第6話 オクトーバー6

「なぜだ!? なぜ光らない!?」

変な聖剣エクスカリパーは俺の言葉に反応しなかった。

「アイン!? 怖い!?」

少しづつ間合いを詰めてくるゴブリンたち。

「ガオー!」

ゴブリンが一斉に俺たちに襲いかかってくる。

「イリーナだけは俺が守る!」

身をイリーナの前に出し、討ち死にを覚悟した。

「ギャア!」

俺は火の球が飛んできて、飛び掛かってきたゴブリンが燃えた。

「なんだ!?」

火の球が飛んできた方を見る。

「簡単な魔法は使えるんだ。」

火の球を飛ばしたのは、さっき出会ったオーガスだった。手には火の球を持っている。

「オーガス!?」

剣士だと思っていたオーガスが魔法剣士だったことに驚く。

「小僧、しっかりお姫様を守っているんだぞ。ファイヤーボール!」

オーガスは火の球でゴブリンを次々と攻撃していく。

「ギャア!?」

ゴブリンたちは火の魔法に怖気づいたのか、村から逃げていった。


「ありがとうございました。」

イリーナは村の代表として、村を救ったオーガスに頭を下げてお礼を言う。

「気にするな。それよりも、この村はゴブリンに場所が知られてしまっている。ゴブリンは再び攻め込んでくるだろう。どうするつもりだ?」

オーガスは村の心配をしている。

「村の復旧や壁や塀を作るには時間がありません。いったいどうすればいいのか・・・。」

村の代表とはいえ16才のイリーナは困り果ててしまう。

「どうだろう? 村人の安全のために、村を捨てて、隣町のノーベンバーまで移住してみては?」

オーガスの提案はよそ者の発想にも思えた。

「村のみんなと相談してみます。」

自分が生まれ育った村を捨てろと言われたイリーナも、村人の安全と言われると何も言い返せなかった。

「オーガスさん。俺に剣と魔法を教えてください。」

俺は剣と魔法が使え、旅人として冒険の経験値があるオーガスの実力を目の辺りにして、教えを乞いたかった。

「俺はイリーナのためにも、村の人々のためにも、強くなりたい!」

俺は真っ直ぐな眼差しでオーガスを見つめる。

「いいだろう、小僧。おまえには剣の稽古をつけてやろう。」

オーガスも俺の申し出を快く受け入れてくれた。

「ありがとう。師匠。」

俺はオーガスを師匠と呼ぶことにした。

「誰が師匠だ?」

オーガスは慣れない呼ばれ方に照れ臭そうだった。

「やった! 強くなって貧乏を脱出だ!」

これが俺の本音だった。



魔王の手下の上官エイブラムの洞窟のようなアジト。

「カシオス、おまえにはウルフを。キニールにはスライムの指揮権を与える。オクトーバー村の村人を皆殺しにするのだ。」

アジトにはエイブラムと2人の黒マントがいた。名前はカシオスとキニール。

「はは。魔王様の望みのままに。」

一礼すると黒マントの2人は消えていった。

「ウァズワースめ!? しくじりおって!?」

エイブラムはウァズワースは死んだと思っている。


つづく。

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