第83話果たして私は何処に向かっているのだろう?

「あっ、そうだ今の内にもう一人、私の仲間紹介しておくよ」

「ん? 仲間? これで全部では無いのか?」

「うん、実はもう一人居る。ヘルさん」


 〈はじめまして〉


「ひゃわっ! あっ、頭の中に声が! ま、まさか主様!? 仲間と言うのは亡霊系か?」


 ああ、そんな考え方も有るのか。


「も、もしそうなら仲間になるのは考えさせて欲しいのじゃ! 我、幽霊イヤじゃ! 幽霊怖い!」


 なに言ってんのこの元魔王?


 死霊魔法使って不死の軍団作ったあげく、自分だって不死の王ノーライフキング何て呼ばれてた癖に、しかも幽霊ってもろアンデット系になるんじゃ無いの?

 それだと自分の仲間怖いとかって感じになってたの? 自分で作った部下にヒビリながら指揮する魔王とか、斬新過ぎませんかね!?


「えっ? 幽霊怖いの?」


 あっ、エレオノも同じ様に考えてた。


「えっと、昔はどうしてたんですか?」

「雑魚感MAXゴブ」

「誰が雑魚感MAXじゃ! それに我の部下には幽霊はあんまり居なかったのじゃ!!」

「そうなの?」

「うむ、我怖いからあんまり作って無い!!」


 いっそ清々しい位に無い胸を張って宣言する元魔王改め、ヘタレ魔王少女。これでどうしてあんなに恐れてたよ人類?


「よくそれで何とかなったね? もしかして凄く慕われてたのかな?」

「む、良いこと言うのじゃドワーフ! と言いたい所じゃが、実際は我よりも最初から我の部下だった側近がとても優秀だったのじゃ! そのお陰で我はあんまり指示とか出さずに暴れれば良かったのじゃ」

「へぇー、そうなんだ」


 ヘタレ魔王少女で脳筋か~、ありだね!


 〈……マスター〉


 すいません怒らないで! でもまあ。


「とりあえず訂正すると、ヘルさんは幽霊じゃないよ?」

「ん? そうなのか?」

「えっと、実はですね……」


 と、アリシアが説明を始める。


 何か最近、新しい仲間に事情説明するのがアリシアになってきてる。まぁ、説明するの面倒だから良いけどね! アリシアは後で頭撫でてあげよう。


 〈……喜ぶと思いますよ。絶対〉


 お、おう。


 〈説明が終わったようですよ〉


「ほう、主様は良き仲間を連れておるのじゃの」

「まあね」

「さっき見たステータスの板もヘルのスキルなのか?」


 〈はい、そうです〉


「ふむ、不思議な存在ではあるの」


 〈同感です〉


「よろしくのヘル」


 〈ええ、よろしく〉


「そう言えば一つ思ったんだけど、優秀な部下が居たとはいえ、その性格でよく魔王務まったよね?」

「なんたる言い草じゃ。主様その聞き方は失礼じゃぞ! とは言え、当然と言えば当然じゃの」

「どゆ事?」

「主様は気が付いておらんのか? そこのほれアクアと言ったか? 主様と同じ元ミニゴブリンの奴じゃ」

「アクアが何?」


 魔王少女の言葉に全員で首を傾げる?


 よくわからん?


「主様は転生者じゃから余り変わらんだろうが、アクアは普通のモンスターじゃろ? なら進化する度に性格や、言動が変わる筈じゃ」


 えっ? あれ進化の仕様なの?


「アクアが変わってたのって、進化が理由だったんだ?」

「確かに言われて見れば進化後が一番変わりますね。やっぱり気のせいでは無かったんですね」

「むしろ気のせいで済ませるのはどうなのじゃ?」


 元魔王に超正論言われたよ!


「……じゃロリのヘタレ魔王少女の癖に」

「おい主様! 何か聞捨てならん単語が沢山並んでおったぞ! 変な属性を付けるな」

「「「まあまあ」」」

「何か全員に言われたのじゃ!」

「コレくらいで取り乱したら、ハクアの仲間なんてやってられないよ?」

「いろいろ疲れる前に諦めた方が良いですよ?」


 何なのその評価!?


 〈大体あってませんか?〉


 なんと!?


「まぁ良い、我の場合は退化? した事で多少幼さが出ておるんじゃろう」

「自分の事の割りに他人的な言い方だね?」

「実際自分では変化はあまり感じないのじゃ」

「へぇー」


 〈話が一段落付いた所で彼女の名前を決めて下さいマスター〉


 そう言えばまだだった。


「元々何て名前だったの?」

「我か? 我の名前はジグルス・エルクーラじゃ!」


 魔族って濁点付く名前多いの?


