第241話 マシュマロ転生

「くっ、最近の幼女は侮れないわね……! これが巷で噂の天才キッズってやつかしら……ってことで、そこのアンタ――」

 言って精霊さんはウヅキを指差した。


「わたし、ですか?」

「そう、アンタ。アンタ学生でしょ? 高等部? 何年生?」


「高等部の2年生ですけど、それがなにか――」


「ふふん、ワタシの見立て通りね! おっぱいは規格外だけど! なにを食べたらそんなに大きくなるの? そこのエルフも大概だけど!」


「巫女エルフですから―」

 巫女エルフちゃんがほんわかーと言った。


 すごいな巫女エルフ、なんかもう万能だな!

 でも実は《神焉竜しんえんりゅう》が驚くほどに凄いんだよな。

 あ、おっぱいじゃなくて転移術がだよ?


「まぁいいわ! ところで? 学生の本分といえば、やっぱり勉強よね?」

 精霊さんがいやらしーく笑った。


 なんていうかその、敢えて例えるなら「序盤の噛ませ犬」って感じのにやにや笑いだった。


「アンタどう見ても真面目が取り柄の真面目ちゃんよね……ってことで、ワタシが教科書とか使って、アンタがちゃんとお勉強してきたかどうかをチェックしてあげるわ!」


「いやお前、さっきまで誰でも何度でもトライ可能だったのに、なんで急にウヅキ限定なんだよ」


「べ、ベベベ別に!? その子がいっちゃん弱っちそうだから、いっちょ狙い撃ちしてやるかって思ったわけじゃないし!?」


「……(一同)」


「うっさいわね! 精霊は正直なのよ! 言ったでしょ!? いいからほら、高等部1年生で学習済みの範囲で出題するから、ウヅキって言ったかしら? アンタ答えてみなさい! これが次の知恵比べなんだから!」


 言って、精霊さんはどこからともなく教科書をとり出した。


「えっとシュヴァインシュタイガー帝国指定の歴史の教科書ですね」

「歴史問題よ!」

 とのことである。


 いやそれ自体は別にいいんだけど、精霊さんはどこで手に入れてんのそれ?

 精霊さんも人間の作った指定教科書で、人間の歴史を勉強したりするの……?


 《神焉竜しんえんりゅう》に爆砕されたガーゴイル(故)も10年かけて完成させたって言ってたし、精霊さんってばよほどすることなくて暇なんだな……。


 ともあれ、


「あの、セーヤさん。そういうことみたいなんですけど。わたしがやってみてもいいでしょうか?」

 わざわざ俺にお伺いを立ててくる生真面目なウヅキに、


「もちろんオッケーさ。勉強はウヅキの得意分野だしな。むしろ精霊さんをぎゃふんと言わせてやってくれ」

 俺は親指を立ててグー!ってやって後押ししてあげた。


「責任重大ですね……わたし、がんばります!」

 全幅の信頼を寄せる俺を見て、ウヅキのやる気が猛烈にハイアップした。


 同時に顏の前で両手をグッと握って脇を締める、いわゆる頑張るポーズをとったために、おっぱいがむぎゅーと寄せられて猛烈にパイアップした。


「ご、ごくり……!」

主様ぬしさま、急に静かになってどうしたのじゃ?」


「あのマシュマロに、あのマシュマロに俺はなりたい……マシュマロ転生……」

「セーヤさん?」


「はっ!? いや、なんでもない、なんでもないから! うん、頑張ってくれウヅキ、俺たちの命運はウヅキの頭脳にかかっている!」


「はい――!」

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