第82話、わたくし、『ちょい悪令嬢』になりましたの。【新年記念特別編】(その4)

ちょい悪令嬢「──謹賀新年、パートフォー‼ 三が日は終わりましたが、松が取れるまでは、まだまだ正月気分は有効ですよ! 今回も前回に引き続き、【新年特別座談会】の第四回目を、わたくしこと『ちょい悪令嬢』を司会に、いつもの量子魔導クォンタムマジックチャットルームより、いつものメンバーとゲストの方を交えて、昨年の反省と本年の抱負について、熱き激論を闘わせていきたいかと存じます! 読者様並びに参加者の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします!」




ちょい悪令嬢以外の全員「「「よろしくお願いいたしまーす!!!」」」




ちょい悪令嬢「──さて、前回は昨年最後の本編の【魔王と勇者編】(仮称)について、その最重要テーマの一つであるところの、『本編の大幅な路線変更の煽りを食って、埋没し続ける『正統派ヒロイン』アイカ=エロイーズ嬢を、いかにして目立たせていくか?』を中心に述べましたが、今回はいよいよエピソードの中核を担う、『魔王と勇者との関係性』について、主に新登場の『魔王』様サイドを中心に、本編中において晴れて当代の『勇者』として覚醒された、アイカ嬢──HNハンドルネーム『えろいか』さんを、前回同様スペシャルゲストとしてお迎えして、語り合っていきたいかと思います! 『えろいか』さん、今回もよろしくお願いいたします!」




えろいか「……え? あ、ああ、よろしく……お願いいたします」




ちょい悪令嬢「──あ、あれ? 何か元気がないですね。どうかなされたのですか?」


えろいか「う、うん、前回の座談会の後で、ふと気がついたことあってさ」


ちょい悪令嬢「ほう、何をですか?」


えろいか「まさにこの『えろいか』という、量子魔導クォンタムマジックボイスチャット用のHNハンドルネームだけど、これって私自身前々から、『BL同人誌』作成時のPNペンネームとしても使っているよね?」


ちょい悪令嬢「ええ、そうですね」


えろいか「実はこれは、本名のアイーズをもじアナグラムったものなんだけど」


ちょい悪令嬢「ああ、はいはい」


えろいか「これって、『英雄』って、意味だよね?」


ちょい悪令嬢「そうですね、ベートーヴェンの『英雄エロイカ』とか、あおいけやす先生の『エロイカより愛をこめて』とかが、特に有名ですわよね」


えろいか「この『えろいか』というPNペンネームが作中に初めて登場したのが、第10話の『わたくし、『薄い本』の業の深さを思い知りましたの。』からで、実際のところ、作者としては逆に、この同人誌用のPNペンネームから、本名の『アイーズ』を導き出したんじゃないかと思われるんだ」


ちょい悪令嬢「……ええと、一体、何をおっしゃりたい、わけなのでしょうか?」




えろいか「つまり作者は、私がかつての『救国の英雄』の血を引いていることを、第1話以降においても、ちゃんと覚えていたんじゃないのかな?」




えろいか以外の全員「「「──あ」」」




ちょい悪令嬢「た、確かに!」


かませ犬「いやいや、それにしては第1話以降、アイカ嬢の『英雄描写』がまったく無かったのは、あまりにも不自然すぎるぞ⁉」


メイ道「そうですよ。そもそも『えろいか』というのは、作者自身がかつて『コミケ』や『コミティア』でGL漫画同人誌を書いていた時分のPNペンネームでもあり、単にそれを再利用しただけで、特に『英雄』という含みを持たせたものとは言えないんじゃありませんか?」


真王子様「いや、作者自身自覚していなかったとはいえ、、アイカ嬢を全編的に『英雄』として設定していた節は、十分にあるぞ?」


ジミー「えっ、無意識に設定していた、って?」


妹プリンセス「ほら、ホワンロン空軍のエース中のエース『エクスペルテン』にして、通称『くれないのバロネス』として付け加えられた、あまりにいきなりのドイツ空軍ルフトヴァッフェミリオタ新設定のことですよ。──何ですかあの、身の内に秘められた強大なる魔導力だけで、この中世ヨーロッパ風のファンタジー世界においては超兵器である、最新鋭のジェット戦闘機を自分の手足のごとく操れるという、トンデモ設定は? 一体どこの『ア○マ』ですの? これから彼女のことは『えろいか』ではなく、『グリペン』や『イーグル』や『ファントム』のように、搭乗機名に合わせて、『ホルテン』とお呼びすることにいたしましょうよ♡」




