第336話、わたくし、非人道的兵器があるのなら、人道的兵器があってもいいと思いますの。(中編)

メリーさん太「──皆さんは、『人道的兵器』と言われたら、どういうものをご想像なさいますか?」




ちょい悪令嬢「………………………………は?」




メリーさん太「そもそも兵器というものは、『非人道』であって当然なのであり、それをあえて『人道的』と区別するとなると、果たして兵器と呼び得るかどうかが問題となってくるわけで、果たして『人道的兵器』なぞ、存在し得るのかと言うと──」


ちょい悪令嬢「ちょっ、ちょっと、待ってください!」


メリーさん太「うん? どうかなさいましたか、ちょい悪令嬢さん、せっかくあたしがいつになくノリノリで、司会を進行しているというのに」


ちょい悪令嬢「──ノリノリ過ぎるんだよ⁉ ツッコミどころ満載だというのに、対処が追いつかないよ!」


メリーさん太「……ツッコミどころ、と言うと?」


ちょい悪令嬢「まず、『皆さん』て、誰だよ⁉ しかも、どうしていきなり『人道的兵器』とか『非人道兵器』とかについて、語り出すんだよ⁉──と、いうこともあるけど、それよりも何よりも」


メリーさん太「何よりも?」




ちょい悪令嬢「──何でわたくしたちは二人共、ミニスカサンタコスなんかを、着せられているのよ⁉」




メリーさん太「──そうなのですよ、読者の皆さん! あたしこと、都市伝説一のプリティガールの、メリーさんと、本作のメインヒロインにして伝説の巫女姫の、アルテミス=ツクヨミ=セレルーナ嬢という、6歳と10歳の幼女コンビが、幼い愛らしさの中にも女の色香をほのかにかもし出している、性的に未分化な華奢な肢体を、ミニスカサンタコスに包み込んでいるのですよ!」




ちょい悪令嬢「──やかましい! ちゃんと説明しろ!」




メリーさん太「別におかしくも何ともないの、すでに時は12月なの、クリスマスを目前にして、この座談会のマスコットガールであるあたしたちが、サンタコスをするのは、Web小説的にもラノベ的にも、もはや『必然』とも言えるの」


ちょい悪令嬢「わたくしたち、キャラとしての位置づけ的には、マスコットガールだったの⁉」


メリーさん太「第一、あたしの『メリーさん太』というHNハンドルネームの由来は、都市伝説としての通り名の『メリーさん』に、メリー・クリスマスの『メリー』と、サンタクロースの『サンタ』とをかけているのであって、まさしくクリスマスそのものを体現したネーミングだからして、あたしが常日頃からサンタコスをしていても、何ら不自然な話ではないの」


ちょい悪令嬢「……何と、メリーさんがこの座談会においては、一年間ずっと、ミニスカサンタコスをし続けていたのには、そんな理由があったんだ⁉」


メリーさん太「読者の皆さん、聞きましたか? 何とこの座談会って、ずっと司会のたった6歳の女の子が、事もあろうにミニスカサンタコスで、あんなことやこんなことを解説していたのですよ? 想像してみたら、何だか興奮しませんか? これぞ挿絵の無いWeb小説ならではの、叙述トリックの妙と申せましょう♡」


ちょい悪令嬢「そのしつこ過ぎる『幼女アピール』は、もういいから! それよりも、せっかく前回から盛り上がり始めたというのに、いきなり座談会なんかを挟んで、しかも議題がよりによって『人道的兵器』であるのかを、ちゃんと説明しなさいよ⁉」




メリーさん太「それはもちろん、アホ作者がまたしても、第328話で『Me328』のことを、更には前回第335話においては『Do335』のことを、語るのを忘れていたことに対する、フォローに決まっているでしょう?」




