第936話、わたくし、自衛隊は『お仕事アニメ』の題材として結構アリだと思いますの⁉

ちょい悪令嬢「──ここ最近ずっと、めでたく最終回を迎えた今期の『秋アニメ』各作品について熱く語っております、当【座談会】ですが、今回は前回の内容の補足説明をメインに行いたいかと存じます!」




メリーさん太「……え、あれだけ有ること無いこと語り倒したくせに、まだ言い足りないことでも有るのか?」




ちょい悪令嬢「だってあのままじゃ、『白い砂のアクアト○プ』のアンチ勢に対して批判しておきながら、本作の作者自身は『よみが○る空ーRESCUE W○NGSー』のアンチみたいになっていて、完全に矛盾しているではありませんか?」


メリーさん太「……あー、なるほど」


ちょい悪令嬢「そこで少々フォローをしておこうかと思いまして、まずは『白い砂のアクアト○プ』のほうから行きたいかと存じます」


メリーさん太「あれ、『白い砂のアクアト○プ』のほうは基本的に褒めていたんだから、別にフォローの必要は無いのでは?」


ちょい悪令嬢「確かに、この『ネット評論家』なんぞが跋扈している現状においては、下手な作品を公開すると非難囂々の有り様となるので、なるべく『欠点のない作品づくり』を行うという、『リスク回避至上主義』を体現した『白い砂のアクアト○プ』は、一見本作の作者の創作上のモットーとも合致しているようでもありますけど、」


メリーさん太「けど?」




ちょい悪令嬢「そもそも本作の作者って、たとえ欠点ばかりでネット上で非難囂々であろうとも、『一点突破』的にこれまでに無い『革新的な長所』さえ有れば、全面的に認めて絶賛するというスタンスだったのに、これでは下手すると『自己否定』になりかねないんじゃないかと気づきましてねえ」




メリーさん太「──た、確かに、本作の作者超お気に入りの『ま○か☆マギカ』とか『進○の巨人』とかって、間違いなく歴史的超傑作だけど、欠点だってけして少なくは無かったよな⁉」


ちょい悪令嬢「それなのに、『欠点が無いこと』を『白い砂のアクアト○プ』の唯一の褒めどころにしたのでは、少々説得力に欠けるのではと思い直して、今回補足しておこうと存じまして」


メリーさん太「ほう、補足とな? 一体どういうふうに?」


ちょい悪令嬢「これは少々アンチ気味な論調となってしまった、『よみが○る空』も同じなのですけど──」


メリーさん太「おっ、何だ、いっそのこと、二つ同時にフォローするわけか?」


ちょい悪令嬢「この二作品は共に、本作の作者の眼鏡に適うような『革新的部分』はほとんど見られませんが、共通した『得がたい長所』が有るのです!」


メリーさん太「……革新的では無いというのに、ちゃんと長所が有るだと?」


ちょい悪令嬢「それぞれの作品ならではの、『得がたき知識』と言い直しても、よろしくてよ?」


メリーさん太「得がたき、知識?」




ちょい悪令嬢「『白い砂のアクアト○プ』においては、まず何と言っても『沖縄』であることと、更には『水族館』であることで、『よみが○る空』においては、当然のごとく『自衛隊』であることと、更には『災害救助隊』であることでございます!」




メリーさん太「……ああ、つまり、一般的な視聴者では知り得ないことを、アニメ視聴をすることによって、知り得るチャンスをもたらしてくれるってことか」


ちょい悪令嬢「もちろんアニメ視聴自体も、娯楽作品テンターテインメントとしてちゃんと楽しませてくれますしね」


メリーさん太「なるほどねえ、何よりも本作の作者にとっても、自作のWeb小説を作成するに当たっての、『資料的価値』が十分有ることだしな」




ちょい悪令嬢「特に『白い砂のアクアト○プ』については、初視聴した時点から、もっぱら夏の沖縄ならではの風光明媚さとエキゾチックさとに完全に魅了されて、世間のアンチどもの雑言なぞには一切耳を貸すこと無く、全話ずっと視聴し続けましたからね。いわゆる『リラクゼーション的効果』を満喫しつつ、沖縄や水族館独特の知識も取得して、一石で二鳥も三鳥も得ることのできた、非常にお得な作品でしたわ」




メリーさん太「ああ、あんた『白い砂のアクアト○プ』のことを最初から、少なくとも『環境ビデオ』として十分見る価値が有るって言ってたっけ」


ちょい悪令嬢「しかも、結局最終的に『百合エンド』ですからね。本作の作者としては、文句のつけようがありませんよ」


メリーさん太「……それじゃ、もう一つの『よみが○る空』のほうは、どうなんだ? 前回の様子じゃ、むしろ『文句の付け所』ばかりだったようだけど」




ちょい悪令嬢「確かに導入部は指摘すべき点が多々有りましたが、それはあくまでも『ドラマづくり』という意味において、主人公をピンチに陥らせるためにも、ある程度仕方ない話だったのであり、それ以降において本格的に『自衛隊』全体としての任務を遂行し始めてからは、徐々に主人公の努力が報われていき、『災害対策部隊』の一員として十分に活躍していって、それらに関する『専門知識』の続出に非常に得がたい勉強をさせていただき、ただただ感謝しか無く、更には『自衛隊』ならではの人間ドラマも非常に見応えが有り、やはり『見る価値の無いアニメなぞ存在しない』の原則は間違ってはおりませんでしたわ!」




