第12話 Bトラスト

 -愛知県名古屋市某所-

 

 ここにある仮説を立てる男がいた。

 

 Bトラスト地下3階、秘密裏に建設された、対巨大生物対策釣具開発室。


 「仲松さん?やはりあの巨大生物は、ゴジラみたいに放射能汚染によって産み出された生物なんですかね?」

「ははは!まさか?来栖くん、僕はそんなんじゃないと思うよ?」

「では?」

「ん~。実は、天竜湖には昔から、巨大生物伝説があったんだよ。」

「そうなんですか?」

「うん。これらは、ある人から預かっている文献なんだけど、ここには昔から、天竜湖に伝わる巨大生物の話が指し示されてるんだ。」

「こんなものがあったんですね?」


手渡された文献は古びていて所々破れていた。

「ほんとだ!既に江戸時代には、あの生物と似たような絵が記されていたんですね?」

「そうなんだよ。もう一冊も見てみな?」

 手渡された文献を読んでみると、

「あれ?こっちの文献には武田信玄の埋蔵金の話が書いてあるじゃないですか?」

「そうなんだよ。この二冊から推測するとどうなる?」

「あの巨大生物は信玄の埋蔵金を守るためにあそこにいると?」

「ははは!やはりそう考えるよね?まーそんな短絡的な話じゃないんだよ、実は!う~ん?これはあくまで僕の仮説なんだけど…。」


 そう前置きして、仲松さんは語りだした。

 

 実は天竜湖には30年程前から、巨大生物の目撃情報が多発していた。それは放射能処理施設が完成した頃から始まっている。その後すぐに国は、放射能汚染という事で天竜湖を封印した。だが、それは建前で、実は放射能処理施設は政府が極秘裏に生物兵器の実験をしていた場所である。そして、そこから逃げ出した一匹が天竜湖で目撃され、噂になった。慌てた政府は、この情報を隠蔽し、武田信玄の埋蔵金伝説をでっち上げ、昔からそこにユーマ伝説があり、所詮は伝説だという風潮を作り上げた。そして逃げ出した巨大生物の捕獲を試みたが上手くいかず、しかも自衛隊などを出動させてしまうと、生物兵器の実験をしていた事が明るみに出てしまう可能性がある。その為、プロの釣り人に捕獲を依頼している。だが、捕獲は難を極め、釣り人は次々と巨大生物の餌食に。


「なるほど~!しかし、この文献よく出来てますね?」

 相変わらずこの人の考察力は鋭い。

「あくまで僕の仮説だけどね?(笑)」

「なんか、当たっている気がします!」

「噂では、生物兵器研究所の所長は天竜村村長の嶋田という噂も?」

「そうなんですか??」

「まー、とりあえずは僕らのやれる事をやろう。もうすぐ拳骨ハンドルと拳骨ギヤが完成する!」

 僕らの戦いも、すでに始まっている。

 僕もブリッツェンの改造を頑張らなきゃ!


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