第1116話、【沖縄終戦】わたくし、戦後日本77年の平和に『気分上々』ですの♫【パ○ピ孔明】(前編)

ちょい悪令嬢「昨日は沖縄終戦77周年記念日でしたが、ご存じの通り当【座談会】においては、今年は【沖縄本土復帰50周年】でもあるので、『戦後沖縄についての総括』を徹底的に行ってきたので、今回はあえてくどくど語るつもりは無く、ただ一つ言えることは──」


メリーさん太「……言えること、は?」




ちょい悪令嬢「苛烈極まる太平洋戦争唯一の日本本国地上戦において犠牲になられた、沖縄県民並びに日本軍関係者の皆様、現代の日本国民はこれまでの戦後77年にわたって、皆様の尊い犠牲を無駄にすること無く、先進7カ国に数えられる超大国でありながら、武力行使を一切行うこと無く、真の平和と繁栄を実現することができました! 日本は皆様の願い通りに、何よりも自由と民主主義を尊ぶ、真に理想的な国へと生まれ変わりました! 現在沖縄を始めとする日本国で生まれる子供たちは、世界最高水準の豊かさと自由と文化と教養とを、誰もが享受できております! 皆様が夢描いた『理想郷ニライカナイ』がここにございます! 沖縄万歳! 日本国万歳! 戦争なんかの勝利では無く、豊かさと自由とを勝ち取ることができた、この平和な日々こそ永遠なれ!」




メリーさん太「──うおおおおおおおおおっ! 『戦後沖縄』、全肯定かよ⁉」




ちょい悪令嬢「はて? どこに否定する理由が有ると言うのです?」


メリーさん太「……いや、米軍基地とか、現在の国際的紛争地域に隣接しているとか、いろいろ有るじゃ無いか?」




ちょい悪令嬢「そんなの別に沖縄に限らず、例えば北海道東北部とか、日本全国どこでも同じようなところはたくさんありますよ。──そもそも東京にだって、米軍基地が存在しているのですから。先進国の首都に他国の軍事基地があるのって、日本だけだそうですよ? そのせいで日本の民間機どころか自衛隊機さえも、自由に空路を決めることができないなんて、ある意味沖縄以上に異常な状況とは思われません?」




メリーさん太「日本の飛行機が、日本の首都の空を自由に飛べず、祖国防衛を担う航空自衛隊における、首都圏防衛の作戦行動や訓練飛行が、最初から制限されているなんて、こうして改めて言葉にしてみると、とんでもない話だよな⁉」




ちょい悪令嬢「米軍の影響下にあり基本的な生活が抑圧されているのは、何も沖縄県だけの話では無いのです。──それで、東京都民の皆様が、不幸ですか? 日々不自由を訴えられていますか? 過剰な反米軍基地闘争をなされていますか? そんなことはありますまい! なぜなら今や日本国は、北海道からそれこそ沖縄まで、この上なき自由と豊かさを享受できているのだから。何も無理して完全主権国家『シン・ニッポン』なぞを打ち立てるまでも無く、誰もが幸せに暮らしていけるのです!」




メリーさん太「い、いやでも、沖縄や北海道と首都東京とでは、同じ豊かさや自由や文化と言っても、やはりそれなりの『差』が有るんじゃ無いのか?」


ちょい悪令嬢「そのように本源的な地域差が有るからこそ、むしろ沖縄や北海道のような末端の地方のほうが、より手厚い待遇を受けているのです!」


メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「まず沖縄のように産業基盤が貧弱なところや、北海道のように気候が寒冷であり労働人口が少ない地域には、東京等の大都市圏の税収を財源とする『地方交付税』によって、(共産主義国家も真っ青の⁉)『富の再配分』が明確かつ大規模に行われおり、加えて皆さんご存じの通り、北海道はもちろん特に沖縄に対しては、様々な『補助的財源』が保証されていて、沖縄や北海道の人々が本土の人たちと同等の生活水準を維持できているのは、むしろ東京都のような大都市圏の人々の『犠牲』の上に成り立っているとも言えるのです!」




メリーさん太「そうか、沖縄と言えば『補助財政』だったよな! いやこれで『……俺たちは本土の人たちから阻害されて、東京なんかよりも苦しい生活を強いられているのだ!』とかほざこうものなら、ガンジーさんから助走をつけて殴りかかられても文句を言えないよな⁉」




ちょい悪令嬢「でもそのお陰で、沖縄の未来を担う子供たちが、日本ならではの世界最高レベルの豊かさと文化等を大いに享受しながら育まれているのです! 何と有り難いことでしょう♡」