メリーさん太「自衛隊ならではの、人間ドラマ、って?」




ちょい悪令嬢「警察や消防等、他の公的な『実働部隊』に比べても、圧倒的に『殉職者』が多いことですよ」




メリーさん太「──なっ、そんな⁉ 自衛隊は実際には戦闘行為が行われていないというのに、どうしてそんなに殉職者が出るんだよ⁉」




ちょい悪令嬢「お忘れですか? たとえ実際の戦闘で使用していないとはいえ、自衛隊員のほぼ全員が、常時武器を携行し、強大な威力を誇る戦車や艦船や戦闘機等に乗っているのですよ? 武器が暴発したり、戦車や艦船に積んでいる弾薬が爆発したり、艦船が沈没したり、戦闘機が墜落したりと言った、致命的な事故が起こり得る可能性は、常につきまとっているのです」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「特に周囲を海に囲まれている日本においては、周辺諸国からの領空侵犯機に対するスクランブル出動が、当然のごとく海上作戦行動とならざるを得ず、しかも海上自衛隊の艦船のように、沈没時の救命具が必要十分なだけ積載できるわけでも無いので、もしも何らかのアクシデントのために墜落した場合は、たとえ無事に海上にパラシュート降下し救命具によって海面上に浮遊し続けることができたとしても、季節や天候によっては短時間で生命の危機に陥る可能性が有り、生存率はかなり低くなるものと思われます」




メリーさん太「……まあなあ、そもそも戦闘機はいつの時代においても、速度や格闘性能等の『兵器としての能力』を最優先に造られており、機体強度やエンジンの耐久性等は、乗客の安全第一の旅客機に比べればどうしても格段に劣り、パイロットの安全性も十分にはかられているとは言えないからな」


ちょい悪令嬢「──だからこその『災害救助隊』であり、この作品アニメそのものの『見せ所』でもあるのですよ!」


メリーさん太「え、地震とか水害のための『災害救助隊』が、ジェット戦闘機の海上事故と、どう関わってくるって言うんだ?」


ちょい悪令嬢「逆なんですよ、逆!」


メリーさん太「──まあた、そのパターンかよ⁉」




ちょい悪令嬢「そもそも自衛隊の『災害救助隊』とは、一般人の被った地震とか水害とかを対象にしたものでは無く、災害や軍事的アクシデントによって窮地に陥った、ための組織なんですよ!」




メリーさん太「ええっ、そうだったの⁉」


ちょい悪令嬢「つまりニュースとかで見る『災害救助活動』は、本来の任務では無かったのです」


メリーさん太「……し、知らなかった、てっきりそのために創設された組織とばかり思っていたんだけど」


ちょい悪令嬢「つまりこのような専門組織を創らざるを得ないほど、自衛隊というものが、実際の戦闘時はもちろん平時においてさえも、常に危険を伴う任務を遂行し続けているというわけなのですよ」


メリーさん太「でも、あんなにも頻繁に一般の災害派遣に駆り出されていたんじゃ、本来の任務に差し障りが生じたりはしないのか?」




ちょい悪令嬢「ていうか、そもそも全国の自衛隊における『災害救助隊』の規模的に、隊内の非常事態のみに対応するには質量共に過剰となっており、もはや自衛隊の作戦行動以外の一般的な災害救助こそを主任務にしていると言っても過言では無く、予算についてもそれを念頭に十分な額が保証されているというのが現状なのです」




メリーさん太「──ええー、そりゃあ『人道支援』的には間違っていないと思うけど、ただでさえいろいろとクレームがつきやすい防衛費を、本来の任務に必要な額以上の予算を確保しているなんて、問題にはならないのか?」




ちょい悪令嬢「もちろんこれは、何よりも『有事』を念頭に置いて組織が作られ予算が配分されているのだから、何も問題はありません。例えば北海道が某国によって侵略を受けた際には、大勢の北海道民を本州等に避難させる必要があり、そのためにも全国の自衛隊基地における『災害救助隊』は、余裕を持った人員や機材を配備しておくべきなのです」




メリーさん太「……な、なるほど。第二次世界大戦において完全に戦線が崩壊してしまった旧ソ連国内のドイツ軍だけど、危険にさらされた大勢のドイツ系民間人を、ドイツ海軍の多数の艦船が全力を挙げて本国へと避難させた史実は、非常に有名だからな。海軍の軍艦と言っても別に戦うことだけが任務では無く、状況によっては民間人の救出作戦にも投入できるように設計&建造されているのは、最初から織り込み済みなわけか」




ちょい悪令嬢「──このように、思わぬ『専門知識』を与えてくれる可能性の高い『お仕事アニメ』については、特に本作の作者同様にWeb作家等の創作に携わっておられる方におきましては、自分の好みに合わないからと選り好みなぞすること無く、無料配信等のチャンスが有ればけして逃さずに、一本でも多くご視聴なされることを強くお勧めいたしますわ♡」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る