答えられない時点で、明日美を好きなのかすら危うい。何度も言うが、そんなようじゃウチのお姉ちゃんは絶対にやらないからな。
「はぁー……だからモテねーんだよ。まずその女ったらしの性格どうにかしろ」
「しょうがねーだろ、みんな可愛いんだし。それに明日美先輩は格別だよ」
「はいはい、その話は後で聞いてやるから。体育館行こうぜ、遅れるぞ」
いい加減、修二と話すのがめんどくなってきたので、適当に流して俺たちは体育館へ向かうことにした。
「うわ、スルーされたし」
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体育館にはかなりの量の人が群がっていた。これでもまだ一部、付属生は講堂で集会を行うため、まだまだ生徒はいるのだ。でもこれだけの人数でも、毎日この学園で生活していると思うと、圧倒される。そんなことを思いながら、終業式兼クリパの開会式が行われるのを待っていた。
「さっきの話の続きだけどさ、なんでつくし先輩の頼み断らなかったんだよ?」
始まるのを待つ最中、後ろにいた修二が俺に話しかけてくる。
「ああ、それは帰る約束をしていたのに、お前のせいで大遅刻をしてしまった罰だよ」
あえて『お前のせい』を強めて言う。それのおかげでこちとらえらい迷惑被ってるわけだからな。
「は!? 俺のせいかよ!」
「たかが、女にフラれたぐらいで俺にあたんなってんだよ」
「はぁーあ、お前はいいよなー女に困らないし。でも俺はマジで縁がねぇーんだぞ!?」
「だーかーら、お前みたいな女ったらしはムリだって」
この女ったらしな性格は周りに確実に認知されており、それのせいで女子たちからはブラックリスト入りされて避けられてるのに。そんなやつを好きになるようなやつは、
「そんなのわかんないだろ!?」
「はいはい、わかんないよ」
「またスルーかよ………そういやお前、明日は誰かと約束してんの?」
「や、特には」
「まーた、女子と一緒なんだろうなー、はぁー……」
ねっちこい修二に嫌気が差したので、今度は無視してやることにした。そんな会話をしていると、どうやら準備が整ったようで、終業式が始まった。まずは学園長の代理で教頭の、長ったらしい話。そして続いて生徒会長、つまりは我が姉、明日美の話が始まった。こうして比較してみると、家族
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