第2話 学校に来なくなった


窓から差し込む太陽が美術室に反射し、心地よさを感じる。



「ねぇ、晴彦。さっき聞いたこと聞かせてくれない?」



移動教室先の美術室で俺はお互いに絵を描きながら話していた。いつもは一人で太陽や外の風景を描いていたんだが、今日はお互いの顔を書くことに決まった。



「え、さっき聞かれたことってなんだ?」



筆を動かしながらキャンパスに長の島顔の絵を描いていく。



「何のアニメが好きだってこと」



「あぁ、それか。なぁ長島、アニメの話やめないか?見ただろ?クラスでアニメの話してたオタク集団を見下していた奴らを」



「俺は別に気にしてないんだ...何もないから誰から変な目で見られても気にしない。気にしないって学んだんだ。だからアニメの話したいな、晴彦が無理って言うなら構わないよ」



長島には俺みたいな過去があるのかと思いそれ以上の追求は止めることにした。



「長島がそれでいいなら俺も構わない。アニメの話しよう」



「うん!」



長島は笑いながら嬉しそうに返事をした。



「そうだな...俺は今期だったらギルティ・ソードかな。あの迫力感や緊迫感が他のアニメとは次元が違くて。なにより、作画が神すぎるところがやばいんだよ」



「分かる!確かにあのアニメは近年稀に見る神アニメだよね!作画も凄くてストーリーも凄くて。面白いんだよね」



「だよな。それに加えて声優も豪華だよな」



「好きな声優ばっかりだよ。お金かけてて、力を入れているのを感じるよ」



「長島。お前分かる奴だな...」



「晴彦もね!ってか長峰だー」



「そうだった、あっはははは」



「もう、わざとでしょ、わっははははは」



ってか何これ?お互いを見つめながら笑うって俺青春してない?もう俺の高校生活こいつと青春しても悪くないかもしれない。これが友達って奴なのか?俺は友達ってものがよくわからないが。

俺たちはその後もアニメの話などで盛り上がり、気付いた時には放課後になっていた。



「じゃあな長島」



「じゃあね晴彦また明日」



また明日と言われ少し驚いた。一度もそんなことを言われたことがなかった俺は凄く新鮮な気持ちになっていた。またあいつと話そう!そう決めて



「あぁ、明日な」



と手を振り、そう返した。夕日に向かい俺は学校を後にして自宅に向かうのだった。


次の日、長島は学校に来なかった。

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