前のエピソード――第10問　住居侵入殺人事件《解答》

　大学の男子寮で大学生が惨殺されました。

　体中をナイフで滅多刺しにされており、死体には嬲り殺された痕跡が残っていました。

　被害者である大学生は家庭教師のバイトをやっており、手元には数学の教材がありました。

　その他にも手がかりがあり、被害者の近くには血痕でダイイングメッセージのようなものがありました。それは、

『　|　＝　―　』

　という等式のようなものでした。

　犯行時刻に犯行現場にいて、なおかつアリバイがなかったのは三人だけ。

　その三人の証言は次のようなものでした。

　被害者が担当していた生徒の徳川徹

「先生に遊びに来ていいって言われたから、いつものように遊びに来たんです。そうしたら先生が死んでしまっていて……。しかも、あんなむごい殺され方しているなんて。凶器なんですかね？　転がっていたあのナイフも先生の血で……。吐きそうでした。犯人の心当たりならあります。第一発見者のあの人が怪しいですよ、やっぱり。あの人が殺したんじゃないんですか？」

　被害者の隣の部屋の住人である橋本りん

「物音がしたから隣の部屋に行ったら、あの人が死んでたんですよ。ずっと買い物してて自分の部屋に帰ろうとしたら、あの人の死体がありました。俺、あの人と話したことなんてないですよ。だから恨みなんかもってません。怪しいっていうなら、殺された前日にあの留学生の奴と隣の奴が喧嘩してましたけどね。あいつが犯人じゃないんですか？」

　交換留学生であるエマ・アンダーソン

「喧嘩なんてしていません。ただ、日本と我が国の文化の違いで議論を重ね合っていただけす。口論するのが怪しいって言うなら、あの遊びに来ていたという高校生の方だって怪しいです。食堂まで聴こえる声でこの前言い争っていましたよ」

　さて、問題です。

　犯人は三人の内の誰でしょう？