第469話、わたくし、『ま○マギ』や『リゼ○』等のループ作品について、再考察したいかと思いますの。(後編)

メリーさん太「『リゼ○』が、近年希に見る傑作Web小説であり、『エンターテインメント作品』として非常に優れているって……。ううむ、ひょっとしなくても作者のやつ、これまで散々『リゼ○』に対してあれこれイチャモンをつけておきながら、実は作品をまったく読んでいなかったことが露見したものだから、盛大にゴマをすって誤魔化すつもりだな?」


ちょい悪令嬢「いえいえ、そんなことはありませんよ? これはあくまでも、本作の作者における、本心からの気持ちの表れなのですから」


メリーさん太「何が『本心から』だよ? 白々しいことを言うな!」




ちょい悪令嬢「……ほう、するってえと、メリーさんとしては、『リゼ○』は別に、近年希に見る傑作Web小説なんかじゃ無いし、『エンターテインメント作品』として非常に優れているなんてことはあり得ない──とでも、おっしゃりたいわけで?」




メリーさん太「──うぐっ⁉」




ちょい悪令嬢「さすがはWeb小説界きっての、超人気キャラクターの『メリーさん』! たかだか『なろう系』で覇権をとっただけの大傑作程度では、『まだまだ』レベルでしかないんでしょうなあ」


メリーさん太「や、やめてえ! いかにも『褒め殺し』のような真似をして、どんどんとあたしのことを、追いつめないでえ!」


ちょい悪令嬢「……ふん、そっちが先に、下手したらこの作品の作者自身が、Web小説界で生きていけなくなるようなことを、言い出したんでしょうが?」


メリーさん太「──悪かった! もう申しません! 謝りますから、許してちょうだい!」


ちょい悪令嬢「ふふっ、そうやって素直に謝ればいいのよ。いいわ、今日のところは大目に見てあげる」


メリーさん太「『ちょい悪令嬢』様のご慈悲に、心から感謝いたしますう!」


ちょい悪令嬢「それで話は戻るけど、作者のやつが『リゼ○』のアニメ版第一期の一挙無料配信を見て、心から感服したってのは、本当の本当なのよ」


メリーさん太「……う〜ん、あれだけ『死に戻り』のメカニズムの非現実性について、イチャモンをつけていたくせに、恥も外聞も無い『変節』ぶりだよなあ」


ちょい悪令嬢「あくまでも作者がイチャモンをつけていたのは、『リゼ○』そのものでは無く、雨後の竹の子のように乱発された『模倣作』のほうなのであって、そもそも『リゼ○』自体の『死に戻り』については、すでに肯定的な見解を示しているから、『変節』ってわけじゃ無いと思うけど?」


メリーさん太「それでも、今回初めて『リゼ○』の作品内容なかみに実際に触れてみたことで、『死に戻り』に対する新たなる見解が生じることもあり得るんじゃないの?」


ちょい悪令嬢「──そう、そこなんですよ!」


メリーさん太「え、『そこ』、って?」




ちょい悪令嬢「まさしく『リゼ○』のアニメ版一期を視聴した作者の、最も驚いた点こそが、『死に戻り』自体が、それ程ことなのです!」




メリーさん太「………………………は? ──いやいや、ちょっと待って! いきなり何てことを言い出すのよ⁉」


ちょい悪令嬢「うん? 何かおかしなことを言いましたか? あくまでも作者の率直な感想を、代弁しただけですけど」


メリーさん太「余計悪いわ! 『リゼ○』と言えば『死に戻り』こそが、何よりも重要なるモチーフなんだろうが⁉ あの作者、一体どこに目をつけていやがるんだよ?」


ちょい悪令嬢「──どうどう、落ち着いてください、メリーさん。わたくしのほうも少しばかり、言い方が悪かったようですわね。確かに『死に戻り』は『リゼ○』という作品にとって、重要なポイントではありますが、別に『最も』重要というわけでは無く、他にもっと大切な物があって、今回初めてそれに気がついたという次第なのですよ」


メリーさん太「『死に戻り』よりも、大切な物って……」


ちょい悪令嬢「──それこそが、前回より何度も申し上げている、『エンターテインメント性』なのです!」


メリーさん太「いやだから、それって具体的には、どういうことなのよ⁉」




ちょい悪令嬢「ある意味、『なろう系』のアンチテーゼみたいなもので、『死に戻り』ができること以外は、ほとんどただの人間の少年のままで、『チートスキルを有する転生キャラ』とまったく同じことを成し遂げることこそを、目標にしているのでございます」




