女大好き、クズ王子~転生魔王のハーレム英雄譚~

🎈パンサー葉月🎈

第一章

第1話クズ、登場

俺の名前はアルトロ=メイル=マーディアル18歳。

 俺の父は小国ではあるが、一国の王だ。


 早い話が俺は王子なのだが、貴族たちの間では前代未聞のクズ王子と有名なのだ。

 だけど俺は気にしない。


 なぜなら俺には兄姉がいる、俺は三男で、兄二人は俺と違いとても優秀だ。

 王族といえば王位継承の問題で仲が悪いと思われるが、マーディアル王家は別だ。


 俺は王位なんて興味がない、それに王はもう疲れた。

 王様といえば聞こえはいいが、実際は面倒な雑務ばかりだ。


 ちなみに次男のマルセイも王位には興味がなく、いつも魔法の研究に没頭している。

 姉は三人いるのだが、女には王位は与えられないからそもそも関係ない。


 例え周りからクズと陰口を叩かれようが、俺の地位は揺らぎはしないのだ。


 なので今日も王宮内を練り歩き、可愛いメイドを見つけてはお尻を撫で回す。

 そう、コレこそがクズと言われる原因だ。


「きゃっ! お止め下さいアルトロ様」


「よいではないか、よいではないか」


 この手の感触、もう最高。

 やめろと言われて止めるようなら初めから触りなどしない。


 俺が今尻を撫でているメイドはシス。

 つい数日前から宮殿に使え始めたばかりの、見習いメイドだ。

 年齢は俺と変わらないくらいだと思う。


 長く伸びた髪に豊満な胸、身長は160くらいか。

 しかし足首まである丈は少し長いんじゃないか?

 これでは引きずり業務に支障が出るかもしれん。


「シス! スカートの丈を摘み、捲り上げてみろ」

「そ、そんな! そのような事できません」


 おぉ! ナイスリアクション!

 頬を赤らめてコイツはドMだな。


「王子たる俺の命令だぞ」


 大体この一言でみんな諦める。

 シスも深くため息を吐き、諦めたようだ。


 シスは恥らいながら、俺の目を見ようとせず、流し目であさっての方角を見ながらゆっくりと捲り上げていく。


 俺は透かさず屈んで至福の光景を眺める。

 視線が上がるにつれ、あらわになる白い太ももに純白。


 っん? 雨でも降ったか!

 なんとやらしい女! 俺好みだ。

 よし今日はシスにするか。


 涙目になりながらそそる表情をするシスに、思わず昂ってしまう。


 立ち上がりシスの肩に手を回し、強引に抱き寄せる。


「さぁ行くぞ」

「行くって? どちらにですか!」

「そんなものは決まっている。俺の寝室だ。」

「お待ちください、私には心に決めた人が――」

「そいつの分まで可愛がってやる」


 俺はそのままシスを強引に寝室のベッドに連れて行き、押し倒した。


「おやめ下さい、アルトロ様」


 俺はそのままシスに顔を近づけた!


「っあ、ッダメ」


 12の頃からメイド達を制してきたこの俺のテクニックに、思わず声が出たか。

 だが本番はこれからだ――



 ◆



 一時間後――


 力なくベッドに横たわり、俺の腕の中でスヤスヤと眠りに就くシス。

 他愛もない、完全に落ちたな。


 シスは目を開け、トロッとした目で俺を見つめている。


「アルトロ様」


 俺の名を呟きながら、何度も自ら唇を重ねるシス。

 もう一回戦するかと思ったのも束の間。


 ドーン!


 物々しく寝室の扉を開け入ってくる茶髪の女。

 気品ある顔立ちに、華やかな真紅のドレスを身に纏っている。


「ジェニル様!」


 慌ててシスがベッドから飛び降り、床に脱ぎ散らかしていた衣服を手に取っては、身を隠している。


 シスが慌てるのも無理はない、この女、ジェニル=マーディアルは俺の二番目の姉なのだ。


 姉のジェニルはベッドで寛ぐ俺と、衣服で素肌を隠すシスに視線を向け、再び俺に視線を向けると嘆息した。


「はぁ、あんただけは本当にどうしようもないわね、アル。お父様やお兄様、お姉様が甘やかし過ぎたせいね」

「姉様も充分甘やかせてくれたじゃないか」

「お黙り! お父様たちがお呼びよ、すぐに服を着て国王の間にいらっしゃい」


 ジェニルはそれだけ言うと、額に手を当て肩を落とし、部屋から出て行った。


 もう少しシスと遊んでいたかったが、父上が呼んでいるのなら仕方がない。

 俺はシスにまた今度と別れを告げ、すぐに服を着て父の待つ国王の間へ向かった。


 国王の間に入ると父はもちろん、兄姉五人全員集まっていた。

 父上は王座にどっしりと構え、兄姉は皆父上の両隣に立っている。


 兄様たちに姉様たちまで呼ばれているとは何事だ?


 まさか俺の小遣い減らす気じゃないだろうな。

 なんて馬鹿な事あるわけない。


「アルトロよ」

「何ですか父上」

「我国アイーンバルゼンと、セスタリカ国が旧知の間柄だという事は知っているな」

「はい。それが何か?」

「セスタリカは今、隣国のパルセミリス小国と小競り合いになっておる。そこで我がアイーンバルゼンから人を派遣する事になり、お前が任命された」

「はぁ?」


 父上は何を言っているんだ!

 それでは俺が戦争に行くという事じゃないか!

 冗談じゃない!


 なんで他所の国の戦争に俺が行かにゃならんのだ。

 自分の国でも嫌だ。


「お言葉ですが父上、俺なんかが行っても何の役にも立ちません。俺よりも兄上が適任でしょう」


 透かさず長女のクレパス姉様が追い討ちをかけてくる。


「考えてみなさいアル、お兄様たちはこの国に欠かせない立場におられるのですよ。フゼンお兄様は次期国王、マルセイお兄様は王宮魔道士の魔道官なのです。万が一の事があったらどうするのです」


 金髪の上品な巻き髪を触りながら、クレパス姉様がとんでもない事をサラっと言う。


 姉様の言ってる事ももっともだ、でも俺に万が一があったらどうするんだよ!

万が一などあるわけないが。

 すがるように兄様や姉様に視線を向けるが、皆目を逸らしやがる。


 クッソ! こうなったら得意の駄々っ子攻撃だ!


「嫌だー! そんな国行きたくない!」


 寝転がり手足を放り投げ、ジタバタしてみせる。

 大体これまでもこれでなんとかなってきたんだ。


「わがままばかり言ってはいけませんアル」

「いつまでそうやっているのみっともない」

「姉様の言う通り、アル君は何もしていないんだから少しは役に立ちなさい」

「すまんなアル、できる事なら私が代わってやりたいのだが、そうもいかんのだ」

「すまないねぇアル。僕も今研究が忙しくてね」


 ダメだ! これはマジのやつだ。

 こうなれば逃げるしかない。

 俺は立ち上がり走った、全力で走った


「っあ! 逃げたわよ」

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