第780話、わたくし、結構いろいろと、『かくしごと』がありましたの⁉(後編)
ちょい悪令嬢「実は漫画家さんこそ、漫画本なんかが置いていないおしゃれで通好みの本屋さんを、たくさん知っていたりするんですよ? ──もちろん、渋谷以外にも、銀座や新宿や神田あたりにも、いっぱいありますしね」
メリーさん太「──え、『かく○ごと』の主人公さんは、現役の漫画家さんをモデルにしているから、納得できないことも無いけど、どうして本作の作者ごときが、渋谷以外のことまで知っているの? ただ単に中目黒や渋谷に『土地勘』があるだけじゃ無かったの?」
ちょい悪令嬢「実は本作の作者って、Web小説だけでは無く、同人漫画も作成していたのですが、使っているデジタル画材が、『コミ○クスタジオ』とか『S○I』とか『フォトシ○ップ』とかでは無く、『ペイ○ター』オンリーという、どちらかと言うと海外のガチのCGデザイナーが好んで使用するタイプのやつなので、欧米のアーティストとの交流も深く、漫画と言ってもイラストっぽいのを書いていて、作品の出力を依頼していた関係で、都内各地のデザイン事務所に詳しかったりするのですよ」
メリーさん太「……なるほど、デザイン事務所の近くには、デザイン関係の書店や画材屋が集まっているってわけか」
ちょい悪令嬢「作品のデータ出力には、結構時間がかかりますから、待ち時間にそう言った書店で時間を潰していたのです」
メリーさん太「いやいやいや、待て待て待て! 今時デジタル出力なんて、ネット上でやり取りすれば済むはずだろうが⁉ 一体いつの時代の話をしているんだ⁉」
ちょい悪令嬢「……これだから、素人は。デジタルはあくまでもデジタルでしか無く、一度ちゃんと紙媒体に出力してみなければならないのです!」
メリーさん太「え、どうして?」
ちょい悪令嬢「どんなにモニター上で
メリーさん太「ええーっ、そこまでこだわらなくても、モニター上でちゃんとしていたら、それでいいんじゃないの?」
ちょい悪令嬢「……それはこの世から、すべての紙媒体が消滅した時に、初めて言える台詞ですね」
メリーさん太「いや、あんたはあくまでも個人的趣味で、デジタルコミックを作成していたんじゃないの⁉」
ちょい悪令嬢「むしろ『個人』だからですよ! 『コ○ケ』だろうが『コミテ○ア』だろうが、実際に『同人誌即売会』において本を出そうとするなら、現在においても『印刷製本』しないと始まらないでしょうが?」
メリーさん太「……あ」
ちょい悪令嬢「そもそもですねえ、これだけデジタル化が進化し尽くされたと言われている現在においても、『完璧な
メリーさん太「ど、どうして?」
ちょい悪令嬢「まず『自然界の色』をほぼ完璧に再現できるのは、『ブラウン管型』モニターだけだったのあり、現在の液晶モニターはそこまでの域に達しておらず、しかも印刷機で出力する際にも、更に再現できる色のレベルが落ちてしまうのですよ!」
メリーさん太「ええー⁉ 現在の最高級液晶モニターさえも、一昔前にはそこら辺に普通に転がっていたブラウン管モニターよりも、性能が低いだってえ⁉」
ちょい悪令嬢「もちろん液晶モニターにも優れた点はありますが、『色の再現性』という最もモニターに必要な点においては、まったく比べ物になりません。似たような例を挙げれば、ノイズだらけの昔のアナログレコードのほうが、ノイズを完全にキャンセルするために『あえて情報を制限している』CD等のデジタル媒体よりも、音声の録音再生の帯域が広かったりするのです」
メリーさん太「そ、そうだったんだ! そんなこと、全然知らなかったぞ?」
ちょい悪令嬢「このような『致命的な事実』を、馬鹿な素人の『お客さん』に知られたりしたら、メーカー側としたらマズイですからね。一般には情報はほとんど出回っておらず、一部の『マニア』のみが知っているだけです」
メリーさん太「……つまり、『デジタル画像データの出力』に関しては、本作の作者は『マニア』に該当するわけか?」
ちょい悪令嬢「本気でCGイラストを極めようとすれば、『マニア』と称されるまでに、完璧を期さなければならないってことですよ」
メリーさん太「……へえ、デジタルコミックとかCGイラストの世界って、思った以上に深いんだなあ」
ちょい悪令嬢「それに比べてWeb小説のほうは、遙かに気軽に作品を創れて、本当にいいですわよね♡」
メリーさん太「……うん、『かく○ごと』を見ていたら、やはり小説よりも漫画のほうが、いろいろと大変なのが、良くわかるよな」
ちょい悪令嬢「アニメはもちろんのこと、漫画だって、絶対一人では作成できませんからね。基本的に個人作業で済む小説づくりは、むちゃくちゃお手軽&お気楽ですわ♫」
メリーさん太「……逆に言えば、本作の作者自身においても、かつてCGデザイン絡みで、いろいろあったってことか?」
ちょい悪令嬢「デジタル化で便利になったようでいて、色校正だけでは無くその他いろいろと、本来別のセクションでやってくれていたことを、デザイナーやカメラマン自身でやらなくてはならなくなったりと、けしていいことずくめでは無かったのですよ」
メリーさん太「それに比べて、デジタル化が進めば進むほど便利になっていくばかりの小説家は、完全に『勝ち組』だな⁉」
ちょい悪令嬢「ふふふふふ、これは経験した者しかわからないと思いますが、漫画家はデジタル化することによって、便利になったとか省力化されたとか、とんでもない話で、むしろ『やることが増えた』と言っても過言ではありませんのよ?」
メリーさん太「む、むう、『中目黒』に住んでいて、『デジタル漫画』すら作成していたんて、本作の作者は真の意味で、『かく○ごと』の作者様のご苦労が共感できるってことか?」
ちょい悪令嬢「──いえいえ、滅相も無い! いくら同じところに住んでいて、同じような環境で作品を創っていようとも、何度も何度も言うように、出来上がった作品が『どんな
メリーさん太「あー、なるほど、作品の舞台は知り尽くしていると断言している割りには、確かに作品としての『かく○ごと』そのものは、本作の作者の作風とはまったく違うわな」
ちょい悪令嬢「自分自身では創れないからこそ、心から惹きつけられるんですけどね。何でも最終話に至って初めて、作品タイトルの『かく○ごと』の本当の意味が明かされるらしいので、今から非常に楽しみですわ♡」
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