メリーさん太「なっ⁉ つまりは体力知力共に現代日本人レベルのままで、異世界において『無双』させるってわけなの? ──言うなれば、安易な『俺TUEEE!』作品への、揶揄みたいなものか?」


ちょい悪令嬢「何と『俺TUEEE!』だけでは無く、『現代日本の知識SUGEEE!』に対してさえも、否定的だったりしてね♫」


メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「『リゼ○』の真の存在意義は何かと申しますと、それこそ現代日本における物理学の根本原理である量子論に基づけば、どのようなチートスキルを持っていようが、異世界最強のモンスターに対して一発勝負で100%勝てるなんてことは、可能性的には絶対にあり得ず、いかに現代日本の最先端の科学知識を持っていようが、異世界を裕福にして文化を向上させて無敵の軍隊を創設させることを、絶対に成し遂げられるなんて保証されていないことを、『死に戻り』というたった一つのギミックを投入するだけで、如実に証明して見せたことなのですよ!」




メリーさん太「何と、『死に戻り』に、そんな大いなる意義があったのか⁉」




ちょい悪令嬢「実際に『リゼ○』を読むまでは、たとえ何度死に戻ろうが、絶対的存在である『魔王』とかに敵うわけが無いだろうと思っていたんですけど、別に主人公の『ス○ル』君自身が、勝つ必要は無かったわけ。つまり彼は『死に戻り』などという、肉体的にも精神的にも耐え難い苦痛を伴う超常現象を繰り返しながら、前回の『失敗を糧にして』、たとえ何かと敵対しているいけ好かない相手であろうとも、困難な問題を解決するためにはその助力が必要なら、土下座をしてでも協力を取り付けることによって、一つ一つ試練を解決していっているのであり、本当に特別な力も特別な知識も持ち合わせていない、ただの現代日本の少年でしかないのですよ」




メリーさん太「……なるほど、『死に戻り』を繰り返すことによって経験値が向上して、自分自身がパワーアップするの、むしろ『自分自身の非力さや馬鹿さ加減』を痛感することによって、身の程をわきまえて、ひたすら謙虚に周りの協力を得ることで、真に理想的な解決方法にたどり着いているってわけなのか」




ちょい悪令嬢「一言で言えば、現在主流の、初めからチートスキルを持っている『なろう系』の転生キャラではあり得ない、『主人公の成長』を、見事に実現している希有な作品なのでございます」




メリーさん太「へえ、『リゼ○』っていかにも、『なろう系』の代表的作品のように言われているけど、実際はむしろ『真逆的なテーマ』を追及していたんだ」


ちょい悪令嬢「おそらく原作者様にとっては、『死に戻り』なんてあくまでも、主人公の成長を促すための『手段』でしかなく、別にそれ程重きを置いているわけでは無いのでしょう」


メリーさん太「ええっ、と言うことは、『死に戻り』を扱っていながら、『ループSF』でも『魔法的ファンタジー』でも、無かったってことなの?」


ちょい悪令嬢「だってそんなものよりも、何の力も無い少年が、何の力も無いままで、周囲の人たちと手を取り合って、困難な問題を解決していく『成長物語』のほうが、むちゃくちゃ面白そうでしょう?」


メリーさん太「た、確かに。──作者の大好きな作品である、『ま○マギ』シリーズも、ラノベ作家の『林トモ○キ』先生の諸作品も、主人公がいつでも強大なる超常の力を手に入れることができるというのに、けしてそれに頼ろうとはせずに、困難な問題を解決していき、どんどんと成長を遂げていくものばかりだよな⁉」


ちょい悪令嬢「──そうなのです! 『ループ』で有名な作品でありながら、『リゼ○』があくまでも『成長』こそを主眼としているように、『ま○マギ』においても、『ループ』自体はそれ程重要じゃ無いのですよ!」


メリーさん太「……『ま○マギ』にとって、『ループ』自体よりも重要視されていたテーマって、一体何よ?」




ちょい悪令嬢「もちろん、『愛』よ!」




メリーさん太「へあっ⁉ ──あ、『愛』、って……」




ちょい悪令嬢「時間操作なんて言う最上級の異能の力を得ながらも、ただひたすら親友の女の子を助けるために全力を尽くす少女。──しかし、何度歴史を繰り返そうが、自分の目の前で彼女のことを失うばかり。そのため精神に異状をきたして絶望に駆られて、自らの『魔女化』の兆候すら感じつつも、ついに最後の最後で親友を救うことを成し遂げたのであった。──自分の許から永遠に、『彼女を失ってしまう』という、この上なく耐え難き代償と引き換えに」




