第356話 聖母マリアっておっぱい大きかったのかな
「やっぱり覗き見はよくないな。ティモテからピーピング・トムな出歯亀エロガッパ
方針転換。
ここはまず無難に、最初に声をかけるとしよう。
「よっ、こんな時間まで――」
起きてるなんて努力家さんだな――そう言いかけた俺の言葉はしかし、そこで中断されてしまった。
というのも、
「~~~~~~~~~~」
部屋の中で両膝を床についたティモテが、聞こえるか聞こえないかの小さな声で、一心不乱にお祈りしていたからだ――。
世界から隔絶され、ただただ無心となって聖母マリアに祈りを捧げる。
その姿はまさに聖女の再来と呼ぶにふさわしい――、
「えっと、マナシロさん?」
ちょうどタイミングよくお祈りの小節が途切れたのか。
俺が思わず見入ってしまっていた間に、ティモテが見上げるようにしてこちらを見ていた。
「――あ、いやその、悪い。お祈りの邪魔をしちゃって。ドアの隙間から灯りが漏れてたから気になってさ」
なんだかんだで結果的に、こっそり覗き見したような状況に陥ってしまってバツが悪い俺だった。
いやほんとそんな、今回に限っては女の子のプライベートをのぞき見してやろうなんていう下世話な気持ちは全然まったくちっともなかったんだよ?
だっていうのに、
聖母マリア=セレシアが普段エロいことばっかり考えている俺に、これ幸いと罰を与えたとでもいうのか?
も、もしかしてあれか。
聖母マリアっておっぱい大きかったのかなって、ちょっとでも思っちゃったのがいけなかったのか?
「マナシロさん――」
「ほんとごめん! のぞき見するつもりはなかったんだけど、熱心に祈ってる姿を見たらついぼうっと見とれちゃって――」
「そんな、マナシロさんが謝る必要はありません。わたしの方こそ、夜遅くまで起きていたせいで、マナシロさんに変な気を使わせてしまってごめんなさい」
「いやいや。それこそ別に謝る必要なんてないよ。真夜中に徘徊してる俺の方がむしろおかしいわけだし」
「それは一理ありますね」
「そこ、納得するんかい!」
思わず突っ込んだ俺に
「ふふっ、冗談ですよ」
いたずら成功って感じで、小さく笑ったティモテ。
「くっ、なんだこいつ、可愛すぎるだろ……」
さすが聖女の再来。
しかも可愛いだけでなく、話し上手なうえに、心が優しい女の子であることよ。
「そうだ。せっかくですし、マナシロさんも簡単なお祈りしていきますか?」
「お祈り? ああいや、俺はいいよ」
俺は無神論者――というか大多数の日本人と同じで、必要な時にだけ必要な神様に神頼みをするという、都合のいい宗教観だからなぁ……。
改まってお祈りをすると言われても、ぶっちゃけピンとこないというか。
「そうですか……」
俺の返答に、ティモテがちょっとだけしょぼーんとした顔をした。
すぐにまた笑顔に戻ったものの、可愛い女の子をしょんぼりさせるのは本意ではない。
「えっと、だってほら、祈る先は慈愛の聖母マリアなんだろ? 博愛精神なんて持ちあわせてない俺は、どう考えてもノーサンキューされそうっていうか?」
「多くの方から慕われているのを見ても、マナシロさんはとてもお優しい方だと思いますが……でもそれなら大丈夫ですよ、マリアは助ける相手を選別したりはしませんので。困っている人がいたら、すぐに飛んでいって助けちゃうのがマリアなんです」
「改めて聞くとほんと凄い人だよなマリア=セレシア」
しかも名門貴族、超いいとこの出なんだろ?
普通そういうとこの子供って選民思想っていうか、庶民を見下すのが当たり前って感じで育ちそうなのに。
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