第428話 クラーケン討伐!
朝一番で、飛行艇で待っていた。
皇族や王族は、準備に時間が掛かるのは分かっていた。
「遅くなった」
全員揃って、飛行艇の待機場所にやって来た。
ユキノには悪いが、操縦席には俺とシロが座る。
ルーカス達は、かなり狭いが満員電車程の窮屈感は無い。
「じゃあ、行くからな」
シロの操縦で、飛行艇を上昇させる。
初めて乗ったトレディア達は、声を上げていた。
自分の領地を空から眺める事に、トレディアは感動している様子だった。
オーフェン帝国の皇后は、スタリオンが物心付く前に死去したと聞いていた。
その後も、再婚や側室等で跡継ぎを作らなかったのは、それ程亡くなった皇后を愛していたのだろう。
強さが全ての国で、それを貫くトレディアは、それなりに尊敬が出来る。
スタリオンが我儘に育ったのは、甘やかされて育ったからなのだろうか?
皇族は、普通の者よりも強い力を持っているが、努力を怠らない平凡な者と、天賦の才を与えられても怠けている者とでは、どちらが本当の強さを持っているかと言えば、前者になるだろうと思う。
今のスタリオンのように、一度の負けで自信喪失する事は無い筈だ。
俺自身が、チート的な強さを持ってはいるが、それに胡坐を掻く事が無いようにしないといけない。
人の振り見て我が振り直せとは、よく言ったものだ。
コルサに案内されて、ある程度の位置まで来ると【魔力探知地図】で正確な位置を確認する。
青い大きな印がある。
青と言う事は、危険度が低いという事だ。
これがクラーケンに間違いないだろう。
シロに印の真上まで飛行艇を移動して貰う。
「じゃあ、行って来る」
俺はそう言うと、飛行艇から飛び降りる。
俺が降りたらすぐに、この場所から離れるように、シロには言ってある。
着水と同時に、底の方に泳ぎ始める。
【魔力探知地図】で確認しながら進む為、俺の泳ぐ先にクラーケンが居る事は間違いない。
暗闇に二つの光を発見する。クラーケンだ。
とりあえず、俺はクラーケンに触る。
クラーケンは俺に巻きつこうと触手を伸ばしてくる。
触った感じ、触手だけでもかなりの太さがある。
かなり大きいと聞いていたが、間違いないようだ。
水の中という事もあるが、やはりクラーケンの方が有利なようだ。
俺は水面付近まで【転移】をする。
飛行艇から見ているルーカス達には、はっきりとクラーケンの姿が見えていると思う。
俺は【飛行】で一気に、水の中からクラーケンを引きずり出す。
その姿は、触手も入れれば、五十メートルはあるイカだった。
引きずり出している間に俺は触手で巻かれるので、【一刀両断】で触手を切断するが、クラーケンも【自動再生】のユニークスキルを持っているのか、すぐに斬られた箇所から新しい触手が生えてくる。
とりあえず、出来るだけ高い位置まで移動をする。
その間にも、触手と格闘しながら
高い位置で俺は【転移】を使い、水面近くまで移動して落ちてくるクラーケンに対して【風刃】と【雷球】を撃ち込む。
【雷球】で感電している最中は、自動再生しないようだ。
こんな事なら【雷刃】のスキルを習得しておくんだったと後悔する。
十本の触手を全て切り落とし、両手で【雷球】を撃ち続ける。
【転移】で、眼と眼の間に移動をして、自分に【雷球】を撃ち込みながら、【一刀両断】でクラーケンを縦切りにすると、
俺はそれを掴むが大きすぎる為、引き抜けないので一旦、離れて【転送】を使い、クラーケン本体から
触手は幾つか回収して【アイテムボックス】に仕舞ったが、大きすぎると味が落ちるという言葉を思い出したので、回収を諦めた。
しかし、やはり勿体無いと思い、水中に潜り、クラーケンの死体を回収して【アイテムボックス】に仕舞った。
食べれるかどうかは、後で判断すれば良いだろう。
とりあえず、大きな波を起こさないようにする事にしていたので、近くの港町等にも被害は無いだろう。
思っていたよりも間単にクラーケン討伐は完了した。
クラーケンの
飛行艇の中は、人で一杯なので、クラーケンの
仕方が無いので、飛行艇の外からルーカス達にクラーケン討伐完了を伝える。
本当であればクラーケンの
知られてしまっては仕方が無いので、クラーケンの
ルーカスは、非常に申し訳ない顔をしていた。
横のイースが怒っているのも原因のひとつだろう。
「波を出来る限り立てない方法で討伐したから、港町に被害は無いと思うが念の為、確認してくれるか?」
俺は案内をしてくれたコルサに話す。
「はい、すぐに確認致します」
コルサは、他の四獣曹三人にも指示をして、【交信】を使い港町に待機している者達と、連絡を取り始める。
「何処も被害は無いそうです」
「そうか、それなら安心だ」
俺は操縦しているシロの横に座る。
「終わったから戻るぞ」
ルーカス達に声を掛けて、オーフェン帝国の城に戻る。
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