第1105話、わたくし、BDとDVDのどちらを買うべきか、完璧に指南いたしますの⁉(後編)

メリーさん太「──どういうことなんだよ、一体⁉ 収録できるデータ量の大幅な差異からして、BDとDVDとではその『音質』において、明確な違いが現れるはずだろうが⁉」




ちょい悪令嬢「BDとDVDとの音質において『優劣差』が明確に現れるのは、立体音響を扱った複雑な最新の音声システム限定なのであり、『基本的なやつ』ではそれ程差は無いんですよ」


メリーさん太「……基本的なやつなんか、この際どうでもよく、最新式のほうが大切なんじゃ無いのか?」


ちょい悪令嬢「逆なんですよ、基本的なほうがシンプルな分、最も『高音質』だったりするのです」


メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「『リニアPCMステレオ』方式と申しまして、普通に音楽ソフトを(立体音響では無く)ステレオの音声で聴く場合はこれで事足りて、しかもBDのみならずDVDにも普通に収録されているのです」




メリーさん太「その『リニア』って、何のことだ?(※『PCM』のほうはどうせ小難しい『デジタル用語』だから、ここでは省略します)」


ちょい悪令嬢「『圧縮してない、リニアの音声』と言うことなのです。本来『デジタル音声』とは、収録データを節約するために『いかに圧縮しながらも音質を保つか』こそを最大の目標として、いろいろと『補正』を行っているわけですが、当然のことながら、そもそも『圧縮処理をせず音声を生のまま収録する』ほうが高音質となるのです」




メリーさん太「──だったら、最初っから、そうすればいいだろうが⁉」




ちょい悪令嬢「圧縮しなかったら、膨大なデータ量を占有してしまうので、基本である『ステレオ音声』に限定せざるを得ないのであって、立体音響には別の工夫が必要となっております(※【作者注】容量に余裕のあるBDにおいては、リニアPCMによる立体音響も原理上不可能ではありませんが、より効果的に立体音響を可能とするシステムが他にあるので、そちらのほうを採用しております)」




メリーさん太「ふえ〜、BDやDVDと言えば、『5チャンネル以上の立体音響』と言ったイメージだったけど、むしろ注目すべきは『2チャンネル』のほうだったのか」


ちょい悪令嬢「……なんか『5チャンネル』とか『2チャンネル』とか言っていると、どこかの『超巨大掲示板』の話みたいですね」


メリーさん太「余計なことは言わなくていいから⁉ ──それで、結局矢○さんのベストライブ集は、BDとDVDとの、どちらを買うべきなんだ?」


ちょい悪令嬢「『どちらを』と言うよりも、『どちらでもいい』と言うのが、今回の主旨だったんですけどね」


メリーさん太「あ、そうなの?」


ちょい悪令嬢「それと言うのも、昨日最寄りのCDショップに電話で聞いたところ、矢○さんのベストライブ集『A○L TIME BEST Live』は、DVD版は入荷したものの、BD版のほうは取り扱っていないと言うことだったのです。それでネットでBDとDVDの比較記事をいろいろと調べてみたところ、音質については立体音響を除けば、それ程差が無いことが判明したのです」


メリーさん太「ほう、それでDVD版を買うことにしたわけか?」




ちょい悪令嬢「いえ、BDを購入




メリーさん太「……はい?」




ちょい悪令嬢「ですから、今回の矢○永吉さんのベストライブ集は、BD版のほうを購入と、申したのです」




メリーさん太「──どうしてそうなる⁉ 完全に『ちゃぶ台返し』そのものじゃん⁉ いやそもそも、『これからどっちを買うべきか?』というのがテーマだったはずなのに、たった数行の間で、いつの間にしれっと手に入れているの⁉」


ちょい悪令嬢「実はこの文章を作成中に、(山を越えて)街中まちなかに行く用事ができましたので、いつもの如く電動アシスト自転車に乗って赴いたところ、ついでに寄ったくだんのCDショップに、(話とは違って)BD版も置かれていたので、当然のように購入しただけですけど?」


メリーさん太「だったら、今回これまで(前後編にわたって)ずっと述べてきた、どちらかと言うとDVDの性能を持ち上げようとした内容は、一体何だったんだよ⁉」


ちょい悪令嬢「それはDVDしか手に入らないようでしたので、作者自身が必死に『自分に言い聞かせて』いただけで、無理やりDVDをBDと遜色の無いもののように祭り上げていただけでございます」


