おそろしい時がある

しっとりとした雨も暴風雨も

水溜まりも時化た海も

とてもおそろしい

それは心の形と似ていたからだ

人の在り方の一つに見えるからだ

いつだって優しくできる

いつだって縊り殺せる

ただ自然にできないだけの

法律という理性

天秤の重りと傾き

一滴も間違うことなく垂らさなければ

湯呑の縁をなぞるよう、零れぬよう

細心の注意をしながら

雨はおそろしい、恵みであり害であり

荒らされた田畑にいる人間にけどられぬよう

足を地につけておかなければ

立ったら倒れぬように棒として

だが決して案山子にはならない

雨に心を盗られないように

心が雨に囚われないように

今日もししどに泣く

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