第二章 新しいユニフォーム 三 ベールを脱ぐ矢島
奥原がボールを持ってエンドラインの外に出た。
さあ、第二回戦だ。
洋にボールが渡った。洋はボールを両手でホールド。
奥原は右サイドに走り出した。
すかさず日下部がマーク。
それを見た洋は左手だけでボールをホールド。ディフェンスから離れた所にボールをキープ。と思ったら、
「早田、何やってる」
と、藤本の怒号が飛んだ。
洋はビハインドドリブルでボールを右手に移動させ、そのまま一気に体勢を押し上げた。
しかし、行く手には奥原がいて、このままでは突破出来ない。いや、これではぶつかってしまう。
洋はディフェンスに背を向けて方向変換、右手から左手にボールを移動。
それに反応して、早田と滝瀬も移動……
と思いきや……
洋はフロントチェンジで再びボールを右手に移動、方向変換した分奥原と洋の間に隙間が、つまりドリブルの進路が出来た。洋はそのまま体をねじ込むように、不断使っている洋の言葉を借りて言えば、ディフェンスに対して肩を入れた。
早田は洋に一歩遅れを取った。このままだと、完全に抜かれてしまう。
と、その時、第三の男が洋の前に立ちはだかった。
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