第113話 眠れない夜!
……駄目だ。
とてもじゃないが眠れない。
懸念していた事が的中した。
右にシロ、左にライラが寝ている。
俺が端で良いと言ったが、ふたりに反対され中央で寝ることになった。
寝返りどころか、体を動かす事も出来ない。
そもそも、ふたりの寝顔がまともに見れない。
ふたりとも疲れたのか、ぐっすりと眠っているのだけは分かる。
この状態が三時間程続いている。
……そろそろ限界だ。
例の正体不明な精霊? でも出てきてくれると、動ける理由が出来るんだが……
家の前がギルド会館の為、酒場から酔っ払いが出てきては、夜遅くまで騒いでいるので、少し後悔していた。
しかし、ライラが【結界】で外部からの音のみを遮断してくれたので、家の中は快適な空間になった。
【全知全能】に確認すると、あらゆる物に結界を張る事が出来るらしい。
術者が死亡しようが破壊されない限りは、永久に効力を持続する。
しかし、俺が出入りすると毎回破壊する事になるので、【魔法反射(二倍)】を入口で【オートスキル】から外す必要がある。
折角【結界】を張ってもらったライラに、大変申し訳ない。
動くとふたりを起こすので、部屋のソファまで【転移】する。
ベッドを見ると起きていない様子なので安心する。
今後の展開を考える。
まずは、リロイとニーナの結婚式が最優先だ。
それに伴い『幸福の指輪』の販売。
販売するには、下のスペースの改築が必要になる。
レイアウトも決めないといけない。
商売するなら、人手もいる。
カンナからの、師匠への贈り物の件もある。
来月と言っていたので、あまりゆっくりもしていられない。
トブレから依頼のあったリストの素材も早く集めて渡しておきたい。
フランの仕事も、確保するようにしないといけないな。
明日は朝一にフランを連れてトブレの所で、改良写真機の検証もしなくてはいけない。
そういえば、事前に新聞社への売り込む為の写真も撮らないといけない。
ニーナの引越しもあるが、荷物なんてあるんだろうか?
大荷物だと、引越しの手伝いが必要になるな。
……思った以上にやる事満載だな。
転移する前は、もう少しスローライフを送るつもりでいたのに、実際は真逆の生活になっているな。
スキル値の事もあるので結婚式が終わったらすぐ、旅に出かけないとな……
家を購入したのに、また野宿か。
まてよ!
夜だけ【転移】すれば、野宿の必要が無くなる。
なんで、今まで気がつかなかったんだ!
俺って、天才か!
昼間留守の間は、シロにライラの面倒を見て貰うしかないよな。
クロにもフォローをお願いするか。
なかなか、あのふたりの昔話を聞いてあげることが出来ないな。
ソファに寝転んでみるが、ベッドで寝るよりも緊張しないのか、睡魔が襲ってくる。
今日は、このままここで寝ることにするか……
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