第328話 手っ取り早く暗殺しようって話もあったね
「ちなみになんだけどさ。手っ取り早く暗殺しようって話もあったね」
「……おい」
発言内容のあまりのあまりさに、思わず真顔になったわ。
「いやいや、アタイが言ったわけじゃないよ」
「それはわかってるけどさ……」
ワンチャン暗殺もあります、なんていわれて喜んじゃうヤツは相当頭がイカれている奴だけだろう。
「ま、暗殺の話はすぐになくなったんだけどね」
「うん、それは素直にありがたいな」
少なくとも俺は帝国と事を構える気はないし、帝国だって非道の残虐国家ってわけじゃない。
特に敵対しているわけでもないんだから、危険性とかいう可能性だけで俺を暗殺するのはやめてほしい。
「この件でいうと、特に大きかったのが《
「ふむ、居合わせなくとも
言いながら、《
「ほら、おいで」
俺はその頭をなでなでしてあげた。
むふむふ言いながら《
「それで、ナイアはその暗殺の話に対してなんて言ったんだ?」
俺は《
「簡単なことだよ。仮に帝国が関与していなかったとしても、万が一にでもセーヤが不審な死を遂げれば、セーヤと懇意にしている《
笑えない冗談だった。
それこそ《
そういう意味でほんと笑えなかった。
「逆にセーヤがいる限りは、復活した《
「そういうモロモロがあって、俺に王様になるっていう極上の餌を用意したってわけか……」
「再臨した伝説の《
ナイアのその言葉に、
「あ、アタシがいるよ! アタシも《
またもや余計なことを言ってしまった精霊さん。
憐れ、《
「なーに。キサマ、消滅しても復活したではないか? それもつい先日の話なのじゃ。であれば、羽の1枚や2枚もがれたとて、たいしたことはないであろう?」
「あれはアストラル界の中心だったから起こりえたマジモンの奇跡だってば!? 物質世界じゃ絶対に無理! 死ぬから、本気でアタシ死ぬから! っていうか暴力はんたーい! 精霊に権利を――みぎゃぁぁぁぁぁっっっっ!?」
「暴竜と呼ばれた
いらんことを言ってしまい――だけでなく口答えまでしたせいで、ガチギレの《
ま、まぁ?
二人とも上位のSS級だからこれくらいならおふざけ程度だろ?
「うんうん、仲がいいね、二人とも。仲良きことは素晴らしきかな」
俺は若干強引に自分を納得させると、最上位の存在による子供のケンカみたいな低次元な争いから、そっと目をそらすことにした……。
「ちょ! アンタそれ、アタシの目を見て言ってみなさいよねっ!? だからもげる! もげるってば!? うぎゃぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー……」
なんかそんな感じで?
異世界転生してから約半月。
どうやら俺は「大公」になってしまうようです。
ちゃんちゃん。
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