第7話 制裁っ……!悪魔的制裁っ……!
魔法薬の効き目が切れて、ちょうど夜8時になった。都合のいいことにみんなの記憶は綺麗に消えてくれたようだ。わーい。
とりあえずオリエンテーションは明日に延期ということで、団欒の時間となった。
とりあえずエミリア(正しくはエレミヤ)、ジャックと一通り絡んだので、残すところはシュヴァルツだけとなったが、折角の親睦なので面白い形にしたいと思った。
というわけで。
俺は魔王権限でシュヴァルツとエヴァドニを寝室に呼び集めた。
「な、なんの御用でしょうかアイジ様……」
「フゥーハッハッハ! 3人で入浴に興じようとでも? おぶっ」
シュヴァルツはエヴァドニに思いっきりファニーボーンを撃たれてびくびくしていた。
「お前たち、何かに気づかないか?」
「いえ……何も……」
俺はため息をついて、
「こんなに無能な部下を連れてつくづく俺は不憫だよ……」
「も、もうしわけございません」
俺はコホンと咳ばらいし、
「とりあえず、今日の俺は……」
ごくりとエヴァドニは唾を飲む。
「うん。いい朝だなとか普通に思って鏡みたんだけど、とりあえず今日の俺はねぐせがヤバイ」
「ずこーーーーーーー!!」
超古典的な転び方でエヴァドニはずっこけた。青汁3000杯飲んだ方がマシなくらいくだらねぇ茶番はここで終わりにして。
「シュヴァルツよ」
「はぁい♡」
キモイんだよ殺されてぇのか。でもそのボケは嫌いじゃない。
「今日は貴様の忠誠心を試そうと思う。そこで命令だ」
と言って、俺はズボンから一枚の布を取り出し。
「さっきジャックが風呂に入ってる間に、パンツを盗んできました☆」
「おまああああああああああ!?」
エヴァドニが発狂した。
「アイジ様、ジャック様はかつて一人で王都を滅ぼした大魔法使いの末裔でございますよ、あの子キレるとホントこわいの! そういうお年頃なの!」
お前の教育がなってねぇからだろ。ECCジュニアのホームティーチャーにでもなって英語で情操教育でもしとけよ。
「というわけでシュヴァルツ。お前が俺の罪を被れ」
「はい分かりました」
「あなた早いわね返答が! 責任重大なのよ!?」
シュヴァルツは襟を正し、
「このシュヴァルツめを侮ってくれるな。私は執事とはいえ、おはようからおやすみまでライオンの提供、違った魔王様のサポートと能無しの部下たちの世話と邸の手入れ、そして戦闘まで完璧にこなす最凶の執事であります。お任せください」
と言った3秒後にシュヴァルツは頭にジャックのパンツを被り、
「ジャック様――――俺頭イカレちったうひひぃぃーーーーあーそぼぉーーーー!!」
「「てめえこらああああああーーーーー!!」」
奇行に走ったシュヴァルツを俺とエヴァドニが追いかける。
隠して俺たちは気づけば拷問部屋にいた。
アイアンメイデンや斧、鞭、拘束台、更には水責めの器具など、様々な処刑道具や拷問器具がある。
そして天井からぶら下がる鎖につながれているのは、俺──ではなくパンツ一丁のシュヴァルツ。
ジャックはめちゃめちゃ激おこオーラを放っていて、
「シュヴァルツ、どういうつもりなのかな。僕、あのあと、すごい下半身がスース―してそれに比例して殺意が芽生えていったんだけど、まぁまさかこんなことするのはアイジしかいないと思うけどね……」
「おいジャック、俺に刃向うつもりか? 魔王に刃向うのは仕える者として如何なものかと思うぞ」
「ぐっ……」
「というか俺がやりました。めんご。でも俺たち友達だから許してくれるよね☆」
「うん☆」
「ジャック様がここまで落ちぶれるなんて……」
エヴァドニは顔を手で覆った。
「そういうわけで俺がやりましたわけですけれども。せっかくシュヴァルツが鎖でつながれているので遊ぼう」
「いぇーい、アイジ最高!」
「ああ……なんたる屈辱、この悪感情! たまらぬ! たまらぬ! 魔王様、ジャック公、遠慮はいりませんぞ!」
「シュヴァルツ、あなたもっと威厳を持ちなさい!」
「えーそういうわけで、新婚さん、いらっしゃ~い」
拷問部屋のドアが開かれ、荷台がやってきた。それを押すのは俺のマドンナ、エレミヤ嬢。
「な、なんですのこれは……?」
「エヴァドニ見たことないのか。馬鹿だな。IQマイナス120だな」
「IQにマイナスはありません! もしやこれは……」
「そう。ODENだ」
ぐつぐつと燃料の上で煮立っているおでん。まぁ、だいだいやること分かるよね。おいエレミヤほふほふしながら食べてるんじゃないぞこれから使うんだから。
「えー、日本のお仕置きの風習として、おでんのたまごを悪い事をした人に無理矢理食べさせるものがあります。道徳の授業でも扱われ心のノートにも書かれています」
「嘘を並べ立てるな嘘を」
ツッコむエヴァドニと、わくわくしているシュヴァルツ。
「えーではこの白滝から。あっ手がすべった」
「アツゥイ!!」
白滝がシュヴァルツのたくましい胸板にかかり、その部分の皮膚が赤く染まった。
「ま……まさに鬼畜、さすが魔王アイジだね……」
「ではなんかめんどくさくなってきたので、卵食って終りにしましょう」
「アアッ……アアッ……アヒィィィィ……!!」
シュヴァルツが絶望と悦楽に混じった声を上げる。キモッ。
俺はたまごを容赦なくシュヴァルツの口に押し当てた。
「アアアアアアアアッーーーー!!」
シュヴァルツは100満点のリアクションをしてつまらなかったので残りのおでんを全部エヴァドニにぶちまけた。
「え? アッ! パアアアアアアアアアッ――――!!」
おもろい。これこそ俺が求めていたリアクション。
そしてシュヴァルツを鎖から解いて全員で掃除し、予備の具材でジャックと俺でおでんを作り、夜食と言うことで酒を飲みながら食べたのでした。おわり☆
いや小説は続きますけどね? by作者
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