俺、路地裏で囲まれる美少女を助ける。

放課後に遊ぶ友達もいない帰宅部の俺は、家にまっすぐ帰ろうと帰路を急いでいた。

空を見た感じ雨が降り出しそうだし。


傘を片手に走っていると、路地裏に美少女一人と不良が三匹いるのを見つけた。

『オオカミと三匹のコブタ』なら立場が逆だな。

今の『コブタと三匹のオオカミ』だとパワーバランスが酷い。


でもまあ見かけ倒しっぽいし、見てしまったからには助けるしかない。

しかも囲まれてるのかなりの美少女だし。


「お前ら、よってたかって美少女を囲むのはよくないぞ~」


「あぁ?なんだお前、正義の味方面か?今すぐどっか行くなら見逃してやんよ!」


「や、別に正義の味方になるつもりは毛頭ないけど、潰せそうな悪があるなら潰すくらいには良心あるよ?」


「はっ!かっこつけられんのも今のうちだ!一人で三人に勝てるわきゃねえだろ!」


「それはどうかなっ!」


言い終わると同時に手前の一人に傘をつきだして喉を突いた。

あっ、結構がっつり入った。

ちょいとやりすぎたかも。


その後突っ込んできた奴の面をうってから空いた左手であごをなぐる。

上手くいけば脳震盪になるからな。


最後の一人はすれ違いながら胴打って柄で背中をなぐった。

頭を地面にぶつけたのだろう、「ぐぇっ」と汚い声を上げて気を失った。

ぐぇって。悪役みたいな声を上げるね。実際明らかな悪役だけど。


昔俺は剣道やってたから並みの相手に負ける気は無いが、それにしても弱すぎる。


連携も何もなかったので、一対一を三回やっただけ。

こちらは武器あり。

むしろ有利なのはこちらだ。


さて、助けたは良いが、場に残った美少女はどうするか………

不良たち?ほっときゃ起きるんじゃない?


「と、とりあえず、近くのファミレスでも行って落ち着きますか?」


ちょうどファミレスを見つけた。

コミュ障気味の俺が目を逸らしながら言うと、美少女はこくりとうなずいた。

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