第4話VS寿命
⋯⋯どうもこちら士道白亜です!
異世界転生したら何故かゴブリンに。しかも産まれたばかりなのに寿命のカウントダウン残り30日!
もう笑うしかない!! アッハッハッ! ……つらたん。
〈ショックを受けているようですが女神様からメッセージが届いています再生しますか?〉
何!? 女神からメッセージだと! 私の酷すぎる現状に救済処置、キタコレ!! もうなんだよー。駄女神かと思ったけど意外に女神っぽい所あるじゃないか。再生、再生プリーズ!
〈では再生します〉
『くくっ、先ほどぶりです。白亜、ああ今はゴブ子でしたね!』
笑いを堪えながらも会話を続ける駄女神様。
ああ、そうか、私のラスボスはこいつだったのか……。どうにかしてこいつを呪い殺す事は出来ないだろうか? 呪殺の方法をちゃんと勉強しとけば良かった。無念。
私が半ば本気で駄女神の殺害計画を真剣に考えている最中も駄女神様は会話を続ける。
『転生先がミニゴブリン。しかもどう考えてもアースガルド最弱ぷぷっ、なんですか? 私を笑い死にさせる気ですか? あはは! そんな事で神殺しの称号獲得するの貴女が初めてですよ?』
そんな勿体無い事しようとしてない。むしろ私はこの手でお前をボコボコにしたい。
『まあ、滅多にない事ですが、そんな貴方に私からの特別大サービスです。貴方には目覚めの奇蹟というアイテムを差し上げましょう』
何通りかのプランで駄女神殺害計画を立てながら、神という存在と力、スキルなんて、摩訶不思議な能力が存在する世界で、どれも現実的ではないと思いつつ気になるワードに耳を傾ける。
目覚めの奇蹟とは、意思の無い物に意思を持たせる事が出来るアイテムで、意思を持たせた物を使い魔にする事が出来る物らしい。
『それを使い、なんとか生き抜いて下さい。使い方は今の貴女ではアイテムを持てないので、頭の中でアイテムを使いたいと願えば使えるようにしてあります』
ウーン、それがあってもこの状況なんとかなるかな? まあ、無いよりましか。
『それと寿命の事ですが、確かに貴女の転生したミニゴブリンの寿命は30日ですが、助かる方法はありますよ』
良かったぁー。ちゃんと生き残る方法あるんじゃん! 焦って損したかな?
『まあ、ありきたりではありますがその方法は進化する事です』
女神が言うには、アースガルドの魔物は進化を繰り返し行う事でより長く生き、より強い力を得る。進化の方法は様々で、レベルを上げたり、条件を満たす事で進化可能。
進化条件を満たせば、脳内アナウンスで進化出来る個体名が流れるので、それを選べば進化出来るのだとか。
成る程、進化すれば寿命が延びるのは納得だね。進化の仕方によっては凄く強く成れるかも?
『では、進化を目指して頑張って下さい。私は貴方のファン一号としていつでも見守っています。覗きながら……たまにちょっかい出すので簡単に死なずに私を楽しませて下さいね? いつでも貴女を見てますよ?』
女神からのメッセージが終わったのは良いけど……、何故だろう? 微妙に寒気がする。
あの女神、実はストーカー気質なのではないだろうか? 最後の台詞が妙に実感籠もってて嫌なんだが。
しかもちょっかいって何? 何時から私のファン一号になった?? ま、まあそれよりも進化と目覚めの奇蹟を何に使うか……かな?
目覚めの奇跡が私の思う通りなら、今私が考えついた事も出来るようになる筈。
〈それでは女神様が進化の説明をなさって下さったので全てのチュートリアルを終了します〉
ちょっと待った! 後ニつだけ質問良い?
〈構いませんが私には貴女にお伝えする初期知識しかありませんよ。それでもよろしいのでしたら〉
うんっ。全然問題無し! じゃあ、取り敢えず一つ目の質問、貴女に意志が在るのかどうか、ニつ目は私に協力してくれる気はある?
〈一つ目の質問の答えですが私に意思は在りません。私は女神様に創られた、皆様に基礎知識を伝えるだけの役目なので意思は必要無いのです。ニつ目の質問ですが、私は貴女達転生者をサポートするのが役目なので是非もありません〉
ウーン、一つ目は予想通りだけどニつ目はちょっと思ってた答えと違う。
けどまぁいいか。じゃあ目覚めの奇蹟をチュートリアルさんに使っても大丈夫だよね? あれ? 確か考えるだけで良いって駄女神言ってたよな。
▶目覚めの奇蹟をチュートリアルに使用しますか?
はい
いいえ
オォ~出た! 勿論、はい。
▶──目覚めの奇蹟をチュートリアルに使用しました。
⋯⋯使ったのは良いけど変化無くない?
〈いえ、アイテムは正常に作用しました。私自身今までと違い色々な考え等が浮かんでいるので……〉
良かった失敗したかと思った。でも、ごめんね。事後承諾になるけど使い魔なんかにして。どうしてもただ消えるのが許せなくてさ。
〈私自身いきなりの事で戸惑いがありますが。意思を持てた事、存在を許された事は素直に嬉しく思います。これから宜しくお願いしますマスター〉
マスター、良い響きだなぁ~。こちらこそ宜しくヘルさん!
〈ヘル? それは私の個体名ですか? もしかしてヘルプから来ています?〉
そうだけど駄目? 気に入らない? いや、確かに私ネーミングセンスあんまりないけど。
〈いえ、気に入りました。私の役割を端的に示す良い名前です〉
そかそか。よし、それじゃあこれから一緒に頑張ろう。
〈はい、マスター〉
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
そして産まれて三日目、私は膝から崩れ落ち泣きそうになっている。
〈マスター、遊んでいるとせっかくの兎が逃げますよ?〉
あっ、はい、すいません!
私は今日も動物狩りに精を出す。産まれた次の日、私の体は成長して幼稚園児並になり、もう普通に行動出来るようになった。
私のいるゴブリンの巣には私の一日前に産まれたもう一匹? 一ゴブ? うーん。一人のミニゴブリン♀がいた。母は同じらしく、そんな私達の仕事は他のゴブリン達の食料調達。
そんな事を思い出しながら兎を罠の方に追い込むと、バサバサッ! ドン! と、音が響き私が仕掛けた落とし穴に兎が落ちた。
「ギギ、ギー」
それを見て嬉しかったのかミニゴブリンが私に抱き付いてくた───のだが。
正直、この世界のゴブリンは可愛いくないのでちょっと恐い。
〈流石に、それは可哀想なのでは?〉
しょうがないじゃん! まだ三日目だから慣れないんだもん!
そしてこの私に抱き付いてきたのが、私の相方に当たるミニゴブリンなのだが。名前はゴブゑと、言うらしい。
しかしなんで旧平仮名? 普通に平仮名の「え」で良いじゃんよ。
『モンスターの名前はランダムですby女神』
この子、怪我をしてたから治療してあげたらなんか懐かれたんだよね。
「ギッ、ギー」
喜んでいるのはなんとなく解るけど言葉が無いって不便だなぁ。
〈基本ゴブリンの知能は低いので言葉は喋れません〉
あれから三日、やはり動物狩りではレベルは上がらず。成果はヘルさんが仲間になった事とゴブゑに懐かれた事のみ。
VS寿命などと思ってみても、私はまだ戦いのフィールドにすら、辿り着けずにいた。
私生き残れるかな?
ゴブ子寿命まで後27日
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