第996話、わたくし、『転生法』各話について解説いたしますの♡(その3)
ちょい悪令嬢「それでは今回も、『第10回ネット小説大賞』エントリー作品にして最終兵器である、超問題作『転生法』の各
メリーさん太「前回は第1話を全面的に見直したから、今回は第2話の見直しか?」
ちょい悪令嬢「第2話と言うと『奴隷制』ですが、実はこれって前々回述べましたような、『なろう系ならではのワンパターン』に対する逆張りだけでは無いのですよ」
メリーさん太「え、そうなの?」
ちょい悪令嬢「ええ、実は結構きつめな、『フェミニズム』の精神が隠されていたりします」
メリーさん太「──はあああああああああああ⁉ 何ソレ!」
ちょい悪令嬢「おや、そんなに意外でしたか?」
メリーさん太「いやいやいや、本作の作風ってむしろ、『フェミ』とは真逆のはずだろうが⁉」
ちょい悪令嬢「そんなことありませんよ? すでに前々回で語った、『奴隷制はむしろ転生者のハーレム願望を叶えるもの』論なんて、『フェミ』そのものではありませんか?」
メリーさん太「……あー、転生者が助ける奴隷って、なぜか美少女ばかりだし、しかも必ず自分のハーレムに入れてしまうからな」
ちょい悪令嬢「ある意味奴隷を『モノ』として扱っているのは、転生者も同じだったりして」
メリーさん太「うん、確かに女性からすれば眉をひそめざるを得ないけど、これだけで『フェミ』と言うには物足りないんじゃ無いのか?」
ちょい悪令嬢「大丈夫です! むしろ『
メリーさん太「……作品の根幹が、『フェミ目線』でできているだと? 何だよその根幹て」
ちょい悪令嬢「いわゆる、『転生者サギ』でございます」
メリーさん太「て、転生者サギい? 何だそりゃ⁉」
ちょい悪令嬢「まさにフェミ勢力の言うところの、『日本では引きこもりのキモオタだった男どもが、異世界では美少年や美青年や美少女に転生してモテモテになるのは、周りの人たちを騙しているようなものだ!』ってやつですよ」
メリーさん太「──言われてみれば、まったくその通りじゃん⁉」
ちょい悪令嬢「そこで当エピソードにおいては、『奴隷制の自給自足化』によって、一定の解決を目指したわけなのです」
メリーさん太「……おいおい、今度は『奴隷制の自給自足化』かよ? 今回は新たなる『パワーワード』のオンパレードだな?」
ちょい悪令嬢「『なろう系』においては『下克上』や『成り上がり』や『ざまぁ』とかいったのが人気のジャンルとなっておりますが、これらのパターンとしては、現代日本においてはいまいちパッとしなかったブラック企業の社畜のおじさんやおばさんが異世界に転生して、いったんは奴隷の身に堕とされるものの、現代日本の最先端の知識や転生時に与えられたチートスキル等を駆使して成り上がっていくと言うのが、お約束となっているのです」
メリーさん太「……え、ちょっと待って、そうすると──」
ちょい悪令嬢「はい、一連の『奴隷解放からハーレム編入シーン』は、いかにも美青年救世主と美少女奴隷との感動シーンのようでありながら、実のところは両者共結構いい歳をした、現代日本人のキモオタ同士の猿芝居でしか無いのですよwww」
メリーさん太「──失望した! もう『なろう系』にありがちな『奴隷解放シーン』を、純粋な気持ちで見られなくなってしまったわ! どう責任とってくれるんだよ⁉」
ちょい悪令嬢「純粋も何も、元々『転生者サギ』が行われていただけですから、救世主のほうがキモオタなのを先刻承知なのに、美少女奴隷のほうも(男女を問わぬ)キモオタだったからって、文句は言えないでしょう?」
メリーさん太「──うっ」
ちょい悪令嬢「ね、このエピソードを作成していた時点では、本作の作者は間違いなく、『フェミ視点』だったでしょう?」
メリーさん太「……た、確かに、これだと『転生者サギ』がお互い様になって、特に男性のキモオタのほうは、自分の正体を隠したままで美少女ハーレムを堪能することを、手放しで喜べなくなるよな」
