第10話 村長
- 二週間後 -
天竜村役場、資料保管室
僕は村に帰ると、浅井さんから頼まれた調べ事をしていた。
二週間、村中を調べ歩いたが、浅井さんの読み通り、怪物に結びつくような情報は一切得られなかった。不自然な程に。
「もしもし浅井さん、上田ですけど、やはり浅井さんの言った通りでした。はい、えー、そーですね。えー。」
浅井さんと電話をしていると、突然資料室のドアが開いた。
ガチャ!
「上田くん。仕事中に何をしているんだい?ここは課長以下は立ち入り禁止の場所だよ?」
「すっ、すいません。山田課長。祖母に天竜村ダムに沈んだ親戚の家の写真がないか聞かれて…。」
「そんなものここにはないよ!早く出て行きたまへ!」
「すいませんでした。」
浅井さんの予想はこうだ。
恐らく、政府機関から送り込まれた人間が複数この村の住人に成り済ましている。そして、怪物に直結する資料の改竄を行っている。
”そうなると変だ?死んだ剛造さんは、政府に頼まれて、怪物の捕獲を頼まれていると言っていた。その話が本当ならば、なぜ政府の人間が怪物に関する資料を握りつぶしているのか?自衛隊でも出して駆除すればいいのではないか?極秘裏に捕獲をすすめる理由は何故なのか?廃墟のはずの核処理施設…もしかしたら、そこに何か秘密があるのかもしれない? ”
「上田くん!余計な詮索は命に関わるよ?」
ギクッ……。
「冗談だよ!冗談!はははっ!」
どうやら山田課長もその何かを知る人間の一人のようだ。
バタン。
僕は資料室を後にした。
「うーん。上田くん気付いちゃったかな~?」
「し、嶋田所長…、いらしてたんですか?」
「アホー!ここでは村長と呼べゆーてるやろ!」
「あっ、すいません村長…、でも村長も関西弁は止めて下さい!」
「アホー!お前が所長言うから思わず出てもーただけやがな!」
- 嶋田吉平 -
(天竜村村長、核処理技術者として天竜村に移住その後、村長になる。村人からの信頼は絶大。しかし彼にはもう一つ裏の顔がある。)
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