メリーさん太「祭り上げていたって…………で、でも、DVDにも『リニアPCMステレオ』が収録されていて、肝心の映像面のほうも、過去のライブシーンを扱ったものではそれ程問題にならないのは、間違いないんだろ?」




ちょい悪令嬢「実は『リニアPCMステレオ』にもいろいろ違いが有って、DVDのほうは、少々規格が古くて容量的にも余裕が無いので、48キロヘルツ&16ビットまでしか収録できませんが、BDのほうは、最大192キロヘルツ&24ビット(※ただしこれは『音声』のみを収録した場合であって、普通に『映像』も収録した市販のBDソフトでは、48キロヘルツ&24ビットまでとなっております)での収録も可能なのであり、実際に音楽ソフトを聞いた際にも、それなりの差異が実感できます」




メリーさん太「ああ、そうか、そもそも『入り口』の録音技術が年々向上しているんだから、DVDの規格を決めた時は48キロヘルツ&16ビットが限界だったけど、それから30年近く経った今では、最新の技術で192〜48キロヘルツ&24ビットで収録したスタジオ録音盤やライブ盤の音楽ソフトを、原音そのままに再生することが可能になるのか⁉」




ちょい悪令嬢「しかもベストライブ選集だけあって、歴史的な名シーンだけでは無く、最新のコンサートも収録されておりますので、そこら辺ではてきめんに『画質』の差が現れており、やはりBDのほうが俄然有利となりますわね」


メリーさん太「……うん、これだともはや、BDの完全勝利が確定だな」




ちょい悪令嬢「なんかいろいろと申した割には、『当然の帰結』で終わってしまいましたが、すでに本作の作者もGET&視聴済みの『A○L TIME BEST Live』自体は、にも期待以上の素晴らしさでございましたわ!」




メリーさん太「お、そうだな、技術面ばかりでは無く、肝心の『内容』についても述べておかなくてはな!」




ちょい悪令嬢「何と言っても矢○さんの50年にも及ぶ、莫大なライブシーンからの『選りすぐり』だけあって、元々画質や音質の優れたやつばかりなので、それ程『オリジナルとの差』を感じられませんでしたが、細かい所においてかなりの配慮をされているのを確認できました」


メリーさん太「『細かい所』って、具体的には?」




ちょい悪令嬢「それこそド○ービーズとともに東京ドームで行った名コンサートが有るんですが、以前発売されたソフトにおいては音質がダメダメだったのですけど、今回のベスト盤においては大幅な改良が施されており、長年のファンとしては感無量でございました!」




メリーさん太「ああ、そういった『問題箇所』は、制作スタッフサイドとしても、ちゃんと把握していたわけか?」




ちょい悪令嬢「特に95年の『JUST T○NIGHT』ライブにおける『さ○た肌』という曲では、ジ○ン=マクフィー氏が非常に印象的なギターのフレーズを繰り返しておられるのですが、それがちょっと癖が強過ぎてウザかったのですけど、今回のベスト盤では抑え気味に再調整されており、非常に聞きやすかったですわ♫」




メリーさん太「本当にそんな細かい所まで、手が行き届いているのかよ⁉」




ちょい悪令嬢「ちなみに『amaz○nレビュー』様のほうでも、すでに購入なされた方のコメントがアップされていますが、ほとんどの方が『音質の格段の向上が見られる』とおっしゃっていました」



メリーさん太「そんなに良かったのかよ⁉ ──つうか、矢○さんのファンの皆様は、耳がいい人ばかりなんだな?」




ちょい悪令嬢「そう言うわけですので、今回の傑作ライブ集『A○L TIME BEST Live』においては、矢○さんの過去の数多あまたの名ライブシーンを、音質画質問わず心置きなく楽しめるようになっておりますので、矢○さんのファンならずとも、ド○ービーズを始めとする洋楽ファンの方や、最新の技術によるロック映像を堪能なされたい方は、是非ともご視聴なされることを、心からお勧めいたしますわ♡」










メリーさん太「……確かに画質音質共にクオリティが高いのはわかったけど、矢○さんのファンでも無い人にお薦めするのはどうなんだ?」




ちょい悪令嬢「むしろファンで無い方にこそ、お薦めすべきなのです!」




メリーさん太「どうして?」


ちょい悪令嬢「『ベストライブ集』だけあって、その時代時代のコンサートの名場面ばかりであるのはもちろん、その選曲も50年の活動期間中の代表曲ばかりなので、『矢沢永吉入門用作品』として、非常に適しているのですよ」




メリーさん太「……なるほど、『プライマリー』や『チュートリアル』として、理想的ってことか」

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