ちょい悪令嬢「そもそも自分が異世界に転生できたのなら、他にも転生者がいてもおかしく無いことを、すべての『なろう系主人公』は気づくべきなのですよ」
メリーさん太「いやでも、それではせっかく異世界に転生したというのに、並み居る美少女や美少年のファンタジーキャラたちが、実は自分と同じ元日本人のキモオタかも知れないという『疑心暗鬼』に終始囚われてしまい、異世界ライフを心から満喫することができなくなってしまうじゃ無いか⁉」
ちょい悪令嬢「──それはむしろ、異世界人のほうの台詞ですよ!」
メリーさん太「へ? 異世界人のほう、って……」
ちょい悪令嬢「これまで親しかった周囲の人々が、ある日突然『前世の記憶』に目覚めた途端、文字通りに『人が変わった』ようになってしまうのですよ? そんなの堪ったもんじゃないでしょうが⁉」
メリーさん太「……ああ、なるほど、『異世界人目線で異世界転生を見直す』と、そうなるかあ」
ちょい悪令嬢「無邪気で可愛らしかった我が子が、いきなり大人びた表情で生意気なことばかり言い出してごらんなさい、ご両親としてはせっかくこれまで築いてきた『幸せなる日常の崩壊』以外の何物でも無いでしょう」
メリーさん太「な、何て罪作りなんだ、『なろう系の主人公』どもって⁉」
ちょい悪令嬢「──このように当『転生法』は、あくまでも異世界人の立場に立って、『なろう系』作品を見直すというのをポリシーとしておりますので、これまでに無い斬新なるエピソードが目白押しになっておりますよ!」
メリーさん太「……えらい強気の発言をぶちかましやがったな? 本当にそうなのかは、以降のエピソードを検証することで、確かめさせてもらうことにするか」
ちょい悪令嬢「いいですよ、第3話から早速参りましょう!」
メリーさん太「そのものズバリの『クリスマス回』か? これもさっき言ったように、もはや異世界では日本からの転生者は珍しくないから、『クリスマス』や『ヴァレンタインデー』が普通に催されているってことか?」
ちょい悪令嬢「それも有りますが、あくまでも異世界人の立場に立てば、日本による『文化的侵略』以外の何物でも無いのですよ」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「かつて第二次世界大戦後、GHQは日本人の『意識改革』のために欧米の様々なイベントを導入したのですが、日本人が拒絶反応を起こすことの無いように、『クリスマス』や『ヴァレンタインデー』のような宗教的イベントであろうとも、徹底的に宗教色を取り払いただの『お楽しみイベント』として、日本社会に広く浸透させることを成し遂げたのです」
メリーさん太「うん、現在の日本で『クリスマス』や『ヴァレンタインデー』を宗教儀式と捉えている人なんて、ほとんどいないだろうな」
ちょい悪令嬢「このように、強制的でも宗教的でも無く、ごく自然に『生活形式の洋風化』が押し進められていったのですが、ようく考えてみれば結局これは、最終的には『宗教観』すらも含めての、日本独自の文化の狡猾なる『破壊工作』に過ぎず、そしてそれは大成功を収めたわけなのですよ」
メリーさん太「──‼」
ちょい悪令嬢「当然これは現代日本から異世界への転生者の進出についても言えるわけで、『なろう系』作家たちが何も考えずに『クリスマス』イベントを自作の作品に登場させるほどに──いや、別にそんな特別な催しに限らずとも、『NAISEI』や『マヨネーズ』や『印刷技術』等々を持ち込むことによって、本来の剣と魔法のファンタジーワールドらしさは失われていき、文化や文明の破壊が押し進められることになりかねないのです☆」
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