第2281話、わたくし、『記念金貨』は発行されるたびにすべて購入することを推奨しますの☆

ちょい悪令嬢「──株なんかに比べて金貨のほうは、たとえ金の価格が暴落しようが、『価値有る資産』として存在し続けて、十万円金貨なら、暴落時点でも数万円の価値が有るし、再び値上がりする可能性すらも、十分有り得るのです(※実は金属としての『金』の価値の暴落時においても、『硬貨』としての『十万円』の価値は維持したままとなります。(後述))」




メリーさん太「ああ、そうか! 株とは違って金貨は、どんなに暴落しようが『実体』として残り続けるから、少なくとも『負債マイナス』にはなり得ないんだ⁉」




ちょい悪令嬢「もし一千万円を基にして資産を増やしたいと思ったら、額面一万円の株を千株買うよりも、十万円の額面の金貨を百枚買ったほうが、『リスク対策』としても、より多い『リターン』を求めるにしても、圧倒的に望ましいわけなのです」




メリーさん太「……だったらどうして、みんなは株ばっかり買って、金を買わないの?」


ちょい悪令嬢「買っている人は買っているとは思いますが、前回も申しましたように、手続きが面倒くさくて、しかも税金関係が複雑なので、素人がおいそれと手を出せないのですよ」


メリーさん太「だからこそくだんの大学の先生は、購入手続きが比較的安易な『記念金貨』が発行された時は、必ず買えっておっしゃったわけか?」


ちょい悪令嬢「純粋な金の価値としては、額面よりも結構下回りますが、現在のような金の高騰時には、本来は四、五万円ほどの価値しか無い金であろうと、購入時の十万円の四、五倍で売れますからね」


メリーさん太「記念金貨と言うことは、個人が何枚も買えるものじゃ無いんだろ?」


ちょい悪令嬢「ええ、特に戦後初の『国家による金貨の発行』となった、『天皇陛下御在位60年記念10万円金貨』なんかは、あまりにも希望者が多かったので、事前に『抽選』が行われたのですが、一千万枚も鋳造されたと言うのに、抽選に漏れた方が多数おられたそうです」


メリーさん太「……昭和の時代から、これまで発行されてきた記念金貨を、全部購入していたら、今頃一財産だよな」




ちょい悪令嬢「──とはいえ、これはあくまでも、『共産主義的な考え方にも、ものによってはめちゃくちゃメリットが有る』ことを証明するために挙げた、『一つの例』に過ぎませんから、金貨を十万円出して買い続けたところで、むしろどんどんと値崩れしていく可能性も有りますので、今回と前回で述べたことを鵜呑みにするのは、厳に控えてください。特に何度も申しますが、素人が本格的に『インゴット金』なんかに手を出したりすれば、大損をする可能性が高いので、『記念金貨』のみを対象とするのをお勧めいたします」




メリーさん太「──うおっ、いきなり予防線を張りやがった⁉」


ちょい悪令嬢「いやむしろこのように、メリットとデメリットの両方を提示することこそが、肝要であって、株を勧めているやつなんて、メリットしか言わないし、こっちがデメリットを指摘したら、わけのわからない屁理屈をこねて、『デメリットなんか無いからッ!』とか、逆ギレするだけだもんな」


メリーさん太「でも、今度始まる『こども支援NI○A』なんて、更に貧富の差が広がるとか言われるくらいだから、確実に儲かるようにできてるんじゃないの?」




ちょい悪令嬢「バーカ、『確実に儲かる』株なんか有るか! おまえら騙されているだけなんだよ!………………富裕層が、更に儲かるだと? 逆だよ! 子供の頃から『奴隷の足枷』を嵌められて、それから一生涯いくら働いても、『可処分所得』が目減りしていく一方になるだけなんだよ!」




メリーさん太「──ええッ⁉ 資産を増やすために投資をやっているのに、一生涯『本来は自由に使えるはずのお金』が目減りしていくって、何だそりゃ⁉」




ちょい悪令嬢「確かに裕福なご家庭だったら、子供の資産作りのために、税金が優遇されているNI○Aを月々数万円ほど納めるくらいなら、それ程苦にならないかも知れません。──でも、当のお子さんが就職してからは、どうでしょうか? 普通初任給なんてたかが知れており、ただでさえ新生活において、これまで親に頼っていた、食費や光熱水費や衣服費や家賃を出さなければいけないと言うのに、加えて月数万円の積み立てNI○Aなんてやっていたら、とても暮らしてはいけないでしょう。かと言って、せっかく親がこれまで積み立ててくれたのに、ここでやめてしまってはもったいないのもまた事実なので、ほとんどの『元扶養家族』たちは、少ない給料からせっせと『別に自分が決めたわけでも無い』資産形成を、『強制』されていくわけなのです(※現時点での予想では、名義人である子供自身が18歳になると、この『こども支援NI○A』の口座の資産は、本人名義の新NI○A口座(成人用)に(つまり強制的に)移管されることになるそうです)」




