第327話 没頭!
どうしたら良いのか分からないので、湖の畔で先程と同じで湖面を眺めて考える。
石を拾い、湖に投げたりしていた。
ふと、手に取った石が薄っぺらいと水切りをしてみた。
石が水面を跳ねる状況が思った以上に楽しかった。
薄い石を探し集めて、暫く水切りで遊ぶ事に没頭する。
基礎体力が上がっているのか、力加減が難しい。
小中学生の頃は、簡単に出来ていた記憶があるが、コツを思い出すまでに時間が掛かった。
コツを思い出してからは、十段を超える事を目標に石を湖に向かい投げ続けていた。
十一段出来た時は、思わず声をあげて喜んでしまう。
その瞬間、ふと我に返り「こんな所で遊んでいる場合じゃない」と気付く。
もしかして、このダンジョンに入って一番長く時間を要したかも知れないと、反省をする。
改めて、脱出する方法について考えてみる。
脱出方法はあるにはあるが、反則技なので気が引けるが、この際仕方がないと思い立ち上がり【転移】で上の階層の分かれ道付近まで移動する事にする。
最後の右側の道を進む。
十メートル程歩くと、洞窟の奥から【火球】の攻撃を受ける。
【魔法反射(二倍)】で術者に反射するが、破壊音が響き渡るだけだった。
歩き続けていると、焼け跡を発見する。先程の攻撃してきた場所のようだが、人の気配は無い。
その後も幾つかの魔法攻撃を受けるが、全て【魔法反射(二倍)】で自動反撃するので、ひたすら歩くだけだった。
魔物も出ずに、魔法での攻撃を仕掛けてくるだけなので、魔法系の罠に特化した道なのだろうか?
そうであれば、俺にとってこんな楽な道はない。
少し笑みを浮かべながら歩いていると、後ろで何かが崩れる大きな音がするので、振り返って少しの間、様子を見てみると、聞き覚えのある骨が重なる音が響いてきた。
横穴等を気にしながら歩いてきたので見落とすわけはない。
先程の音は、新たな道が開いて魔物を送り込んできたと推測する。
先程と同様に【火球】が飛んでくるが、魔物の正体を確かめたいので、避けて対応していると【スケルトンメイジ】の集団が姿を現した。
進行方向からの攻撃でなく後方からの攻撃ということは、この先に侵入者を追い込みたいと考えているのだろうか?
とりあえず、スケルトンメイジを撮影する。
今迄のスケルトン系魔物同様に、片目が青白く光っているのでそれが
【転送】を使い、
全てのスケルトンメイジを倒すと、道を戻り横穴がないかを確認する。
通って来た道は塞がれていて、新たな横道が出来ていたので、その道を進むと下への階段を発見する。
階段を下りるか、道を進むか悩んだが面倒臭いので、階段で下りる事を選択した。
階段を下りると、水滴が落ちて石に当たる音が響いていた。
ヒカリゴケも無く暗闇の為、【光球】で辺りを照らすと、大きな空間が広がっていた。
「なんだ、この場所は?」
疑問に思いながらも、辺りを見渡すが何もない。
落とし穴等の罠があるだけなのか? 止まっていても仕方ないので、歩いてみるが何も起きない。
先に進む穴や、階段等も見当たらない。
……もしかして、行き止まりか?
そんな事を考えながら、下りてきた階段の方に向かうと階段両脇にあった大きな岩が姿を変える。
ゴーレムの一種【ロックゴーレム】だ。
ゴーレムの中でも最下位の種類だが、防御力だけは高いし魔法攻撃も殆ど効かなく厄介な魔物だ。
ダンジョンで出会ったら速攻で逃げるのが良いと、以前ムラサキに聞いたことがある。
逃げるのが最善なのかも知れないが、逃げる気は毛頭ない。
忘れないうちに、ロックゴーレムを撮影してから、戦闘をすることにする。
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