雨を知らない

心の雨について話をしてほしい

感情的な言葉である

心に血液が巡ることであれば雨だろう

それは命に係わる重要なこと

抽象的な言葉である

心がどこにあるかは誰も知らない

世界の命題で私たちには左程影響しないこと

物語のファクターである

信頼、疑心、信仰あるゆる根源

悲しみにくれる人の心情を表す言葉

どれもが綺麗だった

汚い言葉ではない

美しく悲しむ言葉で

激しく憎悪する言葉で

諦めを絶望させた言葉で

あまりに心に適した『雨』は

感情を強く、強く表すのに便利だ

字面は綺麗で分かりやすい

しかし現実はどうだろう

あの人の心に雨が降っているだなんて私は知らない

知らないふりをしなければならない

その矜持を守るために

私は、心に激しい雨を降らして目の前を曇らせる

これで私は、私はあの人の雨を知らない

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