ホルテン「──ちょっ、誰が『アニ○』だよ⁉ 人をあんな文字通り人類を超越した、『スーパーヒロイン』の皆様と、一緒にしないでよ! あと、いつの間にかHNハンドルネームをしれっと、『ホルテン』に変えるんじゃない!」




ちょい悪令嬢「でも、まるで『○ニマ』みたいに、ジェット機の操作系統に完全にシンクロして、魔導力だけでコントロールなされているではないですか?」


えろいか「ちゃんと操縦桿で操作しているよ! 『アニ○』たちのように、手のひらでコンソールに触れているだけで、コントロールなんかしていないよ!」


かませ犬「……操縦桿は握っていても、機上レーダーとシンクロすることによって、目をつむったまま操縦しているとかいった、完全に人間離れした描写があったじゃないか?」


えろいか「──うっ………い、いや、あれはあくまでも、機体に装備されたレーダーそのものの能力内にとどめられていて、『アニ○』や『ドー○ー』のような超ハイテク技術に基づくものではないし、十分に許容範囲の描写だよ!」


メイ道「……だんだんと、言い訳が、苦しくなってきましたね」


えろいか「言い訳じゃないよ! 厳然たる事実だよ!」


真王子様「では、君の愛機ホルテンが、『ザ○』の戦闘機型にそっくりなのは、どうしてなんだ?」


えろいか「それはむしろ『○イ』のほうが、『参照リスペクト』しているの! 私の愛機ホルテンHo229は、『あちらの世界』の第二次世界大戦時に開発された、史上初の全翼型ジェット機なんだから!」


ジミー「でも、まったく大戦時の仕様というわけではなく、『あちらの世界』でもいまだ完全に実用化されていない、『ラムジェットエンジン』を標準装備していたり、レーダーも当時未開発だった『ベルリン』とか『ブレーメン』とかいった、超高性能レーダーを使用しているじゃないの?」


えろいか「そりゃあ本作だって、『ガーリー・エア○ォース』同様に、れっきとした創作物エンターテインメントなんだから、少々SF的な設定があってもいいじゃないの⁉」


妹プリンセス「だから、そういった種々の設定が、両作品の間で、非常に似通っているんじゃないのかって、申し上げるのですよ」


えろいか「似通ってないよ! あっちは言うなれば『魔法みたいな超科学技術』だけど、こっちはあくまでも『魔法と科学とのハイブリッド』だよ! 似ているようで、全然違うんだよ! ──とにかく、この微妙な時期に、誤解を招くような発言は、厳に慎もうよ、みんな⁉」




ちょい悪令嬢「──はいはい、重々承知いたしましたから、『えろいか』さんも、そろそろ落ち着きなさってくださいね。他の皆さんも、いい加減彼女をいじるのは、おやめになってくださいな。」




ちょい悪令嬢とえろいか以外の全員「「「はーい♡」」」




えろいか「──何だよ何だよ、結局人のこと、からかっていただけなのかよ⁉」




ちょい悪令嬢「それだけあなたが、皆さんから愛されている証しですよ。──よっ、さすがは『正統派ヒロイン』♡」


えろいか「あなた、前も同じようなこと言っていたでしょう⁉ 何という侮辱、人を『かませ犬』風情ごときと、一緒にしないでよね!」


かませ犬「──ちょっ、むしろ『侮辱』は、こっちの台詞だよ⁉ 今更ながらに、あえて言わせてもらうけど、みんな、俺がこの国の『第一王子』ということを、忘れているんじゃないのか? 特に『正統派ヒロイン』である君にとっては、最大の『攻略対象』だろうが⁉」


メイ道「……うわあ」


真王子様「ああいうことを自分の口から言うところが、駄目なんだよなあ」


ジミー「何で、いつまでたっても、気がつかないのかねえ」


妹プリンセス「そこが『かませ犬』の、『かませ犬』たる、ゆえんなのでしょうねえ……」




かませ犬「おいおいおいっ! 結局はいつものごとく、『俺いじり』になってしまうのかよ⁉ そんな『お約束』なんていらないよ!」




ちょい悪令嬢「──とまあ、いつものようにオチがついたことですし、『えろいか』さん、今度こそ本当に落ち着かれました?」




えろいか「……ああ、うん、『かませ犬』さんの無様な姿を見せつけられて、さすがに反省したよ。人間ああなっては、おしまいだよね」


かませ犬「おまえもかよ⁉ 一体何なんだ、俺に対する扱いは? この作品いくら何でも、『乙女ゲーム』のセオリーを無視しすぎじゃないのか⁉」


メイ道「……何を今更」


真王子様「この作品って、乙女ゲームどころか、Web小説そのもののセオリーすらも、ガン無視しているよな」


ジミー「異世界転生を扱っている他の作家さんが見たら、顔面蒼白だろうね。──あまりにも前代未聞の、『新解釈』のオンパレードなんだし」


妹プリンセス「それだけ独自性オリジナリティに自信を持っているからこそ、多少他の作品と設定等が重なったところで、別に気にする必要も無いんですよね」




ちょい悪令嬢「──そうなのです、そんな作者の独自性オリジナリティの代表的な一例が、先程も『えろいか』さんがおっしゃっていた、本作における『魔法と科学とのハイブリッド』路線なのであって、今回の座談会もすでに紙幅が尽きてきたことですし、予定を変更しまして、改めて『魔法と科学とのハイブリッド』について、基本的なところからおさらいしておこうかと思います」




えろいか「……基本的なところって?」


ちょい悪令嬢「一言で申せば、『ゲンダイニッポン』からもたらされた科学技術を主体にして、このファンタジーワールド古来の魔法技術で補完する──といったやり方をとっております」


えろいか「え、科学技術のほうを主体にするわけ? ──いや、そもそも、『ゲンダイニッポン』では絶対に不可能な、様々な魔法技術が存在するこのファンタジーワールドに、科学技術なんて導入するメリットって、一体何なのよ?」


ちょい悪令嬢「それは何よりも、『効率性』ですよ。せいぜい二、三人しか乗れない魔法の箒や、少人数しか輸送できない魔法を動力とする『飛空艇』やドラゴン等のモンスターを、空の旅に使うよりは、『ゲンダイニッポン』のジャンボジェット機を使ったほうが、一度に大人数を高速で輸送できるではありませんか?」


えろいか「だったらいっそのこと、魔法を捨てて、科学技術一本にすればいいじゃん」


ちょい悪令嬢「それは不可能です。そもそも中世ヨーロッパレベルのこの世界では、『ゲンダイニッポン』の科学技術を完璧に再現することなんて、けして為し得ませんからね」


えろいか「……ああ、そうだよね。特に『ゲンダイニッポン』の科学技術の基本を為す、コンピュータ作製に必須の、超マイクロ集積回路の類いなんて、絶対再現不可能だろうな」


ちょい悪令嬢「その他にも、『金属加工技術』なんて、まったく手に負えないでしょう」


えろいか「金属加工技術って?」


ちょい悪令嬢「『えろいか』さんもよくご存じのジェットエンジンにおいて、『超高圧縮空気』であるジェット気流をエンジン内で生成するには、エンジンの各パーツ自体が超高温に耐え得る金属で製造されていなければならないのですが、その加工技術が非常に困難なのは言うまでもなく、そもそもその材料となる耐熱性の高い希少金属レアメタルの産地を、この広大なるファンタジー世界の中から見つけ出すこと自体が、至難の業でしょう」


えろいか「えっ、でも、うちのジェット戦闘機部隊では、今現在ジェットエンジンがごまんと運用されていて、新品もどんどんと搬入されているよ?」


ちょい悪令嬢「そうなのです! ホワンロン空軍の最新鋭ジェット戦闘機部隊こそが、科学技術を主として魔法技術を従とする『魔法と科学とのハイブリッド』技術を、最も理想的な形で実現しているのでございますよ!」


えろいか「はあ?」


ちょい悪令嬢「実はホワンロン空軍で使用されているジェットエンジンは、『ラムジェット』と呼ばれている、何と『ゲンダイニッポン』においてもいまだ完全には実用化されていない、最も理想的な高性能かつ効率的なジェットエンジンで、基本的には『ただの筒』でしかないから。複雑な加工技術なぞ必要とせず、高速に飛べば飛ぶほど速度を増すことができるという、まさに『未来の便利道具か永久エスツー機関か』と言いたくなるような万能エンジンなのですが、もちろんそれなりに欠点があって、そもそもただの筒なので、まずある程度高速に飛んでいないと、エンジンのに必要な高速な空気の流入を得ることができないので、それまでは『他のエンジンが必要になる』といった、できの悪い漫画のような弱点があるし、更には、長時間エンジンを稼働していたら、たとえ複雑な機構ではなくても、当然のごとくエンジン内部が『高温』になるので、各パーツを冷やす必要が生じるのだけど、ただの筒だから冷却装置など備わっておらず、『まともな冷却装置が無いのに冷却しなければならない』といった、いっきゅうさんも真っ青な『とんち問題』みたいな欠陥をも抱え込んでいるのです。──そしてだからこそ、『ゲンダイニッポン』レベルの技術であっても、いまだ完全にはラムジェットエンジンの実用化には至ってないのですよ」


えろいか「だめじゃん! 『ただの筒』を静止状態から何の動力も使わずに高速に飛行させたりとか、冷却装置がないのに冷却させたりとか、科学技術で何とかなる問題じゃないでしょう? そもそもそんなを、科学技術で実現しようとすること自体が……………………………あっ⁉」




ちょい悪令嬢「──そうなのです、魔法でしか実現できないことは、文字通り、魔法で実現すればいいのですよ!」




えろいか「……魔法でこそ、『ゲンダイニッポン』レベルでも手に負えない、未来のジェットエンジンを、完全に実用化するだって?」


ちょい悪令嬢「最初から最初まで、大重量のジェット機を、魔法で飛ばすのは至難の業でしょうが、ほんの最初だけ時速400キロほどの空気をエンジン内に流入させることくらいなら、余裕のよの字だろうし、飛行中に過熱したエンジン内部を、風系統(空冷)とか水系統(水冷)とか、いっそのこと氷結系の魔法とかで冷やすことなんて、数多のWeb小説の中で大魔法をひけらかしている、凄腕の魔法使いたちだったら、十分可能でしょう?」


えろいか「……ええと、その凄腕の魔法使いって、もしかして、私のこと?」


ちょい悪令嬢「うふふふふ、実はそうなんですよ。ホワンロン空軍のラムジェット機が、流入空気不足や冷却不足に陥ることなく、万全の運用ができているのは、すべて『えろいか』さんたちのような、身の内に多大なる魔導力を秘められている、凄腕の魔法エースパイロットの皆さんのお力によるものなのです」


えろいか「いやでも、私ジェット機で空を飛んでいる時に、いちいちそんな複雑なことを、考えてはいないけど?」


ちょい悪令嬢「そりゃそうですよ、鳥が空を飛ぶ時に、小難しい『航空力学』や『物理学』を考えて、飛んでいたりするもんですか。『えろいか』さんたちも、同じなんですよ。ただ愛機のジェット機を、より高くより早く飛ばそうという気持ちを持たれているだけで、自然とエンジン等が最適な状態になるように、最初からシステム経路プロセスが組み立てられているのですよ。──まさにあなたたちの魔導力こそが、コンピュータの代わりをしているようにね」


えろいか「ええっ、こういった機械的な装置だけでなく、コンピュータの機能すらも、私たちの魔法で代用しているわけなの⁉」


ちょい悪令嬢「特に『えろいか』さんの愛機のHo229のような全翼機は、飛行中に縦横上下の四方向の安定を司る尾翼がまったく無いから、第二次世界大戦当時ではまっすぐ飛ばすこと自体が非常に困難で、とても実用化できるものではありませんでした。戦後数十年たってようやく、かの有名なステルス戦略爆撃機『B2』において実用化にこぎ着けたのは、航空機の飛行中の姿勢制御を司る、『フライ・バイ・ワイヤ』というコンピュータの開発に成功したからであって、実はホワンロン空軍のジェット戦闘機部隊においては、皆さんの魔導力でこれを代替しておられるのですが、その場合も別に皆さんご自身は、コンピュータならではの複雑な計算処理をすることなぞ無く、『ただまっすぐ飛ぶこと』をイメージするだけで、すべては事足りているという次第なのでございます」


えろいか「……つまり、私たちジェット機パイロットの『魔法技術』こそが、『ゲンダイニッポン』最新鋭の『科学技術』である、ラムジェットやフライ・バイ・ワイヤの肩代わりをしているってことなんだね」




ちょい悪令嬢「ええ、他のWeb作品では、科学技術が大幅に立ち後れているファンタジー世界において、『ゲンダイニッポン』レベルの各種最新型の兵器を製造して無双するとかいったものが、多々目につきますが、常識的に考えてそんなことは絶対に不可能なのであって、それよりもせっかく魔法が使えるのなら、異世界転生によってもたらされた科学技術とミックスして、より現実的かつ理想的に、使っていきましょうってことなんですよ。──というわけで、またしても各方面に物議をかもしそうな話題になってきましたので、今回はこの辺にしておいて、本来今回語る予定でした議題テーマを始め、いまだ言及していない【魔王と勇者編】における議題テーマについては、次回以降に必ず述べさせていただきますので、読者の皆様方におかれましては、どうか楽しみにお待ちになってくださいませ。では、『えろいか』さん、その他の皆さん、今回もどうもありがとうございました」




ちょい悪令嬢とかませ犬以外の全員「「「──どうもありがとうございました!」










かませ犬「……いいんだ、いいんだ、どうせ俺なんて、『いらない攻略対象おうじさま』なんだ」

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