かさぶたの続き

嘘です

やっぱりパソコンの

蓋を閉じたあと私は立ち上がり

かわいた赤い手の平を見て

かわいた血ってこうなるんだなぁと

しげしげと眺めておりまして

指紋が良く見えるなぁとか

色はまだ赤いなぁとか

このピトっとした感じのやつが『けっしょう』っていうやつだよなぁとか

考えておりました。


舐めようと思いました。

誰にもバレやしないのだから

こんな機会滅多に無いのだからとて

私は血の塊を舐めました。


なんだか乾きかけのアクリル絵の具をパレットの上で

水を含ませた筆で

今ならまだ間に合うと

なんとか元に戻そうとするときの

作業に似ていると思いました。


舌と手の平の間で

だんだん溶けていった血は

少しずつ私にあの

鉄の味を思い出させてくれました。

そしてそのしょっぱさを感じ

これには塩分やら鉄分やらヘモグロビンやら重要な

生きていくのに必要な物質が入っており

この血がなくて苦労している人なども

世界にはたくさんおり

栄養不足に陥った

全ての人々にとっては

血を舐めるということは

当然のように求めることで。


自分だって子供の頃は平気で舐めていたのに


血を舐めるという事に

吸血鬼みたいだとか気持ちが悪いとか

グロテスクな発想を少しでも持ってしまっていた自分自身が

なんとも情けなくなり

先ほど書いた自分の詩は

やはり無神経なものだったのではないかと

反省した気分になったりして

今はこれを書いています。


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