異世界転生 11日目
第190話 ただの怠惰自慢だからね……?
翌朝。
「うーん、こうやってみてると何の変哲もないいたって普通の幼女だよなぁ。目だって赤くないし」
「昨日の夜も拍子抜けするほど静かだったのじゃ。
「今もハヅキと遊んでいるのを見ていると、ほほえましいくらいです」
俺と《
「つまり現状は打つ手なしってってわけか」
「ま、なるようになるじゃろ。それより奥方殿。今日はわらび餅、いやサツマイモ餅じゃったか? あれを作るのじゃ、約束なのじゃ」
しかも《
「じゃあ今から作りましょうか。材料さえあれば簡単にできるので、ぱぱっと作っちゃいますね」
「
「いいですけど、あまりつまみ食いしちゃだめですよ?」
「思うにつまみ食いをする分だけあらかじめ多めに作っておけば、つまみ食いをしても問題ないのじゃ。備えあれば憂いなし……この真理にたどり着くとは
「おまえは小学生かよ……」
『S』hougaku-『S』eiで『SS』ってか?
「でもでも、それは悪くない考えかもですね。トワもいることですし今日はいっぱい作っちゃいましょう!」
「さすがは奥方殿、話が分かるのじゃ!」
「ウヅキ、こいつはすぐに調子にのるから、あんま甘やかすなよ……?」
「むむっ、
「あ、おう……ありがと……」
《
相も変わらず可愛い女の子にちょろすぎる俺なのだった。
「セーヤさんはこの後どうするんですか?」
わらび粉――は高価なため、代用品のサツマイモ粉を取り出しながらウヅキが聞いてくる。
「トワが森で倒れてた場所の周辺を調べてみようかなと思うんだ。何か手がかりがあるかもしれないし。それで《
「すまんが
「『剣聖』の奥義、《紫電一閃》を弾き返すお前の耐久力なら、初夏の日差しくらいどうってことないだろ……」
「そこはそれ、耐えられることと、だるくていやーなことは別物なのじゃよ」
「さようですか……」
さも名言でも言ったかのように腕を組んでうんうん頷く《
「うにゅ、まなしー、おでかけ?」
そんな俺たちのところへハヅキがやってきた。
「ああうん、ちょっとな。あれ、2人でおままごとしてたんじゃなかったのか?」
「トワ、おいしゃさんごっこ、にがてって」
ハヅキがちょっとしょんぼりした顔をする。
「苦手というか医者と妊婦という設定は、おままごとの範疇を超えているのではないかと思うのですが……」
ハヅキに続いてとことこやってきたトワが、困惑顔をしながら極めて常識的なことを言った。
「……だね」
どうやら幼女が股間を全開にする事案は未然に防がれたようで、俺も一安心である。
いや当たり前だけど。
「おでかけなら、ハヅキも!」
ハヅキがシュタっと手を挙げる。
「うーんそうだなぁ……でもそっか、そういやハヅキも正確な場所を知ってるんだよな……よし、じゃあ一緒に行くか」
「うん、いく!」
元気いっぱいのその姿を見て、
「はじめて会った時とは見違えるくらいに、元気になったよなぁ……」
俺はしみじみとそう思ったのだった。
「あの、トワもハヅキと一緒に行きたいです」
「うん、トワも、いっしょ!」
そしてトワはほんとハヅキに懐いてるなぁ……。
「じゃあピクニックがてら3人で行くとするか――」
という訳で。
俺、ハヅキ、トワによる『トワの秘密を解き明かせ! 幼女たちと行く南方大森林ミステリーツアー!!』が幕を開けたのだった。
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