ミニゴブリンから始まる神の箱庭~トンデモ進化で最弱からの成り上がり~

リーズン

第1話あぁ、私死んだのか

 何がどうなったんだろう?


 目が覚めるとそこは全く知らない場所。


 そして目の前には電波な美女が一人。


『誰が電波ですか!!』


 何か聞こえたけど気にせず行こう。


『まさかのガン無視!!』


 そして、私は電波の妄言を無視して、今日の朝からの出来事を思い返して行く……。


 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

「ふぁ……ねむ……」


 昨日までが土日だった事もあり、前日夜更かししていた私は昼過ぎに起きた。


 昨日のレイドボスはマジで鬼畜だったなぁ……。と、この頃嵌まっているオンラインゲームの事を思い出しながら、大きな欠伸をしつつ時計を見た。


「……あ〜。十二時かぁ、今から学校行ってもしょうがないよね。二度寝しよ……」


 時計で時刻を確認した私は独り言で自己弁護すると、そのまま布団に潜り込み、優雅に二度寝に興じようとしたその時、ふとカレンダーが目にはいる。


「──ッ! 今日十六日!! チェックしてたエロゲの発売日じゃん」


 ゲームの発売日を思い出し、一人そう叫びながら、私は部屋着からササッと着替えて外に出る。


「日射しが暑い。と、いうか明るい! 目がぁ~、目が焼ける~」


 土日での昼夜逆転の生活が祟り、日射しにHPを削られながら、なんとか目的のゲーム屋に辿り着き、少し不快な思いをしながら目的の物を手に入れる事が出来た。


「あそこの店員、何時もジロジロ見てくるから嫌なんだよなぁ」


 って、いうかコミュ障なんだよ! 話し掛けるなよ! 緊張するから嫌なんだよ。 


「いきなり話し掛けてくるから噛んじゃったし。うぅ、恥かいた。ショップ特典さえ無ければこんな事には……」


 花も恥じらう女子高生にいきなり話し掛けるなんてなんて奴だ! 全く!


『平日の昼間から学校サボってエロゲ買いに行く女子高生が花も恥じらうとか(笑)』


 うるさいよ? 人の回想に勝手に入ってくるのやめて貰えます?


 なんか混神こんしんしたけどまぁいいか。


 私は少し前の醜態に嘆きながる買ったゲームを早くプレイするために、赤から青に変わった横断歩道を急ぐ。


 そして──。


 ブオォォォオ!


「ん? なっ!?」


 次の瞬間に見たのは、間近に迫ったトラックと居眠りしている運転手。


 音は聞こえていたが、まさか止まらないとは思わなかった。それに、待ちきれないからと袋を覗いて、パッケージをニマニマと眺めながら渡ったのがいけなかった。


 そのせいで反応が遅れ、その結果……。


 ドンッ!! キキー!!


 一瞬の衝撃が私を浮遊感に誘い、そのままドサリと身体は落下した。


 全身が痛い……気がする。


 もう痛みはあまり感じない。


 見える範囲でも酷いケガのようだ。


 足や腕もどうやったらこんな風になるんだろう? と、思わず他人事のように思ってしまうような、訳の解らない捻れ方をしている。


 我ながら他人事だなぁ……。


「あぁ、ショップ特典のタペストリーが────」


 こんな状況でも自分の血に浸かったタペストリーが気になりそんな事しか考えない自分。流石です。


 なんて事を考えながら私は意識を手放した。


 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

「あぁ、私死んだのか」


『ずいぶんとまあ、素直にご自身の死を認めましたね。普通こんな状況をすんなり認められる人間は稀ですよ? その調子で私が女神だということも素直に認めなさい』


 そのあまりにも他人事な感想に、電波美女改め自称女神がツッコミと自身の身分を認めさせようとしてくる。


 うん。断る!


『何故!? それにその説明は止めなさい。それじゃあ小説では描写も挿絵も無くて、漫画では影や声だけの登場人物になりそうな感じじゃないですか!』


 律儀にツッコミを入れてくる辺り、根は真面目なのだろう。もしくはアイデンティティーに関わるのかも知れない。


 そして後半のメタ発言はどうかと思う。ちゃんと説明したらレギュラーになって出てきそうじゃないか。よって却下です。


「当たり前でしょ。自分があんな目に遭った直後、目の前に自称女神です。なんてのが現れて誰が信じると思ってんの?」


 それならまだ詐欺師の類いだと疑うわ。


「まあなんだ。そこまで言うならせめて、チャンスをあげます。とか、言ってみろや。自称女神!!」


『そこまで言いますか!? それにそういう話はこれからしようと──』


「えっ!? 本当女神様?」


『変わり身が早すぎる!? プライドとか無いんですか!?』


「一度死んでまでプライドに拘るとでも? つーか、貰える物はなんでも貰う。ある意味それが私のプライドでい!」


『身も蓋も無いこと言い切った! あ、ある意味清々しい程潔いですね貴女』


 この女神、意外に乗りが良いな。


 などと考えていると、幾分持ち直した女神が居住まいを正して話し始める。


『え~、オホン、それでは色々と脱線したけれど本題に入ります。まずは──士道白亜しどうはくあ


 私の名前を読み上げた女神は、聖嶺高校に通う十七歳の女子高生。趣味はラノベ観賞、ケータイ小説漁り、ゲーム全般。


 特に最近はオンラインゲームに駄々嵌まりし、明け方までプレイして遅刻する事が度々ある。


 こやつ人の個人情報をペラペラと挙げ連ねおる。


『なかなかにニートな生活してますね?』


 うるさいよ!?


『フムフム。しかも、家から遠い学校に通う。と、いう理由で一人暮らしなのをいい事に、半引きこもり状態。友人が迎えに来なければロクに外にも出ずに引きこもると──』


 そこまで言う必要性あんのかコラ。


『まあまあ、間違いや手違いがあると申請が大変なんですよ。まあ、本人確認が出来た所で──』


 と、一息入れる。


『士道白亜、本日十二時三十分新発売のエロゲを、フフッ……買いに、行ってその帰り道、クッ……居眠り運転しているトラックに撥ね……られ……て、死亡フッフフッダメッ! なにこの理由。出不精がそんな物買いに出掛けて事故るとか──何回読んでも笑えるwww』


 女神→笑いを堪えきれず爆笑中。


 私→今なら何かに目覚めて駄女神を撲殺出来そうな予感。


『あ~、笑った』


 さて、やはり殺そうかこの駄女神。


『まぁまぁ落ち着いて。そんな可哀想な最期を迎えてしまった貴方に異世界転生の権利をあげます』


 私の殺気の籠った目を見て冷や汗を垂らしながらそんな事をのたまわった。


 と、いうかなんて言った? イセカイテンセイノケンリ?


『まあいきなり言われても混乱するでしょうが先ずは説明を、貴方が転生の権利を得た世界の名は【アースガルド】世界観は剣と魔法のファンタジー! 魔物に邪神、魔王、勇者やドラゴンまで居る定番の世界! 勿論レベルの概念、スキルや熟練度もありますよ』


 何故か駄女神がドヤ顔で説明している。


 てか、世界観はとか言ってるんだが? それにレベルとかまるっきりゲームだ……。


『そう、正にそこがミソなんです』


「頭の中を読まれてる!?」


『いや、先程からずっと会話続いてましたよね? アースガルドは私達神が干渉するために作った世界。理由は今の地球には、ゲームやアニメのせいで様々な架空の神が生まれ。さらにネットのせいで本来の神より信仰を集めて、力を持ってしまったせいなんですよ』


