私、嬉しさいっぱい。

先輩、思ってたよりも鈍かった。

「そんなこと書いてどうするの?」と訊かれた時は絶対バレたと思ったのに………

でも、バレたらバレたでそのまま勢いで告白してしまってもよかったのかもしれない。

そう考えるとなんか複雑。


それに、先輩のパーソナルデータがいろいろ手に入ったのは嬉しい。

先輩には彼女ができたことが一度もないとか、す、好きな女の子のタイプとか。


『好きな女の子のタイプってありますか?』


『ある程度可愛くて、とっても優しい子がいい。高望みし過ぎだとは思ってるんだけど。』


先輩、私、がんばります!


あと意外だったのは、帰宅部だったってことくらいかな。

あれだけ動けるなら、運動部所属だと思ってた。

でも、女子マネージャーとかに気を付けなくていいのは良いことだ。


そんな嬉しさいっぱいの私は今、お昼の後の予定を先輩に伝える直前。

先輩の服を見に行き、お礼に一着買ってプレゼントするつもりだ。

あわよくば、つ、次のデートにも、着てくれたらな、って………


でも残念なことに、私は男のファッションどころか女のファッションすらよくわかっていない。

学校以外に外出することもないから、考えたこともなかった。

一応今日のために色々調べてはいるけれど、自信がない………


「さて先輩、好きな服の系統とかあります?」


「………服に系統とかあるの?」


「先輩、もしかしてファッションに気をつかわないタイプですか?」


「いや、だって外に出る機会とか無いからさ………」


私と同じようなことを言っている。

これはチャンス!


「だったら、先輩の服一式揃えて私がプレゼントします!この前のお礼ということで!」


「いや、お金がかかるし申し訳ないからいいよ……」


「いいえ、プレゼントさせてください!私のためと思って!」


「いや、せめてお金は払わせて、情けないから………」


ぐいぐい迫ると、折れてくれた。

プレゼントにはならなかったけど。


という訳で、早速お店に行きましょう!

もちろんさりげなく手を握るのも忘れずに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る