kneading 第2話

休みが終わり仕事が始まる。

月曜日の朝イチから忙しい状態。あちこち飛んで回ったり、まさにドタバタしてる月曜日だった。

おかげで余計な考え事をしなくて済んだが、やはり何処かでアキさんは帰って来たのかなと気になっていた。

昨日ユウさんに言われた事もあり、なるべくそっとしておこうと思ってはいたのだが……

日中は忙しかったが夕方には落ち着いていた。まぁこっちに来て実感したのだが、やはり田舎は朝が早い。特に農作業してる人達を相手にする会社なのでより実感する。その分、夕方には落ち着く日が多い。朝型のサイクルでみんな過ごしてる感じ。

おかげで残業することなく会社を出る。


帰って来てるのかどうか確認する為だけに、わざわざアキさんの店を回って家に帰る。


車は……あった!


よかった。帰って来てた。


途端にお腹が減り、ホッとした事も重なりヘナ~〜 とカラダ中の力が抜けてしまった。



家に帰り久々に張り切って自炊。

大した物は作れないが凄く満足し美味しく感じた夕食だった。


風呂に入り一息ついた頃、電話が鳴った。


カオリさんだった。

「仕事終わりに行って来て、今帰って来たとこ」


「アキさんとこ? 」分かってはいたが一応訊いてみた。


「うん。ちょっと色々言ってやろうと思ったけど言えなかったよ。意外と乙女でしょ (笑) 」


「アキさんはどう? 大丈夫そうだった? 」


「それがさ~〜 普通。何も無かった様に普通」

「こっちが勝手に騒いでるみたいで…… もう最悪! 」

いつものカオリさんというか凄い嬉しそうなカオリさん。


「まぁ、良かった。うん、良かった」何かこっちまでカオリさんの嬉しそうな感じが乗り移った感じだった。


電話の最後にカオリさんが

「何か、ごめんね。…… マコちゃん話易いからついね」


と、電話を切ったのだが、自分は正直その言葉がたまらなく嬉しいというかドキドキしたと言うか。



普通の日常になり忙しい日々。

なかなかユウさんの店 [ピッグペン] にも行けず、無論アキさんの店 [アフターイブ] にも行けなかった。


休みの日

日々の疲れが出たのかぐっすり寝ていた。

が、突然ドーンと花火の音。

何だ何だと思って飛び起きてみたが、周りは変わり無し。イベント事かな?

しばらくして少し遠くから何か聞こえてきた。

マイクで何か喋ってる。ん? 祭りっぽい。

思わず身仕度を整えた。


なぜか昔から祭り好き。積極的に参加するタイプではないけど観るのが好き。その場の雰囲気が好き。

賑やか音のする方へ行ってみた。


街の1番大きな建物 (町民センター) の駐車場で祭りが行われていた。こんなにこの街に人いたっけ? という位、賑やかな感じで思わずテンション上がりまくり。

ぷらぷらしてると会社の人達に声を掛けられ昼間からいきなりビールジョッキを渡された。ビアガーデンには、まだ季節は早いのにこの街の人は結構お酒好き。

田舎の祭りにありがちなカラオケ大会やら早食いイベントやらが行われていて、それがまた意外と楽しかった。

昼間に飲むビールで酔いが早くご機嫌になった時、後ろから肩をポンポンと叩かれた。



アキさんだった。


久しぶりではあったが、それ以上に長い事会ってなかった気がして思わず抱きしめたくなった。

ほろ酔いの赤ら顔の自分に対して横からツッコミが入る。

「マコちゃん、いい感じで楽しんでるじゃん! 」

そうツッコミを入れたのはアキさんの隣にいたカオリさんだった。

酔っていたせいもあり

「うは~〜 カオリさんも良かったじゃないすか~〜 いい感じですよ~〜 」皮肉っぽく、ちょっと意地悪っぽく言ってみた。


「うわ~〜 性格わる~〜 マコちゃん大分飲んでるの? 」

そう言いながら少し嬉しそうなカオリさんだった。


アキさんは自分の隣にスッと座りビールを頼みジョッキを自分のジョッキにコツンと当て

「何か久々の感じだね。乾杯! 」


カオリさんも割り込む様に

「私も、乾杯〜~! 」


「おっ! いたいた! これ食え」

ユウさんが自慢の鳥の唐揚げを持ってやって来た。


昼下がり。

賑やかな祭り。

久々に4人揃って飲むお酒。

たまらなく美味しく、とんでもなく酔った。

でも 今まで味わった事ないくらい心地良すぎる酔いだった。


「おぃ! マコ! まだまだこれからだぞ! 」


お酒が入ったカオリさんは、かなりタチが悪そうだ。


第2章 終

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