私、見送る。

先輩と並んで、手を繋ぎながら歩く帰り道。世の中のカップルはいつもこんなに幸せな気持ちなんだろうか。

ゲームのハイスコアを更新したり、甘い物を食べたり、そういう時も幸せだけど、今感じてる幸せは今まで知らなかった種類の幸せで、先輩と一緒にいればさらに量的にも種類的にもたくさんの幸せを得られるのか思うと、ワクワクドキドキする。


「幸せだなぁ……」


「ん?何か言った?」


「いーえ、何でも。」


思わず呟いてしまっった言葉に反応するくせに聞き取れていない鈍感系先輩。

まあ、聞かれてなくて良かった。

さすがにまだ聞かれるのは恥ずかしい。

でも、いつかは……


「桜ちゃん家、ここでしょ?」


「はい、そうですよ。」


幸せな時間が一旦終わりを告げる。

けれど、大丈夫。また会える。

まだまだ幸せを見つけていくのはこれからだから。


「それじゃ。」


「あ、先輩!その……またメールしてもいいですか?」


「当たり前だよ?むしろどんどん送ってきてよ」


「はい!では、また今度」


「ああ、また」


帰っていく先輩の後ろ姿を見ながら、改めて幸せを感じる。

「また今度」と言えることがどれだけ幸せなことか。

明日、また、会える。

だから、明日も頑張れる。


恋愛って、こんなに幸せなものなんだ。

ああ、恋愛して、ほんとに、よかったなあ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る