 〈かもしれません〉


「じゃあ名前はそのままで」

「良いのか?」

「うん、その代わりクーって呼ぶ」


 そう言うと何故か一瞬力が抜けた様に感じる──が、特に身体はなんとも無いし以上も無いので気の所為だったのだろう。


「うむ、それで良いのじゃ! 皆もそれで頼む!」

「分かりました。よろしくお願いします。クー」

「了解だよ。クー」

「分かったかな。クー」

「クーよろ」

「うむ」


 うんうん。皆仲良くなって、良きかな、良きかな。


 〈では、改めてクーのステータスを確認しましょう〉


「よろしくなのじゃ」


 〈了解です〉


 名前:ジグルス・エルクーラ(クー)

 進化:1

 レベル:1/20

 性別:女

 種族:グール

 HP:∞

 MP:200

 物攻:60

 物防:40

 魔攻:80

 魔防:60

 敏捷:40

 知恵:400

 器用:180

 運 :10

 武器:

 副武器:

 防具:

 アクセ:

 魔法:

 闇魔法LV.3

 魔法名:

 ダークボール、ダークアロー

 武技:

 固有技:

 称号:

 眷属、堕ちた魔王

 スキル:戦闘系スキル

【結界LV.1】

 耐性系スキル

【闇耐性LV.5】

 補助、その他スキル

【不死】【再生MAX】【弱点光】

 スキルポイント1500


「よ、弱くなってる」


 再び膝から崩れ落ちるクー。


 うむ、まぁだからこそ私がクーをテイム出来たんだけどね?

 そう言えば今後、クーが私より強くなったらテイムってどうなるんだろう?


『シルフィン:それなら大丈夫です。一度契約すれば主人より強くなっても主人が死ぬまで契約は続きますから、まあ解呪の方法もありますけどね』


 良かった。とりあえずは平気そうか。


「でも、我が魔王クラスまで戻れば分からんがな!」


 またもクーはふんすっ! と、胸を張ってそんな事をのたまわり始める。


「まぁ、変な事したら腹パンすれば良いか。今度はもっと全力で……」

「ひうぅ、な、なんじゃ! ま、また我のお腹にズドンするのか? も、もう嫌なのじゃ!」

「それは心掛け次第」

「一生忠誠を誓います!」


 元ヘタレ魔王少女は私が今まで見たこと無いくらいの綺麗な土下座を披露する。


「……遂に元とは言え魔王を土下座させちゃったよ」

「ご主人様は本当に凄い方です!」

「あぁ、そう言う評価になるんだ? 本当にぶれないかな。アリシアは……」


 〈ついでなのでこのままコロとクーに【主従契約】と【魔物契約】をしていまいましょう〉


 マジか!


「ほ、本当にやるんですかヘルさん?」


 〈良い機会なので〉


「どんな物なのじゃ?」


 〈それはですね……〉


 ヘルさんが二人に説明をしているとアリシアが話し掛けてきた。


「あ、余り悪戯しないで下さいね!」

「大丈夫! 任せて!」


 私はアリシアを安心させるため親指を上げ良い顔で答える。


「駄目だね」

「駄目ゴブ」


 何で!?


 そうこうする内にヘルさんの説明が終わり二人が戻って来る。


「こんな便利な物ならさっさとやるのじゃ主様」

「ボクもOKかな」

「「「ああ~」」」

「な、何かな皆?」

「何なんじゃ?」

「「ガンバ」」

「……ご主人様」

「任せて」


 ▶【主従契約】をコロに使用しますか?

 はい⬅

 いいえ


 はいを選択すると何時もの様に私からコロに光の糸が伸びる。


 そして、同時に【魔物契約】も発動してクーを選択する。


「はいを選べば良いのかな」

「我もじゃな」

「うん」


 二人がはいを選択した事で、私の左右の掌に魔方陣の様な物が浮かび上がる。


「後は、私が心臓に押し付けるだけ」

「「心臓?」」

「そう」

「ま、ま、ま、待つのじゃ」

「そうだよハクアちょっと待つかな」

「問答無用」

「きゃああ」

「みにゃああぁ」


 そして契約完了! ありがとうございます。


 〈その痣の様な物が僕の証です。痣の色が赤色から黒に近付く程、マスターへの服従度が高い事に成ります〉


「うん、はぁ、あぁぅ!」

「ふみゅ~、んぅん!」

「お疲れ」

「何か……疲れたかな」

「……汚されたのじゃ」


 何か言い方酷くない!?


 こうして私達は契約を終えダンジョンを後にした。


 うん、今回も良い思いしたぜ!!!


 果たして私は何処に向かっているのだろう?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る