メリーさん太「で、でも、そのうち給料が上がって、余裕も生まれるのでは?」


ちょい悪令嬢「その時分には、結婚したり、子供が生まれたりして、むしろより苦しくなっている可能性のほうが高いでしょう」


メリーさん太「あ」




ちょい悪令嬢「それどころか、『絶対とは言いませんが、99%は安全ですよ!』などとデタラメをこいている、『NI○A』といえども、『世界的大恐慌』等の株式市場全体の崩壊によって、大暴落をしてしまい、一気に莫大な『負債』を抱え込んでしまう可能性も、けして否定できないのであって、その時にいくら泣きわめいても、これまで散々NI○Aを勧めてきた、国も、証券会社も、親すらも、責任をとってくれず、身の破滅を迎えるだけなのです」




メリーさん太「……ひでえ、親が国や証券会社の口車に乗って始めた『こども支援NI○A』なのに、途中で子供自身の出資に強制的に切り替わって、下手したら負債を抱え込むかも知れないなんて、これってもはや、単なる『トラップ』じゃ無いの?」


ちょい悪令嬢「その通り、『こども支援NI○A』なんて、判断力の無い子供を本人の意志にかかわらず『出資者』に祭り上げることで、国や証券会社や出資先の企業が、一生涯金を搾り取るための、『国家的トラップ』なのですよ」




メリーさん太「……うん、うちの作者が、NI○Aを始めとする『株』に対して、絶対的な『嫌悪感』を持っていることだけはわかったよ。──だったら、『絶対に得をする資産形成』って、絶対にあり得ないわけなのか?」


ちょい悪令嬢「『絶対に得をする』かはともかく、『絶対に損をしない』資産形成なら、有りますわね」


メリーさん太「な、何だよ、それって⁉」




ちょい悪令嬢「もちろん、株とか金とか買わずに、あくまでも『現金』で資産形成をするのです」




メリーさん太「え、でも、現在の超インフレ&超円安時代においては、円の価値はどんどんと目減りする一方だから、ある意味『絶対に損をする銘柄の株に全資産を投入するようなもの』じゃ無いのか?」


ちょい悪令嬢「それこそ『インチキ詐欺師トレーダー』どもの常套句で、前提条件から(わざと)間違っているのです」


メリーさん太「『前提条件』て?」


ちょい悪令嬢「株をやっていない人たちは、別に資産運用をしようとして、現金を持っているわけでは無く、単純に現金そのものを持っていることに、満足しているだけなのですよ」


メリーさん太「でも、少々高金利になったところで、このままインフレが続けば、確かに『円の価値』は下がる一方なんじゃ無いのか?」




ちょい悪令嬢「そこがインチキ詐欺師トレーダーどもの『詭弁』であって、たとえ物価がどうなろうが、国際為替市場が乱高下しようが、あくまでも一万円の価値は『一万円』であり、それはけして目減りしたりはしないのです!」




メリーさん太「──それこそ『詭弁』じゃ無いのか⁉ 物価が上がっていけば、一万円で購入できるものは、減っていくじゃ無いか⁉」


ちょい悪令嬢「そこまで来ると『水掛け論』ですけど、ただ一つ言えることは、どんなにインフレになろうと、どんなに円安になろうと、現金や預金が、『マイナス』になることだけは、絶対に無いのが、株等の投機資産に対する最大のメリットなのです」


メリーさん太「……まあ確かに、そこら辺は元々『流通貨幣』であった、金貨と同様ってことか?」


ちょい悪令嬢「しかも世の中のことをちょっと調べれば、現金によって、株なんかよりも確実かつお得な、資産形成が可能となるのです」


メリーさん太「えっ、そんなのが有るの⁉」




ちょい悪令嬢「一つは、年金の『繰り下げ受給』システムの利用です。年金の受給を70歳からに遅らせるだけで、65歳からもらえる額の『四割増し』になって、しかも一生その増えた額をもらえるので、長生きすればするほど大変お得になります」




メリーさん太「あ、前にもそんなこと、言っていたよな?」




ちょい悪令嬢「それから更に有用な情報として、特に来年春からの新社会人の方に知ってもらいたいのですが、大企業やお役所等には、『財形貯蓄』と言うのが各種有って、給料天引きだから知らぬ間にお金が貯まっていって、しかも結構利子が高く、税金も優遇されているので、是非とも加入されることをお勧めいたしますわ☆」










ちょい悪令嬢「──たった今ネットで調べたところ、『天皇陛下御在位60年記念10万円金貨』は、銀行等の金融機関に持って行けば、正式に『十万円の額面の硬貨』として扱われて、十万円として預金したり両替したりできるそうです!」




メリーさん太「つまり、これから先『金価格』が暴落しようとも、グラム数的に額面を大きく割り込んでいると言うのに、あくまでも十万円の価値は維持できるわけか⁉ 『金融資産』として最強じゃんか⁉」

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