メリーさん太「……おい、クソ『レフト』ども、何か反論があるのなら言ってみろよ? これだけ理路整然と一から十まで論破されておいて、まだ言えることが有るのならなあwww」


ちょい悪令嬢「昨日の各『レフト系』新聞の論調の酷さときたら、目が当てられないほどでしたわ。確かにかの大戦中に沖縄の人々を苦しめたのは、直接の加害者である米軍、米軍の沖縄上陸を易々と許した日本政府が悪いのであって、当時の為政者に対して文句を連ねるのは構わないでしょう」




メリーさん太「広島や長崎への原爆投下だって、『神風特攻隊』とかの人類史上最低最悪の愚策で航空隊パイロットを無駄死にさせずに、当時最重要レベルの軍事拠点だった広島と長崎の上空を防衛させていれば、米軍にとって絶対失敗を許されない原爆投下を躊躇わせることだってできたはずなのに、当時の広島上空はまったくの無防備状態で、『エノラゲイ号』は護衛機無しで、しかものんきに非武装の『気象観測機』なんかを引き連れて、悠々と爆撃に来たくらいだからな! これって少しでも軍事事情ミリタリィに詳しいやつならわかることだけど、たとえ圧倒的に国力差が有り戦況が不利な状況にあっても、護衛無しの爆撃機が相手であれば、日本の当時の低性能戦闘機でも余裕で撃墜可能だったんだから、使い捨ての戦闘機に未熟なパイロットを乗せていた『特攻機』を、ほんの数十機でも広島防衛に回していたら、原爆投下をあきらめさせるか、少なくとも延期させることは十分可能だったんだぜ?」




ちょい悪令嬢「つまり何が言いたいかと言うと、広島と長崎の原爆被害は、直接の加害者のアメリカ軍なんかよりも、日本の軍首脳部の無能さが悪いってことなんですよ」


メリーさん太「そう言った意味では、当時の被爆者は、当時の軍部や政府を非難する権利は、大有りってことなんだよな」




ちょい悪令嬢「それと同じように、沖縄戦における民間人の被害についても、当時の政府や軍首脳部を責める論調は何も間違っていないと思います。──しかし、実際に沖縄において死力を尽くして戦った、前線の部隊や兵隊さんたちまでも批判の対象にするとは、何事か! 当然のことながら、当時の兵隊さんはその一人一人が、沖縄がどうとか関係無く、日本国のために、そして沖縄県人を含む日本人のために、己の命をなげうって奮戦なされたのです! そこに嘘偽りはございません! それなのに昨日の各『レフト系』新聞紙の醜悪極まる論調ときたら、まるで日本軍を悪者のように書いてあるものばかりではありませんか?」




メリーさん太「沖縄派遣部隊が、米軍の本土侵攻を一日でも遅らそうとして、沖縄戦を無駄に長引かせただと? ──ふざけるな! あの時点の日本軍に、戦争の推移を左右する手段が、一体どこに有ったと言うんだ⁉ 何度でも言う、当時も今も、『沖縄は日本』だ! 神州日本ひのもとの一部である沖縄を、外国とつくにふぜいに奪われることなぞ、皇軍にとっては絶対に許されることでは無く、誰もが沖縄のために、日本国全体のために、全力で闘っただけだ!」




ちょい悪令嬢「……おい、沖縄と日本とを『分離』して考えているのは、むしろてめえら『レフト系マスゴミ』のほうじゃ無いのかあ?」


メリーさん太「最近の沖縄関係の記事を読むにつけて、『沖縄離間工作』を行っていると言われても、言い訳できねえぜえ?」




ちょい悪令嬢「──とにかく! 現在の日本は真に平和であり、戦後77年間まったく武力行使を行わず、沖縄においてもいろいろと問題は有るものの、世界最高レベルの豊かさと文化とを誰もが享受できているのは、何人なんぴとたりとて否定できない事実なのであります!」













メリーさん太「……あのさあ、なんか今回しつこいまでに、『豊かさと文化』を強調しているけど、どうしてなんだ?」




ちょい悪令嬢「『パ○ピ孔明』です」




メリーさん太「は?」


ちょい悪令嬢「実は同じく昨日、今期の春アニメ最大の注目作だった『パ○ピ孔明』が、めでたく最終話を迎えたのですよ♡」


メリーさん太「──いやいやいやいや、『パ○ピ孔明』と『沖縄終戦』とに、一体何の関係が有るって言うんだよ⁉」




ちょい悪令嬢「なぜならわたくしは、『パ○ピ孔明』こそ、戦後日本の平和と豊かさと文化の象徴だと思うからですわ♫」




メリーさん太「──なっ⁉」







(※後編に続きます)

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