時は刻まれる

 しばらく使っている腕時計。

 それほど高価なものではなくて、合皮のベルトはもうぼろぼろ。

 きつく締めつづけているからのびてきたのか、最近はひとつきつい穴で留めるようになった。


 ふと見やればいつでも、その時刻を教えてくれる。

 それが正確かは自分の調整次第だけれど。


 辺りが静まって。

 車も通らない。

 人も通らない。

 鳥も虫も泣かない。


 でもその秒針は、刻むことをやめない。

 永遠から一秒を切り取り続ける。


 その小さな音で、電池の続く限り。

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