2章

第41話 貨幣価値!

「ようこそ、防衛都市ジークへ」


 正門を抜けると、娘が大きな声で歓迎してくれた。

 都市では、こんな感じなのか?

 どこに行っていいか分からないので、周りを見渡していると先程の娘が声を掛けてきた。


「何か、御困りですか?」

「宿屋を探している」

「それなら……」


 この街にある三つの宿屋を紹介してくれた。

 その中で、庶民的だと言う宿屋に決め、道を教えてもらう。

 これがとても分かりづらい。


「ちょっと、待ってください」


 フランがカバンの中から、紙と書く物を出した。

 娘からの道案内情報を、紙に書き特徴を補足で書き足している。


「こんな感じですか?」


 娘はフランの書いた地図を見て、


「とても上手ですね! 分かりやすく書けてます」

「ありがとう」

「暫くこの街に滞在されるのですか?」

「はい、出来ればこの街に住むかの検討もしてます」


 フランは、この街で仕事を見つけるか、ダメなら次の街へ移動するという事も検討しているのか?


「そう、この街に暫く滞在するなら今度又、地図書いてもらってもいい?」

「えぇ、いいですよ」

「私は、アヤって言うの。宜しくね」

「私は、フランと言います。こちらこそ、宜しくお願いします」


 アヤと別れて宿屋に向かう。

 やはり、街だけあって人の往来が激しい。

 フランは、こんなに人が多い所に来るのが初めてらしく戸惑っている。


「お前ら、金無いだろうけどどうする?」


 ふたり共、住み込みで働ける所をとりあえず探すと言う。

 そんな簡単に見つかるか不安だったが、取りあえずは自分の力で頑張ってみるそうだ。


「今夜、泊まる所が無かったら必ず連絡するんだぞ!」


 ふたりは、礼を言うが今日中には、仕事を見つける事が難しいだろう。

 幸い、俺にはゴブリンやオークから奪った貨幣がある。

 ただ、この世界の価値が分からないうちは、無駄使いは出来ない。


 【全知全能】だと、貨幣やりとりは金貨になる。

 金貨一〇〇〇枚で、白金貨一枚になるが一般にはあまり出回らない。

 主に商人等の取引に使用されるそうだ。 

 

 今の俺の所持金は、約金貨七〇万枚になる。

 ゴブリンやオークには、使い道が無いのか大量に貯めていたようだ。

 しかし、魔物の戦利品の換金率が分からない。


「そこで、休憩でもするか?」


 貨幣価値を確認するのが目的なのだが、フランが人混みに酔ったのか、気分が悪そうだ。


「いらっしゃいませ!」


 店員が元気に挨拶をする。

 席まで案内されて、メニュー表を渡される。

 メニュー表の文字から、飲み物や食べ物が想像出来ない。


「俺、よく分からないからマリー適当に注文して」

「適当にって、一番困るわね……」


 マリーが適当に注文してくれた。

 暫くすると、注文に品を運んで来てくれた。


 カップに茶色した飲み物と、パンのような物とサラダっぽい物だ。

 飲み物を口にする。薄い紅茶のような感じだ。

 パンのような物は、かなり硬いパンだった。

 サラダっぽい物は、ドレッシングとは程遠いが塩っぽい味付けがかかっていたが、それなりに美味しかった。

 これからの事を色々と話しながら一旦、俺の泊まる予定の宿に向かいそこから個人行動にした。

 俺の泊まる予定の宿を、何かあったときの待ち合わせ場所にした。


「ここは俺が払っておくよ」

「ご馳走様」

「ありがとう」


 書かれている金額を計算して、金を店員を呼び支払いをする。


「少々、お待ち下さい」


 注文した品を一品ずつ計算している。

 計算が出来ないのか?


「はい、丁度ですね。ありがとう御座いました」


 店を出て、俺の泊まる予定の宿まで着いたので、解散した。

 宿屋で、とりあえず一週間の滞在だと伝えると、一泊で金貨五〇枚だった。

 庶民的という割には、案外高額の印象がした。

 冒険者や旅人相手だから、高めの料金設定なのか?

 貨幣換算すると俺って、思っていたより金持ちってことになるな!

 とりあえずは、冒険者登録する為にギルド会館まで行く事にする。

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