ちょい悪令嬢「Me328とDo335って…………ああ、作者お得意の、『ドイツ第三帝国の秘密兵器』のことかあ!」




メリーさん太「そうなの、こういったことはちゃんと、その話数の時にやらなければ意味が無いのに、この間の【ハロウィン記念特別編】において、別にやる必要も無い『アフター座談会』なんかにかまけていて、第328話で『Me328』について語ることをすっかり忘れ去っていたし、それで慌てて前回のエピソードにおいて『Me328』を登場させたんだけど、第335話なんだからむしろ『Do335』を登場させるべきだったのを、作品を各サイトに上げてから初めて気づくといった体たらくなの」




ちょい悪令嬢「一体何やっているのよ、あのボケ作者ときたら⁉」


メリーさん太「まあ、道を歩いていて転んで怪我をした時、頭も打ったから、そのせいかも」


ちょい悪令嬢「え………それって、大変じゃない⁉ もしかして、金曜土曜日曜と、更新が止まっていたのは?」


メリーさん太「大人しくベッドで寝て、静養していたの。──でも、心配ご無用なの、そのようにじっくり治療に専念していたお陰で、今ではすっかり快復しているの」


ちょい悪令嬢「……それならいいけど、読者様におかれましては、大変ご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした」


メリーさん太「まったく、自己管理能力もダメダメなんだから、あの作者ときたら。──とはいえ、いつまでもぐだぐだ言っていても始まらないから、さっさと本題に移ることにするの!」


ちょい悪令嬢「何てマイペースなやつなんだ、こいつ⁉」


メリーさん太「いいんですよ、今までのはすべて、『前フリ』のようなものだから。それよりも、『人道的兵器』なのです!(いなずま並み) あなたは『人道的兵器』と聞いて、どのようなものが思い浮かびますか?」


ちょい悪令嬢「だからどうしていきなり、『人道的兵器』なんかを議題に挙げるんだよ⁉」


メリーさん太「そりゃあもちろん、前回のエピソードからの繋がりなの!」


ちょい悪令嬢「へ? 前回のエピソードって……」




メリーさん太「人道的兵器とはつまり、極力兵器であり、まさにそれを成し遂げた人類史上初の『スタンドアローン兵器』と呼び得るのが、前回登場したドイツ第三帝国の秘密兵器の代表格である、『V1号ミサイル』ことフィーゼラーFi103なの!」




ちょい悪令嬢「はあ? 味方の兵士を死なせないようにすることが、人道的ですって? いやむしろ、敵国の人間を──それも何よりも『民間人』を、極力殺傷しない兵器こそが、該当するんじゃないの?」




メリーさん太「戦争をやっているのに、何を甘っちょろいことを言っているのです! 敵は『民間人』だろうが何だろうが、殺し尽くすのが正義なのです!」




ちょい悪令嬢「うわっ、『いなずま』ならぬ『ぷら○ま』ちゃんが来た⁉ いやそこは、敵も助けようよ⁉ 竹内一艦長も草葉の陰で泣いているよ!」


メリーさん太「竹内さんも、人としては正しいけど、軍人としては、甘いのです! ──同じく、欧州戦線緒戦のダンケルクにおいて、英軍及び仏軍の兵士数十万人をみすみす見逃して墓穴を掘ってしまった、甘々なナスも嫌いなのです!」


ちょい悪令嬢「無理して、『ぷら○まちゃん』に寄せようとするな! それよりも、何で敵の民間人を殺しておいて、味方の戦闘員をなるべく殺さないようにすることが、人道的になるのよ?」




メリーさん太「それはそもそも、戦争を遂行すると言うことは、敵の兵士や民間人よりも、自国の兵士や民間人こそを、より多く殺すことになるからなの!」




ちょい悪令嬢「──!」


メリーさん太「これは何よりも、日本やドイツの歴史を顧みれば、歴然としているの」


ちょい悪令嬢「いやそれは、日本やドイツが、アメリカやソビエトのような超大国を相手にして、長期の消耗戦に陥って、本土そのものを徹底的に破壊し尽くされたからなのでは?」


メリーさん太「それはまさにその、あなたの言うところのアメリカやソビエトのような、超大国であり戦勝国においても、同様なの」


ちょい悪令嬢「はあ?」




メリーさん太「結局戦争と言うものは、国家が強制的に、自国の若者を『死地』に送り込むこと以外の、何物でも無いの。それは『人海戦術』を旨とするソビエトや中国はもちろん、あの民主主義国の代表格であるアメリカも同様なの。かの国の上層部は、無数の若者を戦場に送り込み死なせることによって、勝利を掴むことができたの!」




