王様はオタクと仲良くなりたい!
ケケケのケ
第1話 私の友人になってくれ
「私の友人になってくれ」
「嫌です」
異国人は、今日も私の望みをぶった切る。
「――っ、何故だ。この私の何が気に入らないというんだ……」
私はウノハ・ブーゲンビリア。砂漠の国「クシャトリア王国」の若き王だ。
王の私が話しかければ、男は嬉々とした顔をし、女は頬を赤らめるというのに……目の前の異国人は「光栄です」とも言わないし、黄色い声も上げない。
異国人と出会ったのは、一月前。
変装して町を視察している時に、妙な恰好、みたこともない持ち物をもった異国人をみつけた。
どこの国の者か? 何故、クシャトリアに来たのか? など尋ねたが、異国人の説明はよくわからなかった。
だが、異国人がカラスバという名前であることと、行く当てがなく困窮していることはわかった。
また、カラスバは私の弟の危機を救った。褒賞として、屋敷を与えたというわけだ。それに、素性も目的も何もかも謎に包まれた異国人に興味もあったからだ。
まだ私が存じない未知の国から来たのか。あるいは、敵国の間者なのか。
まずは距離を縮めようと、友人関係になろうとしたのだが、
「あなたと友人なんて……面倒くさいです」
こんな風にいつも断られてしまうのだ。
王の私が友人になろうと言えば、皆、「恐悦至極でございます」と嬉しさと恐れで声を震わしながらも承諾するというのに……この異国人は一向に首を縦に振らない。
むなしいが、それもまたカラスバに抱く興味を一層募らせた。
カラスバは手元の妙な板に視線を向けたまま、言葉を続ける。
「何度来ても答えは同じですよ、王様。それにそろそろ、正午の政務が始まる時間ですよ。向かわなくていいんですか?」
カラスバの言う通り、大臣達の元へ行かなくては。
「……また明日来るよ、カラスバ」
君が私を友人と認める迄、何度だって通おう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます