第二十四話 アリアの荷物
「よお来たか。カトリーヌ」
「こんにちは」
【宿ベルマン】にカトリーヌと聖女アリアが入ると
受付にたくさんの花が飾られて華やかでそして和む。
「母ちゃーん! 母ちゃーん! カトリーヌが来たぞ」
かっぷくのいいベルマンが妻のキッキを呼ぶと室内中に声が響いた。
「はーい」
宿の奥の台所からベルマンの妻のキッキが顔を出す。
「よく来たねカトリーヌ」
小花柄の三角巾を頭につけて同じ柄のエプロンをつけている。
料理の途中だったようだ。
「こんにちは」
「あれ? こっちのお嬢さんは?」
「アリアです。こんにちは」
「へえ、珍しいね。カトリーヌが人間の友達を連れてくるなんて」
カトリーヌはいつも一人と一匹で泊まっていたからたしかに珍しい。
「あとでエビパイが焼けたら部屋に持っていってあげるよ」
「ありがとうございます」
「さあ。こっちだよ」
女将キッキの案内で2階の角部屋に案内された。
風通しの良い部屋だ。
心地いい。
潮風の匂いがする。
オワイ島と同じだとカトリーヌは思った。
ただ違うのは喧騒だ。
ここはいつでも人の声がしている。
「さて」
そういやアリアは鳥籠以外何も荷物が無い。
「旅の途中だろうに荷物はどうされたのですか?」
「盗られてしまいました」
「えっ! 先ほどの奴らにですか? 取り返しに行きましょう」
「いいえ」
聖女アリアはかぶりをふった。
「盗られたのは昨日で先ほどの者たちにではないのです」
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