ちょい悪令嬢「なっ⁉」




メリーさん太「米軍の勝因の一つに、B17やB29のような超大型爆撃機による、日本やドイツの工業地帯や人口密集地に対する無差別爆撃が挙げられるけど、別に『楽勝』の作戦だったわけではないの。特にヨーロッパ最強のドイツ空軍が手ぐすね引いて待ち構えているベルリン空襲なんて、自殺行為以外の何物でも無かったの。場合によっては、出撃機の20%以上が撃墜されたこともあったの」


ちょい悪令嬢「出撃機数の20%損失って、完全に『作戦失敗』じゃないの⁉ 何でそんな無謀な作戦を強行したわけ?」




メリーさん太「一つには当然、是が非でも戦争に『勝つため』なの。──そしてもう一つが、アメリカには、『殺しても構わない人間』が、大勢いたからなの」




ちょい悪令嬢「こ、殺しても構わない人間て、そんな馬鹿な! アメリカはかの大戦当時も、れっきとした民主国家だったんでしょう⁉ いくら戦時体制とはいえ、信じられないわ!」




メリーさん太「『有色人種』や『ネイティブアメリカン』のことなの。当時の欧米人における『白人至上主義』からすれば、自分たち以外の人種は、たとえ同じアメリカ国民であろうとも、単なる『捨て駒』に過ぎないの」




ちょい悪令嬢「──っ」




メリーさん太「アメリカは、最近になってようやく『移民法』を制定することになってギャアギャア騒いでいる日本なんかとは違って、建国当時からの『移民ウエルカム』の国で、当然ながら多民族国家だけど、宗主国のイギリス系の白人が支配層であることに間違いは無く、武力によって征服された先住民族や奴隷として連れてこられた黒人を始めとして、その他の有色人種が多数ひしめいていて、長い歴史の中で差別の対象になってきたのはもちろんのこと、何と同じ白人種においても、出身国や種族が少数派だったり、プロテスタント系の清教徒ピューリタンとは他宗派だったり、貧民だったり、身寄りが無かったり、犯罪者だったりした場合も、様々な場面において差別の対象となっており、果てには当時においてもアメリカ特有の『南北格差』が存在していて、南部出身の兵士が軍隊の中で何かと差別されたという話もいとまがないの」




ちょい悪令嬢「……そういえば、昔観た映画では、30年代のアメリカにおいては、黒人が演奏しているジャズクラブに、黒人が客として来店するのを禁じられているというのが、あったような」




メリーさん太「結局戦争も、国家にとっては『経済活動』の一環なのであり、いかに兵器を大量に生産&消費して、その結果荒れ果てた国土を再建するために大規模な土木建築作業をすることによって、どれだけ莫大な利益を上げることができるかが重要なのであって、自国の若者なぞ、戦争を遂行するための『消耗品』に過ぎず、いくら死のうが構いはせず、戦争末期においても海軍以外は世界最強レベルの軍隊が温存されていた大日本帝国に対して、沖縄上陸作戦という、どう考えても非常識な作戦をごり押しして、大勢の自国の若者を平和な戦後を味合わせることなく、地獄へと葬り去ったわけなのよ」




ちょい悪令嬢「日本のほうは日本のほうで、『神風特攻隊』によって、沖縄戦を含むあらゆる戦線において、自国の若者たちを殺しにかかっているものねえ……」




メリーさん太「まさにこれぞ、戦争が経済活動である証しなの。沖縄戦以前においてすでに、空母機動部隊が壊滅していた日本軍においては、海軍航空隊は作戦行動不能となるはずだったのに、それでは軍用機メーカーが儲けられないから、、新たに発注してもらえる、『神風特攻隊』プランを、提案して、あらゆる良識的意見を黙殺した挙げ句の果てに、人類史上最悪の凶行を、強行したくらいですからねえ」

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