メリーさん太「──うおおおおおおおおおっ、切ねえええええええええ!」


ちょい悪令嬢「このように、『ループ』を巧妙に物語の中に編み込むことによってこそ、『恋慕の情と切なさ』を、最大限にアピールしているのですよ」


メリーさん太「確かにほ○らちゃんて『ガチ○ズ』だけど、これは間違い無く、共感を呼ぶ『ガチ○ズ』だよな!」


ちょい悪令嬢「そうですね、嫌悪感よりもむしろ同情すら集めかねない、『綺麗なガチ○ズ』ですよね☆」


メリーさん太「……『綺麗なガチ○ズ』って、またすっげえパワーワードが誕生したものだな、おい⁉」


ちょい悪令嬢「このように、『ま○マギ』にしろ『リゼ○』にしろ、物語としては、『愛』や『成長』こそが真のテーマなのであって、『ループ』や『死に戻り』なんて、実のところはどうでもいいのです」


メリーさん太「ど、どうでもいいって……」




ちょい悪令嬢「SF小説でもあるまいし、ループ自体の設定なんて、別にいい加減でもいいんですよ。実際『ま○マギ』においては、厳密に言えばほ○らちゃんの固有魔法は、『時間操作』そのものでは無く、『時間停止』なのです。何度も同じ一ヶ月をやり直しているのは、彼女自身の魔法の発動では無くて、最初に魔法少女になる際にキュ○べえに叶えてもらった『絶対に実現してもらえる願い事』が、『ま○かちゃんとの出会いからの一ヶ月間をやり直したい』だったから、本人の意思にかかわらずに、自動的に同じ一ヶ月が繰り返されているだけで、ほ○らちゃん自身の意向とは切り離して考えなければならないのですよ。実は作品内でもそこのところは結構いい加減に描写されていて、見方によってはあたかも彼女の固有の魔法であるかのように、彼女の意思によってループが発動しているように見えるシーンもあるし、そもそも『キュ○べえへの願い』は一度きりしか叶えられないのだから、一度目の繰り返しの時にま○かちゃんを救えなかったのなら、そこですべてはおしまいだったんじゃないかという、少々下世話な『ツッコミ』も可能なのです」




メリーさん太「──うわっ、それってちょっと、まずいんじゃないの⁉」


ちょい悪令嬢「いえいえ、別にわたくしとしても、揚げ足取りをしたいのでは無くて、むしろこのように『いい加減』で構わないと思うんですよ。だって何度も申しているように、ほ○らちゃん──ひいては『ま○マギ』という物語自体にとっては、『ループ』そのものなんかよりも、ま○かちゃんをどのように『救済』するかが、百万倍も大切なのですから!」


メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「もちろんこれは、『リゼ○』においても同様で、『死に戻り』などといった超常現象は、単に『嫉妬の魔女のス○ル君への執着』の為せる業という、あくまでも『恋する乙女の個人的な理由』に過ぎず、『死に戻り』のメカニズムなんて、はなからどうでもいいのですよ」




メリーさん太「……うわあ、だとすると、あれだけ散々『死に戻りのメカニズムの究明』に血道を上げていた、本作の作者が、馬鹿丸出しじゃないの」




ちょい悪令嬢「まあ、今回『リゼ○』のアニメ版を初見することによって、そんな屁理屈よりも、『エンターテインメントとしての面白さ』こそが大切だと言うことに気づけただけでも、良としましょうよ」




メリーさん太「ま、そうよね。そういう意味からも、『なろう系』だからとかいった、先入観に囚われずに、せめて『話題作』や『高評価の作品』くらいは、目を通しておくべきかもね」




ちょい悪令嬢「そういうことですので、皆様にも是非、現在無料配信中の、『ま○マギ』元祖テレビ版や『リゼ○』アニメ版第一期、更には近々配信開始が予定されている、『マギ○コ』アニメ版第一期のご視聴を、心からお勧めいたしますわ♡」




メリーさん太「特に『ま○マギ』に関しては、明日が配信最終日となっておりますので、この機会を逃せば次にいつ無料配信があるかは定かではありませんし、どうぞお見逃しの無いように!」

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