 と、色々喋っているが解りにくいので要約すると。


 1、様々なメディアのせいで架空の神が生まれた。


 2、神は信仰により力を得るが、ネットのせいで架空の神の方がファンが増え力関係が逆転。


 3、困った為古参の神が様々な異世界を創造、そこに全部つっこんだらいい感じに収まった。


 4、古参の神も面白そうだから移住して、それぞれの世界で好き勝手にレベルやスキル等の概念を増やした。その為、定期的に地球の人間を送らないとバランスが崩れると泣き付かれた。


 5、地球人は異世界を維持する力があるらしく、勇者召喚や転生で、神々が見ていて飽きなさそうな人間を送っているらしい。


「とっ、こんな所かな?」


『身も蓋も無いけど概ねその通りです。なので、貴方には転生者特典としてスキルポイントを2000とチュートリアルを差し上げます』


 マジか!? ネット小説を読み漁り蓄えた、異世界チート知識をフル活用する機会があるとは……人生とはわからんもんだな。


「因みに、そのスキルポイントってどんな基準で決まってるの? 後、チュートリアルって?」


 こういう大事なのは先に聞かないとね。お約束お約束。


『基本はレベルアップ時にスキルポイントが貯まります』


「基本?」


『はい、他には神々が定めた称号でも貰えます。例えば邪神の討伐とかですかね。後は自分で探してください』


 邪神倒すってエンドコンテンツじゃね?


『その他は転生者と召喚者に与えられる特別なものです。基準は生前の行い等で決まります。大体の平均は500ポイントくらいですね』


 平均の4倍と……流石私、日頃の行いがやはり良かったか。


『いえ、貴方の場合は生前の行いが100ポイントくらいですね。後はBPです。まあ、半引きこもりのネットゲーマーではこの程度ですね』


「BP? って何」


『あぁ、私が作った爆笑ポイントの略です』


「まだ死因を引っ張るか貴様!? と、言うか1900ポイント分とか、どんだけ人の死因で爆笑してくれてやがる!」


『まぁまぁ、良いじゃないですか。そのお陰で大量にポイントゲット出来たんですから』


 ……絶対こいつの顔面殴ってやる。


『後、チュートリアルは自分が産まれた場所と状況の簡単な説明を脳内でしてくれます』


「それ、なんの意味があるの?」


『生まれは選べませんからね。ご自分の産まれた国々の状況とかを、頭の中で説明求めれば答えてくれるんですよ。それではスキルを選んで下さい』


 ふーん、まぁまぁ便利そうだなぁ~。と、そんな事よりスキルスキル!


 おっ色々あるな、あっこの【剣聖】とか【魔道の極み】とか良いな。でも5000ポイントか全然足らないし。逆にチート物お約束の【鑑定士】スキルは100ポイント? 少なくない?


『あぁ、スキルは個人の資質でポイント決まってますから人によって獲得するためのポイントが違います。因みに、物によってはポイント使わなくても取れる物も有りますよ』


 なるほど、おっ、このスキル【喰吸くきゅう】 まさか、あの小説によくある魔物を倒せば倒すだけステータスやスキルゲット出来る系のあの能力か?


 1900ポイントってマジかよ。これは確実に私に【喰吸】と【鑑定士】この2つのスキルをゲットしろと神が言っている。


『いや、私何も言ってませんよ。本物の目の前で勝手に神託受けないで貰えません!? ゴホンっ! そのスキルで良いのなら頭の中で取得したいと念じて下さい』


 うるさいなこの駄女神様。それはそうとそうやって取得するのか。よし! 欲しい欲しい。


【喰吸】【鑑定士】合わせて2000ポイントです取得しますか?


 オォ! 頭の中で声がする勿論yes。


【喰吸】【鑑定士】取得しました。


『これで全て終了です。では、新しい人生の異世界ライフを頑張って生き抜いて下さい』


 ふふん、言われなくても、チートライフを楽しんでやる! このスキルがあれば第2の人生勝つる。

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