第192話 エルフのスキル!

 レイ達エルフ三人娘を引き連れて、『迷いの森』の大樹まで【転移】する。

 到着と同時に樹に手を当てて、リラを呼ぶ。


 森に入った時点で、俺からの情報が自然と渡っている筈なので、理由は分かっているが、面倒臭そうに現れた。


 いかにも初めて知りましたという顔で、エルフ三人娘を見る。


「あら、珍しい御客様ね!」


 若干驚いた演技をしている。


 ……この演技になにか意味があるのか?


 一応、リラに事情を説明して、暫く匿って欲しいと伝える。


「別に良いわよ。 フローレンスに貸しという事にしておくわ」

「フローレンス?」


 聞いたことの無い名だ。


「私達の森の管理者様です」


 レイが、フローレンスについて説明をしてくれた。


「あぁ、リラの同類か!」

「えぇ、そうよ」


 挨拶がてらに、リラはレイ達にフローレンスの様子を聞いている。


「タクトさん、レイ達のユニークスキルは見ておいた方が今後、役に立つわよ!」

「……そうなのか? また騙そうとしていないか?」

「またって失礼ね!」

「紋章の意味をレイ達に聞いたぞ!」

「あぁ~その事ね」


 リラが言うには、『大樹の祝福』にはそういう意味もあるが、エルフの居ないこの森では関係無いと、言い訳をしていた。

 まぁ、今更だがどうでも良いが……


 リラも都合のいいように俺を利用したいのだろうが、それはお互い様だ。


「タクトさんを都合のいいようになんて、利用はしませんよ!」

「……厄介な能力だな!」

「便利な能力ですよ」


 考えている思考まで読まれている。

 ……隠し事は出来ないが、その分信頼関係もあるという訳か?


 リラは、笑顔のまま俺をみている。



「レイ、お前達のユニークスキルを教えてくれ!」


 エルフ三人娘は何の事か分からない様子が、エルフ特有のユニークスキルを教えてくれた。

 【不老】【不死(条件付)】【蘇生】だ。

 新しいスキルは【蘇生】だけだが、レイが昨夜見せたのも【蘇生】のひとつだと言う。


 【蘇生】は、生きる希望を芽生えさせるのと同時に、【治癒】でも難しい瀕死もしくは、死後24時間以内であれば、命を吹き込む事が出来る可能性がある。

 対価として、『MP』と『HP』を一定量を消費する。

 状態により消費する量は異なるらしく、どちらか一方でも不足しているとスキルは発動しない。

 また、蘇生の成功率も術者と対象者によって異なる為、確実に蘇生するとは限らない。


 エルフは、同族にしか【蘇生】のスキルを使わないので、人族や魔族に対して使用した場合に、どこまで効果があるかは分からないらしい。


 これは、簡単に試す事が出来ないスキルだ。


 たしかに、これは役に立つユニークスキルだが、この世の常識を根底から覆す『諸刃の剣』だ。

 その分、スキルの交換値も多い。

 スキル値の貯金が又、無くなりそうだ……


 このスキルは使わないに越したことは無い。

 使う時が来るとすれば、かなり切迫した状況だろう。

 

 エルフ三人娘に礼を言う。

 リラに対しては、なるべく早く戻ると伝える。、


「今、この森はタクトさんのお陰で、安全だから大丈夫よ」


 心強い回答をくれたので、任せても問題無い。

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