第224話 孤児院の移設!
フランが、孤児院の子達を連れて服を購入している間に、『ブライダル・リーフ』に戻る。
入口に人だかりが出来ているが、外に貼ってある紙を見ると店から離れて行く。
暫く遠巻きに見ていたが、同じ様に人が入れ替わる。
……貼紙の効果があったみたいだ。
しかし、ルンデンブルク家の記事は凄いな。
昼になり最後のお客を送り出すと、マリーが扉を閉める。
それが午前の営業時間が終了したのだと分かると、徐々にその場から人が散っていった。
ライラに連絡をして、先程閉めた店の扉を開けてもらう。
「大変だったみたいだな」
疲れているだろうライラに、言葉を掛ける。
「はい、マリーさんが大変そうでしたよ」
この言葉で、少しだけマリーの会うのが億劫になった。
二階に行くと疲れ果てたマリーがソファに座って顔を上に向けて目を瞑っていた。
顔の前で、「お疲れ!」 と声を掛ける。
突然声を掛けられた事に驚いたのか、目を開けたら俺の顔があったから驚いたのか分からないが、体を起こした。
「ある程度覚悟はしていたけど、想像以上の忙しさだったわ」
「俺も想像以上だったから、悪かったな」
「いいわよ。 どちらにしろ、この状況が変わらないのは事実だしね」
「暫くは、続くと思うが頼むな」
「……はいはい」
いつもならもう少し文句を言ってくるが、俺が経営から一線を退くと言った事が関係しているのかも知れない。
今後、何かにつけてこう思ってしまうかも知れないと思うと、自分が情けなく思う。
そんな事を思っていると、リロイからの連絡があった。
孤児院での件があったので、その事なのは推測出来た。
「タクト今、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」
「孤児院の件ですが、タクトの好意に甘えようかと思います」
「あぁ、分かった」
「一番防壁側の土地になりますが、いいですか?」
「構わないが何故、一番防壁側なんだ?」
「内側ですとどうしても、商業施設が多くなる為、子供達に危険が多いと判断しました」
「成程な、孤児だから隔離って訳では無いんだな?」
「断じて、そのような理由ではありません」
リロイなりに、色々と考えてくれたのだろう。
本来、領主の仕事ではないだろうに申し訳無い。
「リロイを信じているからな!」
「ありがとうございます」
「孤児院には、リロイ側から報告してくれ。 それとある程度、決まってからでいいから状況を教えてくれ!」
「分かりました」
リロイとの連絡を切る。
『衣食住』の『衣』と『住』は何とかなった。
あとは、『食』か……
これは、助成金で何とかなるだろう。
今、俺に出来る事はこれ位か……勉強やらも教えれるといいんだがな。
それに、今後は仕事も考えてないと、いけないな。
働くと言っても、親の手伝いや、知り合いの店での雑用等、色々だ。
孤児院を出た後にでも自立出来ないと、無理に冒険者になったり、犯罪に手を染めたりする可能性もある。
早めに対応したいが……
【適材適所】を使って、子供達の適性を見極める手段もある。
しかし、子供なので色々な可能性は秘めている筈だ。
それを一方的にと言うか、一度【適材適所】で確認しただけで、はたしてそれが本当に正しい事なのかさえ疑問に感じる。
子供達が出来て、手っ取り早いのは、畑仕事だろう。
畑仕事であれば、小さい子でも負担が少ない。
それに、食費の足しになる。
食べる量以上に収穫が出来れば、収入にもなる。
パンと言っても、前世で食べていたパンのように美味しい物でもない。
乾パンに近いものだ。
個人的には、米が食べたい。 味噌汁が飲みたい。 醤油で刺身を食べたい……
【全知全能】に質問すればいいんだよな?
俺の知識に連動しているので、これらの質問には答えられるはずだ。
色々な問題が、一段落したら食材探しの旅に出てみるか。
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